アイアンコング
あいあんこんぐ
スペック
概要
旧ゼネバス帝国が開発したゴリラ型ゾイド。サイズは巨大ゾイドクラスに相当する。当時近接格闘戦で無敵を誇ったゴジュラスを射撃戦で撃破するというコンセプトで開発された。そのコンセプトの為、様々な距離に対応した多数のミサイルを各部に装備している。
格闘戦ではゴジュラスには劣るが、重装甲とゴリラ特有の長い腕により優秀な格闘性能を持ち、その他にも様々な装置を備えている。パワーも、アニメにてディバイソンをパンチや両手投げで易々と吹っ飛ばすほどある。格闘戦から砲撃戦までオールマイティに戦える故に万能ゾイドと呼ばれ、総合性能ではゴジュラスを上回るとも言われるほど。本機に対抗するために共和国軍はゴジュラスMK-Ⅱの完成を急いだ。
気性が荒く操縦が難しいゴジュラスに比べ、アイアンコングは大人しくて扱いやすく、二人乗りにして操縦者と射撃手に分担したことで、操縦は容易になった(ただし、アニメでは単座になっている)。高性能・多用途・操作性のバランスが整っており、パイロットの間では「ゾイドの最高傑作」と高い評価を得ている。
その高い評価とは裏腹に、アニメやバトルストーリーでは新型ゾイド相手に容易く撃破されているシーンが多いが、これはアイアンコングの戦闘力が恐れられており、対抗できる新型機でもって集中的に攻撃を仕掛けているからとされている。ゴジュラスも同様。
タカラトミーより発売されたポップアップキットは、モーター駆動で背中のミサイルを回転させながらゴリラのナックルウォーキングのように歩行し、一定の間隔で目を発光させて鳴き声(モーターの軋み音?)を発する。hmmではマニュピレーターとして指が開くだけでなく、口も開き、「噛み潰す」事に特化したバイトファングがある。バイトファングは第3のマニュピレーターにもなる。
因みに新シリーズ展開時に発売されたアイアンコングは、腹部のデザインや右肩のミサイルランチャーの弾の形状が旧版と異なっているが、これは『ZOIDS2』として海外で発売されていた際に使用する電池や安全基準の都合で変更された事に伴う仕様の名残である。
コトブキヤより発売されているHMM(Highend Master Model)シリーズは、動力を廃した代わりにプラモデルとしての完成度を高めており、ドラミングなど本物のゴリラのような動きを取らせる事が出来る。また、従来のキットでは不明瞭だった口や目が新たに設けられ、ポージングの表現に幅が広がるようになった。
『CA』のアイアンコングは、肩から腕部にかけて丸ノコと射撃武器を装備している。
バリエーション
アイアンコングMK-Ⅱ
右肩に大型のビームランチャー、背部にブースターなどを追加した強化型。
機体カラーリングも真紅に改められ、共和国軍からは「赤い悪魔」と恐れられた。旧ゾイドシリーズ展開時に小学館より発売された『ゾイドバトルストーリー』1巻でウルトラザウルス強奪作戦に関与したゼネバス帝国のスパイコマンド・エコーが搭乗。大氷原でウルトラザウルスをあと一歩という所まで追い詰めるも、救援に駆けつけたゴジュラスMK-Ⅱのキャノン砲の直撃を喰らい、敗れ去った。高コスト故に配備数は少ないが、「アルダンヌの会戦」などでもその姿を確認できる。後に装備を簡略化する事で製造コストの低減を図ったMK-Ⅱ量産型も配備された。(MK-Ⅱ量産型と区別する為、それ以前のMK-Ⅱは「限定型」と呼称される)この流れはライバル機であるゴジュラスMK-Ⅱと同じで、後のキットの復刻発売も一緒である。
アイアンコングPK(プロイツェンナイツ)
ガイロス帝国摂政ギュンター・プロイツェン直属の親衛隊「プロイツェンナイツ師団(PK師団)」の専用機。
赤系統のカラーリング(キットはピンクに近い赤)から「ブラッディコング」とも呼ばれる。武装はかつてのアイアンコングMK-Ⅱと同じで、機体そのものの強化と強化装甲を採用しており、どこかの仮面の人専用機の如く戦闘力は通常機の3倍以上とされている。
PK師団の正体は、ゼネバス皇帝の息子・プロイツェンの理想である「ゼネバス帝国の再興」を実現させる為に結成されたゼネバス帝国残党軍であり、その構成員の大半は老兵ともいえる、旧大戦を生き残った兵士達であった。
もう一つのゼネバス帝国残党軍である「鉄竜騎兵団」(アイゼンドラグーン)の中央大陸侵攻を支援するための囮として、アイアンコングPK及びハンマーロックで構成されたPK師団はガイロス帝国首都ヴァルハラでガイロス帝国軍・ヘリック共和国軍の大半と交戦し、同軍を道連れにしたプロイツェンのデスザウラーの自爆と共に玉砕した。
アニメ『ゾイド』ならびに『ゾイド新世紀/ゼロ』にも同種のカラーリングと武装が施されたアイアンコングが登場し、後者では劇中でジェミーが「PK型」と呼んでいるが、「プロイツェンナイツ」という名の部隊はバトルストーリーでのみ存在が確認されている部隊である為、アニメにおけるこの「PK」が何を意味しているのか疑問が残る。
トミーより発売されたポップアップキットは、旧シリーズのMk-Ⅱとほぼ同じランナー構成だが、通常のアイアンコングの肩部ミサイルランチャーのランナーが削除されている点が異なる。
ブラックコング
その名の通り、漆黒のカラーリングが特徴の改造機。
のちのギル・ベイダーのメインウェポンとなるビーム・スマッシャー(試作型)を搭載している。こちらは両腕から発生させた力場で形成した光輪を撃ち出すというものであり、威力がギル・ベイダーのものよりも劣っている。
旧大戦のバトルストーリーではシールドライガーを一撃で真っ二つにしてみせたが、ガンブラスターに対しては電磁バリアの破壊だけに留まっており、直後にガンブラスターの一斉射撃で蜂の巣にされてしまった。
その後、本機のデータがギル・ベイダーの完成へと繋がり、共和国軍を大いに苦しめる事となった。
アイアンコングSS
アニメ『ゾイド』に登場するガイロス帝国将校カール・リヒテン・シュバルツ専用機。装甲をアイアンコングPKと同じものに変更、背部のTVM地対地2連装戦術ミサイルを外してレッドホーンの3連突撃砲に換装、右肩にはビームガトリングを備える。
また、『ガーディアンフォース編』ではカラーリングをそのままにアイアンコングPKの武装で登場した事もある。アニメでは唯一アイアンコングPKと互角に戦えると言われており、デスザウラー戦などでも活躍した。
新ゾイドシリーズ晩期には、タカラトミーからZOIDS ANIME 10th EDITION-02 アイアンコング カール・L・シュバルツ仕様アイアンコングとして少量が限定発売。腹部と肩の赤のカラーリングは塗装済みパーツとして再現されている。
また、アニメ『ゾイド』の映像を特別編集したDVDが同梱されたほか、平成シリーズのごく初期にイベント限定品として発売されて以来、幻のアイテムと化していたカスタマイズパーツA1が同梱されており、これを使用してビームガトリングを無改造で肩に取り付けるする事が可能となっているが、レッドホーンの武装などは含まれておらず、完全再現には至っていない。また、ビームガトリングに動力を伝えるスプリングは背部のミサイルの回転軸に接続する方式ではない為、歩行に連動して回転させるといった事は出来ない。
コトブキヤのHMMシリーズでも立体化されており、こちらはカラーリングや武装は概ねアニメに準じた仕様となっており、立ち・座り状態の2種のシュバルツのフィギュアが付属し、コックピットも単座に改修されているという徹底ぶり。hmmによく見られる設定だが、ビーム砲はバーサークフューラーの荷電粒子砲同様に収束と拡散発射を切り替えられる。