シャインヒル学園
しゃいんひるがくえん
概要
HUGっと!プリキュアの主人公である野乃はなが、ラヴェニール学園への転校前に在籍していた中学校。
名前の初出は第2話で、さあやの回想シーンで一瞬映ったはなの転入届をよく見ると「転入前学校名」の記入欄に「シャインヒル学園」と記されている。
プリキュアシリーズで転校生キュアは結構多いが、転校前のことが話題になることは少ないので、はなの転校以前のことも視聴者からは特に気にされていなかった。しかし第23話で、はなの回想シーンにおいてシャインヒル学園在籍時代の様子が僅かにに描かれ、その内容が視聴者に大きな衝撃を与えた。
それは部活仲間からイジメを受けていた親友の女の子・エリを庇った結果、逆にはなが嫌がらせを受けるようになり、今度は誰も自分を庇ってくれずにクラス内で孤立してしまう。
はなが経験したことは、素行不良な一部の学生がはなをイジメのターゲットとしてつけ狙ったというだけの話ではない。クラスメートも教員も含めた校内の全員がはなの苦境を「見て見ぬ振り」をし続けたということでもある。
放映当時のイジメ問題を抉るような描写でもあるが、「学校」という閉鎖空間を子供を害する可能性があるものとして描いたのはプリキュアでは類を見ないことでもある。
はなにとって何より最悪だったのは、助けてあげたエリまでもが、はながイジメのターゲットになった途端に自分と距離ととるようになったことである。
当時のエリの心情については第31話で明らかになるが(詳細は当該項目を参照)、はなにとっては自分が一番苦しい時に親友同然だったエリが離れたことはとてつもないショックであり、「自分が正しいことと思ってエリを庇ったのは余計なことだったのかも知れない。何が悪かったかはわからないけど、あれがきっかけでエリに嫌われたんだ」と思い込み、自分の中にある善意や優しさに自信を持てなくなってしまう。気持ちが弱っていたところに毎日のイジメの辛さが覆い被さりはなの心はボロボロに苛まれ、最終的にはひきこもりになりかねない状態にまで追い詰められていたようだ。
はなにとってのシャインヒル学園時代は、まさに黒歴史とトラウマに彩られた学園生活の象徴だったのである。
そんなはなを救ったのは母親のすみれからの「あなたは間違ってない。だから、もう我慢しなくていい。」という励ましと肯定の言葉であり、それ以降母親のようなイケてる大人の女性に憧れるようになった。また、母親のように誰かを励ませる人間になりたいという思いがはなの「応援」の根源となっている。
この直後にはなは転校することになる。天候理由については作中明示されていないが、両親の仕事の都合と単純に考えられる他に、「もう我慢しなくていい」という母の言葉から推測するに、はなの環境を改善させるためであった可能性は高い。
早い話がこの時の出来事が現在のはなの大きな起点となったわけだが、その当時の出来事は彼女の心に深いトラウマとなって残り続けている。
第1話で「元気でお茶目な自分」から卒業しようとしたのも、単なる転校デビューや「イケてる大人のお姉さんへの第1歩」だけでなく「もう同じ失敗をしたくない」という割と後ろ暗い動機もあるようだ。だが、転校早々に新しく友達になった薬師寺さあやと輝木ほまれがはなの「元気でお茶目」なところを「イケてる」とお世辞抜きで認めてくれたから、そんな自分のあり方を無理に変えることはやめたのである。
しかし、自分を認めてくれたさあやほまれに対しても、自分の過去について正面から話すことは(原因となったと思ってる自身の性格を口にすることはあるが)長い間ためらっていた。
第24話ではプレジデント・クライの言葉が頭によぎり、はなが強い恐怖に囚われる描写が多々ある。
それでも、内心では過去と向き合って前に進みたいと願ってはいたのも確かである。
そしてついに第31話にて、はなのトラウマの中心にいる元同級生・エリが登場。2人が過去のしがらみを乗り越えることができるかどうかが問われることになる。
余談
名前の元ネタは、東映アニメーションが2014年4月から2018年1月までの間、大泉スタジオの建て替え工事のために仮設スタジオとして設営された「光が丘スタジオ」からだと思われる。
2018年1月に大泉スタジオの建て替えが完了し、機能はそちらに戻された。つまり本作の開始直前にスタジオの引っ越しがあったわけで、「はながシャインヒル学園から転校してきた」というタイミングから本作が始まるのはそういう意味合いもあるかも知れない。
光が丘スタジオで作られたプリキュアは『ハピプリ』『Goプリ』『まほプリ』『プリアラ』の4作となる。ちなみに、光が丘モチーフのネーミングは『ハピネスチャージプリキュア!』のぴかりが丘が登場済み。こちらは光が丘スタジオで作られた最初のプリキュアとなる。