1970年頃から本格的に広まったと言われる違法暴走集団。
警察の分類では「共同危険型暴走族」と、「違法競走型暴走族」に分けられる。公道で危険暴走を行うのはどちらも同じだが、後者は「走り屋」「ローリング族」などと呼ばれることが多く、「暴走族」の名で世間で一般的にイメージされるのは前者の「共同危険型暴走族」である。
改造バイクや特攻服などの特徴的なスタイルで徒党を組み、夜間等に暴走行為を行い社会問題化した。女性の暴走族は「レディース」とも呼ばれる。
主に道路交通法の共同危険行為として罰せられる、違法行為である。
共同危険型暴走族
かつては特攻服を着て、改造バイクなどに乗り、独特のセンスの漢字の当て字(「夜露死苦」など)や右翼的なデザインの意匠(旭日旗など)を好んで使ったりといったスタイルがおなじみであったが、段々こうしたオールドタイプの暴走族は減っている。上下関係などが厳しく、「総長」「特攻隊長」「親衛隊長」などの役職が設けられていたりもする。またヤクザなどに上納金を納めさせられている場合もある。かつてはヤクザの人材供給源のひとつであった。
こうした体質は現代っ子には「ダサイ」と受け止められ、新入者が減り衰退中。東京や湘南などの大都市近郊では従来型の暴走族はほぼ絶滅している(まだ地方によっては昔ながらの暴走族が残っている場合もある)。こうして暴走族の高齢化が進んでおり、かつては18歳前後で引退したものが、今や主力が妻子持ちの30代という有様である。
近年顕著なのは、古いオートバイを乗り回す「旧車會」の暴走族化である。本来は1970年代〜80年代の旧車を愛好する大人の集まりだったのだが、暴走族を卒業した大人の流入により、しばしば少年時代の昔を懐かしんで暴走する成人版暴走族と化している。独特の漢字の当て字や改造バイクなどは旧来暴走族のスタイルそのものである一方、必ずしも特攻服を着用せず、コスプレや着ぐるみを着用する者までいる。SNSを利用し仲間を募り顔見知りでない者が参加することも多く、厳しい規律や上下関係などはほぼない。また従来型暴走族に比べ年齢層も広く、60代から10代までいる。親子が一緒に暴走する事も珍しくはなく、2014年には大阪府茨木市を拠点とする旧車會に所属する母親がコンビニ店員に暴行する様子を娘が撮影していたことから発覚した「コンビニ土下座強要事件」が起こっている。
さらに、都市部ではかつての暴走族のOB同士の繋がりを活かした、暴力団などに属さない「半グレ」と呼ばれる犯罪グループなどが問題となっている。
暴走族の数には地域差があり、冬に路面凍結して走れない北海道などの北国にはもともと少なかった。ただ、札幌市などでは、徒党を組んで大声を出し練り歩く「徒歩暴走族」(走らないのでこのネーミングはちょっと変なのだが)なるものもおり、雪国でなくても祭りなどで大規模な交通規制が敷かれる際に、バイクなどの車両に乗らず騒いだり暴徒化する例もある。姫路市では夏祭りの際に「バーリバリ!」などととバイクの音を模した大声を出して練り歩く徒歩暴走族が出現し大規模な取締が行われ、ネット上でも話題になった。またかつてはバイクに乗れない中学生による「自転車暴走族」も存在した。
アメリカの暴走族
アメリカではモーターサイクル・ギャングと呼ばれる日本の暴走族のような犯罪集団と、昼間にフリーウェイを集団で爆音を立てながら大型オートバイで疾走するモーターサイクル・クラブの二つに分類される。
モーターサイクル・ギャングは恐喝・麻薬取引および殺人事件をやらかしており日本のヤーさんに近いより凶悪な集団でありその構成員は大人で、日本の暴走族のような他の組織の下部構造ではなく、独立した暴力団組織と見なされるなどの傾向が見られる。その代表的なのがヘルズ・エンジェルスである。
ただ、この犯罪組織のスタイル(ファッションなど)は健全な趣味の範疇にあるモーターサイクル・クラブに継承されているケースが多く、外見上で両者を見分けるのは困難なようである。
違法競走型暴走族の場合では、長い直線道路を利用した違法なドラッグレースが多く行われている。ナンバープレートを外して走る悪質な者も存在する。地形的に曲がりくねった峠道が少ないことから、ローリング族は定着していない。
一方のモーターサイクル・クラブは季節労働者として全米を移動しながら活動していると見られており、また健全な趣味として認知されるべく、ハイウェイ周辺のゴミ拾い活動を展開するなど、社会奉仕活動に率先して従事する姿も見られる。その多くは成人の肉体労働者(ブルーカラー)であるため、自身の健康を損なう麻薬には手を出さない・社会のルールを守るなど、一定の自負をもって活動している様が見られ、日本の反社会的な存在としての暴走族とは大きな違いがあり社会的に容認されている。
なお、モーターサイクル・ギャングは映画「マッドマックス」の影響か、ポストアポカリプスジャンルの作品にもしばしば登場している。
フィクションの暴走族
一時期は漫画の題材としてもよく扱われたが、上記のような社会情勢の変化もありかなり作品数は減っている。
(日本的な)暴走族を扱ったフィクション作品
実在の暴走族人物
など。