概要
ラヴニカ次元出身の ゴルゴン。 ギルド:ゴルガリ団所属の暗殺者。彼女もまたプレインズウォーカー。
「あらゆる者がそれに値する死を受け入れねばならない」という思想を持っており、信奉者である暗殺者たちを使ってそれを実践する。
また、それと同時に「弱い者は殺さない」というポリシーも持っており、無秩序に殺人を繰り返す快楽殺人鬼のような人物ではない。
アゾリウス評議会による地下都市の掃討作戦によって彼女を始め多くの団員が逮捕されたが、その数は拘置所の許容数を上回りやがて暴動となって一階部分を占拠した。地下に押し込められた囚人たちの一部はヴラスカを武器とするために彼女の猿轡と目隠しを解き放つも、看守は彼女を打据えて鎮圧しようとした。ヴラスカが死に瀕したその時、彼女のプレインズウォーカーの灯が点り、彼女はラヴニカから消え去った。
ヴラスカは出口のない闇の世界に放り出され、次元を渡る方法を修得するまでそこに留められたが、それは彼女にとっては永遠とも感じられるような時だった。やがてラヴニカに戻った彼女は信奉者を集め、掃討作戦に関係した全ての人間たちをそれぞれ相応しい方法で抹殺した。それにより彼女はアゾリウス評議会にとって重大なお尋ね者の一人となった。
アゾリウス評議会による重要指名手配被疑者10人(外部リンク参照)
ラヴニカに滞在している間はゴルガリ団のために闇の仕事を請け負っており、その引き換えに誰にも価値が理解できないような風変わりな報酬を要求する。ギルドは彼女を有用な秘密兵器とみなしているが、彼女自身はギルド内部の政治的な駆け引きや内部事情からは距離を置いている。彼女がプレインズウォーカーであるという事実はゴルガリ団にも知られておらず、仲間のゴルゴンたちですら彼女がしばしばどこへ姿を消すのかを察することが出来なかった。
イゼット団所属のギルド魔道士ラル・ザレックが電光虫計画のデータ隠蔽中に、偶然ヴラスカが次元と次元の間に広がる久遠の闇で姿を消したデータを発見する。
ヴラスカはどこに消えたのか・・・?
敏腕船長ヴラスカ
その後イクサラン・ブロックにおいて、黄金の都オラーズカを目指す海賊船「喧嘩腰」号の船長として再登場を果たした。
旧く強大なプレインズウォーカー、ニコル・ボーラスに「ゴルガリ団のギルドマスターにする」という報酬と引き替えに、
「イクサランの黄金の都オラーズカにある『不滅の太陽』というアーティファクトを運び込む」という依頼と依頼遂行に必要な航海術の知識を与えられ、船員を集め、航海を行っていたのである。
航海の途中、偶然にもかつての宿敵たるジェイス・ベレレンと再会を遂げ、記憶喪失により敵意を失った彼の姿勢に困惑しつつも、ヴラスカに協力的な姿勢を見せた彼を「喧嘩腰」号の乗組員として迎える。
『敏腕船長ヴラスカ』(外部リンク参照)
変わりゆく先に
オラーズカへの航海の最中、ジェイスとヴラスカは互いのことを語り合った。
ジェイスは自身の能力のことを、ヴラスカは自身の依頼や過去の出来事、大好きなお菓子の事など、多くのことを語った。
そうしていくうちにヴラスカは、馬鹿正直で、自分を姉のように慕い、辛い身の上話まで親身になって聞いてくれるジェイスに好意のような感情を抱いていった。
ある日の航海中、ジェイスは解析を任されていたオラーズカへと至るキーアイテム「魔学コンパス」の仕組みの解明に成功し、その事をヴラスカに報告しようとするが、それと同時に船は大嵐に見舞われて挫傷してしまう。
命からがら脱出したジェイスとヴラスカは、漂着先から陸路でオラーズカを目指す事となる。
争奪戦。そして、溢れ出る記憶。
二人がオラーズカへと向かう最中、魔学コンパスを狙う者らに襲われる。
彼らもオラーズカを目指す集団の一員で、その手がかりとなるコンパスを狙っていたのだ。
襲われたジェイスとヴラスカはそれぞれの能力や機転を活かし、襲撃者を撃退する。
そしてついにオラーズカへと至った二人だが、その瞬間に大規模な地割れと激流に見舞われ、ジェイスは流されてしまう。
辛うじて命をとりとめたジェイスをヴラスカは介抱しようとするが、ジェイスに触れた瞬間、そのショックで失われていたジェイスの記憶が溢れ戻り、同時に彼の半生…どこか自分とと似た、苛烈な半生の記憶の奔流がヴラスカにも流れ込む。そこにはジェイスを殺そうとした、怪物じみた恐ろしい暗殺者のであった自身の記憶も含まれていた。
ヴラスカは友情の終わりを覚悟したが、航海の中でお互いの心の中を誰よりも深く知った二人にとって、それは杞憂だった。
太陽の向こう側の調停者、彼らの謀り。
互いの友情を改めて認識した二人は、地割れと共に現れた建物を目指す。
不滅の太陽はおそらくここにあると確信したジェイスは、建物の扉を開く。
その先で待っていたのは『不滅の太陽』と、ラヴニカのギルドの一つ、アゾリウス評議会の創始者であるスフィンクスのアゾールだった。
そもそも『不滅の太陽』はウギンの協力で、アゾールのプレインズウォーカーの灯を犠牲に作り上げたもので、その目的はボーラスをこの地に封じるための物だった。
ウギンはボーラスをおびき寄せるために行動を開始していたが、いつまで立ってもボーラスは現れず、業を煮やしたアゾールは『不滅の太陽』を持つにふさわしい者・組織が現れるまで待つ事にした。
だが、それはアゾールの独善的な行動で多くの人間を犠牲にする事であり、それを嫌うヴラスカとジェイスはアゾールを拒絶、ジェイスのギルドパクトの能力でアゾールを断罪し、ジェイスが記憶を失って流れ着いた島へと追放した。
斯くして、目的の『不滅の太陽』は手に入った。
しかし、これを狙うボーラスはラヴニカを狙っている。
ボーラスの真の目的を聞かされた今、『不滅の太陽』をボーラスの手に渡すことは故郷ラヴニカの破滅を意味していた。同時に、ジェイスと関わったことも精神魔法で看破され、口封じにどちらも殺されてしまうだろう。かといってこのままでは、『不滅の太陽』によってプレインズウォークできず、イクサランに囚われ続けてしまう。
そこでヴラスカは、ジェイスに自身の記憶を一時的に預かるように依頼する。
次に出会ったときは以前のような敵同士になってしまうが、自身とラヴニカを守るため、いずれ絶好の機会が訪れた時に記憶を戻し、ボーラスを裏切るために。
全てが終わった後に二人でラヴニカのブリキ通りの市場の本屋に行き、コーヒーを飲み交わす約束を交わしながら、ジェイスへ記憶を預けた。
そして二人はイクサランを去った。またいつか出会えると信じて。
それぞれの目的、そして大いなる謀のために。
ストーリーアーカイヴ・イクサランの相克(外部リンク参照)
カード性能
見えざる者、ヴラスカ
マナコスト | (3)(黒)(緑) |
---|---|
カードタイプ | プレインズウォーカー — ヴラスカ |
初期忠誠度 | 5 |
能力 | [+1]:あなたの次のターンまで、クリーチャー1体が見えざる者、ヴラスカに戦闘ダメージを与えるたび、そのクリーチャーを破壊する。 |
[-3]:土地でないパーマネント1つを対象とし、それを破壊する。 | |
[-7]:「このクリーチャーがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーはこのゲームに敗北する。」を持つ黒の1/1の暗殺者クリーチャー・トークンを3体戦場に出す。 |
初カード化はエキスパンション:ラヴニカへの回帰。
相手に選択権はあるものの、ヴラスカ自身への攻撃を抑止する[+1]能力で牽制。[-3]能力で厄介なパーマネントを排除したりと制圧力よりもボードコントロールに特化したカード。
[-7]能力は分かりやすく勝利に直結した能力。ただし、3体居るとはいえ1/1と素のサイズは貧弱。全体除去の使用直後に能力起動・回避能力付加可能なカードと絡めるといった工夫が必要になる。
秘宝探求者、ヴラスカ
マナコスト | (4)(黒)(緑) |
---|---|
カードタイプ | 伝説のプレインズウォーカー — ヴラスカ |
初期忠誠度 | 6 |
能力 | [+2]:威迫を持つ黒の2/2の海賊・クリーチャー・トークンを1体生成する。 |
[-3]:アーティファクト1つかクリーチャー1体かエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。「(T),このアーティファクトを生贄に捧げる:あなたのマナ・プールに好きな色1色のマナ1点を加える。」を持つ無色の宝物・アーティファクト・トークンを1つ生成する。 | |
[-10]:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーのライフ総量は1点となる。 |
イクサランにおいて海賊船の船長として再登場を果たしたヴラスカの姿。
海賊・クリーチャー・トークンの生成能力、宝物・アーティファクト・トークンの生成など。
素の初期忠誠度が6とかなり高く、初手でプラスなら忠誠度8にブロッカーという硬さ、マイナスでも次のターンにもう1回除去能力撃てるなどマナ・コスト相応のカードパワーを持つ。
マナコストが重いので高速デッキには向かないが遅めのデッキではその高いボード・アドバンテージ能力の数々で、船長らしく頼もしい働きをしてくれる。
背景ストーリー通り海賊クリーチャーとのシナジーを持つが、イクサランの海賊クリーチャーは青黒赤に属するため色が合わないという、
良くも悪くも「その次元にとって異質な存在」であるプレインズウォーカーを表すカードデザインとなっている。
なお、カードタイプ表記が「伝説のプレインズウォーカー — ヴラスカ」と、
見えざる者、ヴラスカの「プレインズウォーカー — ヴラスカ」とは異なる表記となっているのは、
イクサラン・ブロックを機に「プレインズウォーカーの唯一性ルール」が廃止され、過去すべてのカードを含むプレインズウォーカー・カードは「伝説の」の特殊タイプを持つカードとして扱われるようルールが変更されたためである(これにより、伝説のクリーチャー同様設定上同一人物のカードであっても、カード名が異なるならば同一プレイヤーが各1枚のみずつ、同時にコントロールできるようになった)。
ゴルゴンの陰謀家、ヴラスカ
マナコスト | (4)(黒)(黒) |
---|---|
カードタイプ | 伝説のプレインズウォーカー — ヴラスカ |
初期忠誠度 | 5 |
能力 | [+2]:ターン終了時まで、あなたがコントロールするクリーチャーは+1/+0の修整を受ける。 |
[-3]:クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。 | |
[-10]:ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは接死と「このクリーチャーが対戦相手1人にダメージを与えるたび、そのプレイヤーはゲームに敗北する。」を持つ。 |
イクサランの相克のプレインズウォーカーデッキに収録された3枚目のヴラスカ。
6マナという重さに対し[+2]能力の効果が小ささが気になるところ。[-3]能力を目当てにするにしても前述のイクサラン版のヴラスカ除去能力と比べても見劣りし、
収録セットも相まって『初心者用のプレインズウォーカーカード』としか感じられず、対戦環境的にはどうにも厳しい。
関連ページ
上司? → ゴルガリの死者の王、ジャラド
依頼主 → ニコル・ボーラス
敵対→(一応)協力者、部下? → ジェイス・ベレレン
『ラヴニカのギルド』時代のギルドマスター
- 万面相、ラザーヴ/Lazav, the Multifarious(ディミーア家/House Dimir)
- イゼット副長、ラル/Ral, Izzet Viceroy(イゼット団/The Izzet League)
- ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen(ゴルガリ団/The Golgari Swarm)
- 正義の模範、オレリア/Aurelia, Exemplar of Justice(ボロス軍/Boros Legion)
- 不和のトロスターニ/Trostani Discordant(セレズニア議事会/The Selesnya Conclave)
外部リンク
『マジック:ザ・ギャザリング』公式サイトにおける「ヴラスカ」の紹介記事