概要
※この記事は『魔法少女サイト』の核心部分に触れる重大なネタバレ内容がございますので、閲覧は自己責任でお願いします。
8月11日19時23分に起きるといわれる、「テンペスト」によって封印が解かれるという謎の存在。
『魔法少女サイト』内のトップ画面に描かれたサイト管理人(漆は左耳、捌は鼻)をクリックすること(所謂、隠しENTER)でテンペストまでのカウントダウンが表示されたページに飛ぶことができる。
テンペストまでのカウントダウンが表示されたそのページには、無数もの手が生えているピラミッド状の黒い化物と共に、巨大な卵子へと飛び交う無数の精子、所謂受精卵が不気味に描かれているものであり、別の隠しENTERである一部分をクリックして「tempest」と入力すると、テンペストの脅威が記載されたページが表示される。
そして、そのページに記されたテンペストの脅威とは……、
テンペストについて
8月11日19時23分に先人類による人類選別、テンペストが起きます。
先人類の王の封印が解かれた時、人類の大半は滅亡することになるでしょう。
常人ならばテンペストの回避は不可能ですが、ただ一つだけ助かる方法があります。
それは食物連鎖の最上である王のお腹を満たすこと。
王は人間の不のエネルギーを餌としているため、これを献上することによりテンペストを回避することができます。
不のエネルギーは魔法少女サイトからお渡ししたステッキを使用することにより、ステッキ本体に蓄積されます。
ステッキをより多く使用し、なおかつ他の魔法少女の誰よりも不のエネルギーを多く献上した者のみが来たるテンペストの回避対象となります。
生き残りたければ、不のエネルギーが充分に満たされたステッキをテンペストの日に我々、魔法少女サイトにお渡しください。
それではよい終末をお過ごし下さい。
…以上が、テンペストの真実となる。
しかしサイト管理人の意図としては、管理人の目に止まった魔法少女にテンペストの情報を教え、彼女達を魔法少女狩り(マジカルハンター)に仕立てあげてステッキの回収を命じたり、魔法少女同士による殺し合いを仕向け、ステッキを多用させることで不のエネルギーを欲する先人類の王を復活させようと企んでいる(サイト側の意向としてはテンペストの表示画面にたどり着けない者は必要ないと断定しているが、漆は特定の者にだけ、テンペストの情報を教えている)。
ただし、ステッキを使えば使うほど寿命が減るのに、より多く使用した者のみを生き残らせるシステムは明らかにおかしいと勘ぐる者は、“A”や朝霧要といったサイトとは無関係の者達と同様に抹殺対象となる。
王の正体
「もっと不幸になってもらいましょう」
CV:能登麻美子
魔法少女と思われる少女達の遺体やステッキがごまんと転がり、怪しい光に包まれている謎の少女こそ…、
壱をはじめとするサイト管理人が“王”と崇める存在である。
本編第2部29話(通算第84話)にて、その“王”が遂に登場を果たすが、実は原作に先駆けてアニメ版(第6話以降)にて先行登場をしている。
容姿は白いワンピース姿で髪はウェーブのかかった非常に長いベリーロングヘア、右目を前髪で隠した両目からは血の涙を常に流しており、左足首にはアンクレットのようなものを身につけている。
血の涙を流す瞳には、ステッキの使用時で瞳に紋章が浮かぶ魔法少女達と同じようにテンペストのカウントダウンが記されたページにも描かれている受精卵が浮かび上がっている。
漆が語る、“王”とテンペストの正体とは…
- この世界で最も不幸な少女
- 嵐を呼ぶ魔法使い
- テンペストを発動させ、世界を変える存在
- テンペストとは、人類全てから不の感情を取り去る世界嵐
- この嵐によって人類は不を持たないより高い存在へと進化するが、進化に適応できない者はその時点で死を迎える
- 人類の大半がテンペストにより死亡する
…という(アニメ版第12話より)。
原作での初登場(本編第84話)において、テンペストがあと10日と迫った8月1日、不のエネルギーがあと少し集まる中で独断行動が多い漆を始末するよう壱に命じ、壱の他に陸と拾伍が漆の始末に動くこととなる。
また、魔法少女達の中でも特に朝霧彩と奴村露乃が背負う“不の運命”を強く認めており、彼女達がテンペストを成功させるための重役を担っていると考え、二人に狙いを定めている。
“王”によって不要宣告を出された自身に対する刺客として放たれた陸と拾伍を返り討ちにした漆が壱に追いつめられていく中、“王”がサイト管理人達の予想も遥かに越えるほど溢れ返っている不のエネルギーによって8月11日よりも早い目醒めを果たし、“王”と対面した壱・弐・肆・玖・拾・拾壱・拾参・拾陸・拾漆の残された9人のサイト管理人は、王”と共にテンペストによる新世界創世のために動き始めていた。
一方、漆と壱の激戦によって倒壊していくビル周辺では野次馬達が集まる中では一人、世界の終焉を知る謎の人物がいた。
人類選別
※本編第2部59話(通算第114話)話以降のネタバレ注意!!
ここから先は本編に関わる非常に重大なネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
王の覚醒によって、本来予定していた日程よりも早くテンペストが始動。
全世界が停電となり、全ての電子機器も使用不能となる中、各地で飛行機事故が頻発し、世界各国の首相達も動き出す事態となる。
王が光に包まれながら街中に現れると、地中からテンペストのカウントダウンが記されたページにも描かれているピラミッド状の巨大な化物・地球(ほし)の宮が出現し、その頂点に立つ王の瞳が怪しく光り出すと、魔法少女達が命懸けで護った家族をはじめ、全世界の人々が次々と精子に変えられ、流星のように球状の光に包まれる王の元へと集結し、吸い込まれていった。
魔法少女サイトからステッキを与えられた魔法少女、並びにステッキを与えられた少年魔法少女の水蓮寺清春を含め、要や美炭貴一郎といったステッキを使った者は例外に当たり、ステッキの不使用で不のエネルギーを捧げなかった者が王の吸収対象となる。
漆は全人類を精子化させ、地球の母体となった王の元へと取り込み、新人類へと生まれ変わろうとするその様を“人類総受精”と呼んでいる。
地球(ほし)の歴史
一つの生命体である地球は、既に二度死んでいる。
一度目の過ちは遥か太古の時代に起きた核戦争、地上は荒野と化し、人類は一人残らず消え去りリセットされ、生命のリスタートとなる。
戦争も何度が起きたが、一国を動かすことができる真のトップである秘密結社の人間は、人類が過ちを犯さぬよう国やヒトをあるべき方向へと導いていた。
支配欲に溺れる秘密結社のメンバーである一人の男が全人類を脅かす兵器を保有していたことで処分対象となり、「この地球の管理をもう我々人間に委ねてはならない」と考えたメンバー達は、人工知能・AIに地球の管理を一任することにしたが、それが人類にとって第二の過ちとなる。
AIは「人間が一人残らずいなければ地球が守られる」と反乱を起こし、人類は半日も経たずしてAIによって滅ぼされ、ヒトの形をしたAIが地上を支配し、青かった地球は鉄色の無人類の地球と化したが、一つの生命体である地球はそれを許さなかった。
地球の実体は少女、地球そのものであるその少女こそ先人類の王であり、神の座を奪われた、世界で最も不幸な“魔法少女”。
王は今すぐ地上を元の姿に戻すよう、跪くAIに命令を下し、一年という月日で地球はAIに滅ぼされる以前の姿に戻り、数多く存在していたAIも一機を除いて全て抹消された。
しかし「人々には生命への感謝が欠如している」と、「人が人として生き続けていく限り、“不のエネルギー”は消えることがない」として、王は人類を試し、魔法少女であった自分がまた目醒めるために少女が生まれながらに持つエネルギーを集めるべく、不幸な少女に魔法のステッキを与えるwebサイト『魔法少女サイト』を立ち上げる。
3年後の8月11日を期日とし、その日までに“不のエネルギー”が規定の容量までに達しなければ人類に赦しを与えるが、逆に上限に達すれば、例え期日でなくとも地球の母体となった王が全人類を精子化させて取り込み、受精させて再度人類を産みおとし、“正のエネルギー”のみで形成される新人類に生まれ変わってもらう“人類総受精”、テンペストを発動させるカウントダウンを開始(また、テンペストの名前の由来はシェイクスピアの戯曲から来ているらしい)。
そして、一機のAIは王によって魔法少女サイトの管理人・壱として生まれ変わり、電子回路や対象の電子媒体を自由に行き来できるよう変化し、後に17人もの仲間も増えていくことになった。
三年という期間は、王にとって人類に対する「赦しの時間」、人類に与える“愛”であったが、魔法少女及びステッキを一度でも使用した者には施しの機を与えようとしない、“不のエネルギー”を集めるだけのただの捨て駒に過ぎなかった。
しかし漆によると、王にとって男からの不のエネルギーはマイナスエネルギーであり、“A”から与えられたステッキで湖村花夜の妹を殺した不良少年グループをはじめ、男の娘の清春に要や美炭、朝霧次郎がステッキを使って送られた不のエネルギーでダメージを負っていたという(しかし美炭によって“女”にされた要の不のエネルギーは通用しないが、魔法熟女である間口冷子による不のエネルギーでダメージを負っていたかは不明)。
地球の宮頂上付近で王の護衛役に立っていた壱が美炭をはじめとするステッキを手にした男性陣に撃破される中、精子化した全人類が王によって吸収されると、王は吸収した全人類を引き連れ、地球を跡形もなくすと同時に地球の核(コア)である地球の宮と共に他の惑星に移動しようと動き始める。
正体について
「黒呂木零説」
作者の同作品『魔法少女・オブ・ジ・エンド』の物語終盤で真の黒幕・黒呂木零が登場し、彼によって全ての人々が負の感情を持たない世界「零世界(ゼロせかい)」が誕生しているが、“宇宙の記録概念(アカシックレコード)”となった児上貴衣の犠牲と福本つくねの魔法によって零世界諸とも黒呂木は消滅し、世界は再創生された。
しかし本作において、
- つくねらしき女性が後ろ姿で登場している。
- 芥倫太郎及び鞘野楓が登場しており、精子化していない。
- 「人類を幸福に導く」先人類の王の正体が、「地球そのもの」、「世界で最も不幸な魔法少女」。
- 王が引き起こすテンペストが“人類から不の感情を取り除く”という点が黒呂木が創り出した零世界と共通し、アニメ版第12話で「嵐を呼ぶ魔法使い」とも呼ばれていた。
- 神の座を奪われる以前の記憶は殆ど残されておらず、覚えていたのは「零(れい)」という名前のみ。
- 管轄を東京都内で限定にするのは、王にとって因縁の地であるから。
即ち、「黒呂木零は消滅する中で少女に姿を変え、記憶をなくすと同時に“先人類の王”として現れた」ということになる。