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特攻天女

とっこうてんにょ

みさき速作の漫画作品。秋田書店の「週刊少年チャンピオン」に連載された。
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概要編集

みさき速作の漫画作品。秋田書店の「週刊少年チャンピオン」に1995年から連載された。全30巻。

他のヤンキー漫画との大きな特異点として、不良に対する美化を行わず、その粗暴な振る舞いの負の側面を強く強調されている点にある。

例として、「仲間や身内には優しい→それ以外の人物には無関心かついくらでも冷酷になれる」ため、巻き込んだ一般人への容赦ない被害を主人公の親しい不良仲間たちも躊躇わない存在であること、一般人には手を出さない気の良い不良であろうと一般人からしたらいつ被害をもたらすかわからない危険人物・そんな危険人物を仲間と思い許している同罪の存在であること(主に作中で不良狩り編にて描写されている)や、不良への復讐で無関係な相手を巻き込まない主人公の友人の(まともな)不良の娘も所詮は不良として顔に消えない傷を負わせられている。

作中最大の長編では、仲間達の過去の悲劇が暴かれながら、罪悪感も抱けない主人公サイドの加害者である仲間が報復戦争を選択して泥沼の陰惨な展開へともたらしている。

そんな仲間達をもつ主人公は、仲間でなかろうとも他の存在を一人の人間として向き合う器量を持ち、立ち向かっていく。


主な登場人物編集

  • 和泉 祥(いずみ しょう)

千葉最強を誇るレディース「夜桜会」の2代目特攻隊長。バイクの運転が不得意でバイクを所持していない。イケメン好きの面食いで惚れっぽく美形とプリンが好き。更に喧嘩も好きで常用武器は特殊警棒だが、無関係な相手を巻き込むことはない。特攻服の色は白。基本的に短気で粗野な性格だが、相手の言い分や背景に耳を傾けられる器量と、こうと決めた意志を最後まで貫く強さを持つ。

ある時に病弱の少年との交流を経て、人の死は決して遠いものではないことを実感したこともあるため、最後まで一線を越えない芯の強さを心掛けている。


  • 天野 瑞希(あまの みずき)

連載開始時17歳。容姿端麗。ケンカが売りの「夜桜会」の総長、と同時に天野財閥の令嬢でもある。愛車は赤のカマロ。

過去に身代金目的で誘拐され、犯人に強姦された経緯と、心の傷が癒えぬまま祖父の意向で社交界へと連れ出された事で、精神の均衡を失い、他者への痛みに無関心となり、目的のためにいかなる被害も辞さない危険な人格を形成してしまった。

それでも、善意の塊のような医師・本郷廉太郎との出会いで笑顔を取り戻した時期もあるが、ある患者の治療に専念する姿に嫉妬して、その患者を殺害。その行いと、決して罪悪感を抱かない瑞希を恋人という事で許してしまった廉太郎は、贖罪のため瑞希との別れと外国の危険地帯への医療を選択。その意味を理解出来ない瑞希は、廉太郎と同様に危険を感じていたいと、高村達とつるんで修羅の如き人生を歩んでいく。

最期は、廉太郎を追って海外へ渡るも、彼と再会する直前に地雷で死亡する。


  • 高村 大(たかむら だい)

千葉最強の暴走族「鬼面党」の党首。連載開始時17歳。趣味は暴力と暴走。特攻服の色は黒。

和泉祥に一目惚れし、何度もアタックするがことごとく玉砕している。

ヤクザの子として生まれて、凶暴性と他者を傷付けることを楽しみながら、周囲の人間を暴力でコントロールして保身も行う狡猾さを併せ持っており、自身の罪業の後悔も罪悪感も抱けない危険人物なのだが、祥との出会いで多少丸くなるも、過去最大の罪が逃してくれることなく、一時は祥との決別を告げられて、後悔どころかそれを表沙汰にした被害者の復讐を償うどころか、逆恨みの報復を選択して大抗争へと発展していく。

最終的に戦争の終わりでようやく自己の振る舞いを省みたものの、結局は反省を出来ない自分と向き合い、最終的に相手の泣き寝入りに対して謝罪ではなく自分の弱みを握らせる形でしか誠意を示せなかった。それでも、意向はその被害者のため迂闊な事はしたくないと、その暴力性はなりを潜めるようになる。


  • 遊佐 明仁(ゆさ あきひと)

鬼面党特攻隊長。過去に瑞希と高村と共に悪事を行ってきた。瑞希に惹かれて何度もアタックしながらも、手に入らないと知るや放浪の旅をしていたために序盤は未登場だった。

要領が良く世渡りが上手い。一方で、瑞希や高村同様に身内以外の相手への冷酷さは極まりない。それでも仲間達の中にいたアキラ(女子禁制の鬼面党に性別を隠して所属していた少女)との交流で、瑞希以外の女性への優しさに気付くも、瑞希を追い掛ける道を選ぶ。

終盤は瑞希の死から逃避するために薬物中毒でボロボロの身に陥るが、瑞希が選んだ男で死因となった廉太郎の存在を知るや、彼を殺すために薬物中毒の治療を受けるもそれは叶わず、最後はようやく自分も過ちの償いを選んで仲間達の前から姿を消す。



  • 伊沢 吉成(いざわ よしなり)

鬼面党の副長、作品の中ではかなりマトモな人物。鬼面党を女人禁制にしたのも彼(高村と遊佐の悪行を知ってのこと。そのせいでアキラが面倒な事になったのは気にしている)。

弟や妹が多数いる。不良ではないのだが高村のストッパーになるため不良をやっている。


  • 矢野 アキラ

鬼面党の特攻隊長で、空手の達人。女人禁制でレディースもない鬼面党に入るため、当時としては珍しかった男のフリをしている女、男装の麗人

高村のためなら命も捨てられる程に崇拝しており、月下仙女編で、姫月の協力者の清宮と交渉に赴いた際、相手の逆鱗に触れ、片目を失明しても、高村に悲しまれ、激昂してもらったことに喜んでしまうほど。同時に、不良でありながらも元々は普通の一般人だったために、清宮は不良ではない故に、不良の理屈を持ち込んでしまった過ちに気付いてもいる。

最初は高村に惹かれていたが、後に自分が女性と気付いた遊佐へと心を動かしていが、実は女性だと気付いている伊沢から好意を向けられていると言う複雑な人間関係の中にいる。


関連タグ編集

不良漫画

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