日本のヒーローは恥ずかしがり屋
世界の光も、君の心も助けたい——。
概要
秋田書店の開催した第2回「NEXT CHAMPION 新人漫画賞」で読み切り版が新人大賞を受賞し、「週刊少年チャンピオン」2017年7号に掲載。後、長編版が同誌2019年35号より連載中。既刊21巻。
変身ヒーローが実在するものとして現れ、世界中から戦争がなくなった新時代を舞台に、人の心の在り方を描くヒューマンドラマ。
あらすじ
21世紀の半ば、地球上に《ヒーロー》と呼ばれる超人が次々と出現し、治安の維持や慈善活動を行うようになった時代。各国に一人ずつヒーローが選出される中、日本のヒーローは恥ずかしがり屋の女子中学生・紅葉山テルが変身する《シャイ》だった。
生まれ持った性格からまるでパッとしないシャイは、遊園地で人命救助を行っていたある日、尽力もむなしく少女に重症を負わせてしまう。自信を喪失したシャイは、それでもロシアのヒーロー《スピリッツ》をはじめとする仲間たちや、自分を信じてくれる市民の声に支えられ、ヒーローとして一歩成長する。
後日、テルの通う中学に小石川イコが転校してくる。彼女はシャイが遊園地で助け損ね、負傷させてしまった少女だった。イコはその明るさで周囲に溶け込み、テルともすぐに仲良くなるが、そこへ謎の少年《スティグマ》が現れ、イコの負の感情を増幅させて怪物に変えてしまう。
そこでイコが心の奥底に留めていた負い目を知ることになったテルは、シャイとなってイコの暴走を受け止め、かつて祖父から受け取った言葉でイコを諭し、彼女の心を救うのだった。
その後、すべてのヒーローの統括を行う《ユニロード》を交えた会議で、一年前からスティグマが世界中で暗躍していること、彼の誘発する破壊活動が現在のヒーローにとっての最重要課題であることを聞かされる。
やがてスティグマとの遭遇を重ねるうち、世界の在り方を変えようとする子供たちの集団《アマラリルク》の存在が明らかとなり、世界各国のヒーローたちも彼らとの長い戦いの中で、人々の心や己の過去と向き合うことになる。
登場人物
現ヒーロー
CV:下地紫野
素顔は黒縁眼鏡をかけた地味な中学生。両親がいるがヒーロー活動のことは知らず、かつては姉がいた。好きなものはホラー映画と納豆。
人前に立つだけで緊張してしまう極度の照れ屋であり、失敗をすればいつまでも自分を責め続けるほど内省的だが、他人のためなら身を粉にして力を発揮する。当初は表面的な性格やデビューしたての新人ということもあって、人気も知名度もかなり低かった。
主に災害救助専門だった為に序盤は戦闘もまるで未経験だったが、第2巻でのスターダストからの試練を経て炎を操る力を発現させた。第11巻からは天王寺昧から受け継いだ心遺物から風の力も引き出して応用している。
CV:能登麻美子
ロシアのヒーロー。27歳。
瞬間移動を使い、何かと神出鬼没。シャイ/テルのことを気遣い、姉のようにふるまっている。常にお酒を呑んで天真爛漫に酔っぱらっているが、素面になると真面目。
周囲の気体を自在に操る「ふわふわ」の力を持ち、自身の体も気体に変化させられる。
12歳のときに母を亡くし、17歳になるまで母が育ったのと同じユーリイ孤児院に入居していた。「ペーシャ」というごく親しい間でしか使われない呼び名がある。
CV:三木眞一郎
イギリスのヒーロー。29歳。
ヒーローの中で唯一、実名と素顔を公表している。世界的ロックスターとして成功をおさめており、チャリティーコンサートを開けば数億ドルの寄付金を集められるほどのカリスマ性がある。慈善団体への寄付金は計50億ドルを超え、国際救護団体・黒十字を設立し、間接的に救った人の数は全ヒーローで一番とされている。
CV:鈴代紗弓
スイスのヒーロー。16歳。
国際救護団体・黒十字の看護学生。治癒の力を持ち、ヒーローたちの治療を行う。また、二丁拳銃を使っての戦闘も可。
思ったことをハッキリ口に出してしまうタチで、口癖は「バカなんじゃないの」。特にテルに対してはツンケンしがちだが、看護師志望としての精神は本物で、常に逆境をバネに変えてきた努力家。
ドイツのヒーロー。
国際救護団体・黒十字の代表にして医療部長を務める壮年の男性。職業は医師。
CV:村瀬歩
中国のヒーロー。15歳。
いかにもカンフー使いのような恰好をしているが、本人は争いごとが苦手。相手を眠らせる力を持ち、能力と中国拳法「龍眠拳」を組み合わせて、相手を傷つけることなく倒す。
童顔のため女子に間違われることがコンプレックスで、本人は「男らしい」男になりたいと願っている。語尾は「です」。
センチュリー / アダム=ロックウェル
CV:羽多野渉
アメリカのヒーロー。36歳。ヒーロー名は「リーダー・センチュリー」と記述されることもある。
筋骨隆々、堅物の軍人気質、娘を愛するパパという、いかにもアメコミやハリウッド映画の主人公を思わせるヒーロー然とした男性。見た目に違わぬリーダーシップがあり、複数のヒーローが動く際は中心となって行動する。
重力を扱う力を持ち、ブラックホールを出現させることもできる。
ラヴォワール / ラルク=マテリア=ルノアール
フランスのヒーロー。18歳。
新進気鋭の芸術家で「宇宙(ユニヴェール)アーティスト」の異名を持つ。
誰に対しても奔放なイタズラ好き。あらゆる国、性別、敵味方に境界を持たない主義。一人称は「ぼく」。
絵筆を使って空間に絵を描く、物体を修繕する、人の見た目を上描きする「贋作(フェイク・アップ)」といった様々な能力を使う。
ニルヴァーナ / アナンダ=ヴァルマ
インドのヒーロー。
日本の先代ヒーロー・シャインが縁となって結成された6人組のヒーローチーム《六輝星(シャイニング・シックス)》のリーダー格。その実力は世界最強と謳われるほどで、アマラリルクも彼の姿を一目見ただけで撤退を余儀なくされた。
精悍な顔立ちと整った筋肉質の体躯を持つ褐色の美青年。音痴なのが玉に瑕。
かつてシャインとともに心の修行を積んだ仲間であり、シャインの素顔を知る数少ない人物。シャインに恋の告白をしたこともあったが断られている。
インドラ / セーヴァ=ワングチャイ
タイのヒーローで、六輝星の一員。
ジャガナート / オメガ=ロドリゲス
メキシコのヒーローで、六輝星の一員。
何かと情熱的なレスラー風の巨漢だが、元マフィアの用心棒。かつて敵対関係にあったロザリアとシャインの縁で結ばれ、現在は夫婦ヒーローに。
初登場は第10巻だが、第1話のカラーページに変身後の姿だけ登場している。
パヴォレア / ロザリア=ピーコック
スペインのヒーローで、六輝星の一員。
女子に対するセクハラが好きなお姉さんだが、元殺し屋。かつて敵対関係にあったオメガとシャインの縁で結ばれ、現在は夫婦ヒーローに。
パルス / ウェイブ=ワン
シンガポールのヒーローで、六輝星の一員。
機械いじりを好むインドア系少年。ぶっきらぼうだが異性の免疫がまるでなく、第11巻でテルと閉所に閉じ込められた際は大慌てしていた。
能力は電波を使って電子機器を自在に操る「フェイタル・ウェーブ」。
ランペイジ / ニェルコ=アームストロング
ギリシャのヒーローで、六輝星の一員。
猫のように気まぐれな性格で、邪魔されることを一番嫌う。変身後の姿も猫耳と尻尾をあしらったパンクファッションとなっている。
能力は周囲の金属を操って武装する「デスメタルフィスト」。
アニマ / ロマン=アブドウルマジド
ナイジェリアのヒーロー。
第12巻でピルツとともに祖国を訪れるも、アマラリルクの起こした「感情の暴走」による暴動に巻き込まれる。
ハルティア / カノン=アホネン
フィンランドのヒーロー。18歳。
通称「ハッピーちゃん」。花を咲かせて周囲を(強制的に)和ませる力「ガーデニング」を持つ。
第15巻で仲の良いスピリッツがアマラリルクに囚われていることを知り、ヒーロー会議に参加した。
デモン・ワーカー / ハン・ロウドゥ
韓国のヒーロー。
ブラック労働の撲滅と労働環境の改善を目標に掲げるサラリーマン型ヒーローで、職務外のことはやらない。
第21巻でミェンロンからの伝言をシャイに伝えた。
先代ヒーロー
シャイン
シャイの前に日本を守っていた先代ヒーロー。
世界中から尊敬を集めていたカリスマ的存在であり、『世界で最も愛すべきヒーロー』賞を3度受賞して3度辞退したこともある。悪人からは「白い悪魔」と呼ばれて恐れられた。第84話から数えて三年前に殉職しているが、六輝星をはじめとして現在でも彼女を慕うヒーローは多い。
実は転心輪を使わずに心の力を発現できる超特異体質の「怪物」であり、幼少期はその巨大すぎる力を制御できずに深く心を閉ざしていた。転心輪には心を制御する働きがあることから、わずか3歳のときに先代ヒーローのケンシンから転心輪を受け継ぎ、その一年後からエヌ=ヴィリオとともにヒーローとして活動を開始した。8歳のときにある人物と出会ったことで心が芽生え、またニルヴァーナとともに心の修行を積んだことで、世間に知られるヒーロー像を自ら作り上げていった。
ケンシン
シャインの前に日本を守っていた先々代ヒーロー。
和洋折衷した甲冑に身を包んだ男性で、武士のような口調で話す。シャインが3歳のときに転心輪を託し、その一年後に持病で他界した。
ヘクセン / タバサ=バッドクラフト
スイスの先代ヒーロー。
ピルツの幼少期の時点で104歳の老婆。人を怖がらせることが趣味で、その風貌は完全に魔女。本業は小説家で、その作風から「バッドエンドの魔女」の異名を持つ。
夜龍(イェロン)
中国の先代ヒーロー。
通称「ドラゴン・ナイト」。その名の通り、夜にしか活動しないため謎が多い。
170話から数えて五年前にミンミンに転心輪を託した。
ヒーローの支援者
ユニロード(天帝)
CV:井上喜久子
ヒーローを統括する存在。顔を隠した女神のような姿をしているが、その素性は不明。
地球から少し離れた場所にある宇宙船をヒーローたちの本部としている。誰に対しても慈悲深く、また来客に手料理をふるまうなど親しみやすい性格。愛称(?)は「ユニっち」。
エヌ=ヴィリオ
CV:杉田智和
ヒーローたちの支援を行う海老の姿をしたマスコットキャラクター。同じ姿をした個体が複数いる。ヒーローたちに情報を伝達するほか、時には話し相手にもなる。
テルと親しい個体は「えびお」という愛称で呼ばれている。
アマラリルク
CV:田村睦心
《アマラリルク》を率いる謎の少年。
人の夢を叶える力を持ち、『心に自由を』を標榜。自らの心から生み出した黒い指輪「心遺物(メイド・イン・ハート)」を使って人の心を暴走させたり、条件に合った死者を蘇らせアマラリルクの構成員にしたりと暗躍を重ねている。
第6話から一年前のイギリスで初めて目撃され、各国に被害をもたらしていることから、ヒーロー側からは現状における最大の敵と目されている。
ツィベタ=コオリスカヤ/レターナ・アンドレアノワ
CV:沢城みゆき
世界の冷たさを呪い続ける冷徹な少女。
第2巻で北極で待ち伏せ、救難信号に応えてやってきたヒーローたちを襲撃する。
氷を自在に生み出して凶器として扱う能力を持ち、冷酷な性格も相まってヒーローを苦戦させた。
その正体はアマラリルクとして転生したペペシャの実の母親である。
哀しみに溺れ、涙を流し続けている少年。
水を自在に操り、水でヒーローを拘束するほどの力を発揮する。自身を液体化させて物理攻撃を無効化させることもできる。
生前は漁師の息子だった。
CV:日高里菜
世界中を笑顔で満たすとうそぶく、道化師に扮した少女。
あらゆる物体を引き寄せて服の中から取り出す力を持ち、物体の伸縮も自在。
「ヒト型おもちゃ箱」を自称し、多彩な武器とトリッキーな言動で相手を翻弄し続ける。一人称は「クフフさん」で、他人にもそう呼ばせたがる。
生前に酷い虐待を受けていた為か誰よりも人格が破綻しており、常に楽しいこと、面白いことを求めているが、快楽主義者というよりかは「常に笑顔でい続けなければならない」という強迫観念に駆られて行動している。ゆえに悲劇を何より嫌い、登場人物が悲しい過去と向き合おうとすると、何かと割って入りがち。また、同じ理由でメンバー内では誰よりも仲間意識が強い。
ウツロ=カラクルリ / 天王寺昧(まい)
CV:上田瞳
虚無感に支配された武人少女。
第5巻からの「東京奪還編」の主要人物。
帯刀する「神刀・虚無」と、アマラリルクの一員となったことで発現した「心をなくす力」を使って東京スカイツリー周辺にドーム状の結界を張り、中にいた人たちを亡霊のような生ける屍に変えてしまった。
正体は《霜賀(そうが)の里》出身の元忍者で、天王寺曖(あい)の双子の妹。本来は命を愛する優しい性格で、忍者の在り方にも懐疑的だった。しかし忍術の才能が姉に勝っていたため暗殺任務を請け負うこととなり、その過程で人間社会の闇を見続け、感情を失ってしまう。そしてある夜、里に保管されていた「虚無」を無断で持ち出し、曖に重傷を負わせて抜け忍となった。
姉とは逆に、右目の下に泣きぼくろがある。
CV:土岐隼一
破壊衝動をたぎらせ、常に何かに苛立っている粗暴な少年。
ドラゴンを思わせるツノ、爪、尾を持つ竜人で、本人も「怒れる竜」を自称する。見た目に違わず暴れまわって地形を変化させる力を持つパワーファイター。
非常に直情的かつ短絡的で、レディ・ブラックから「バカじゃなくて大バカ」と称されるほど。反面、かわいいものが大好きで、アマラリルクとして叶えたい夢は世界中のぬいぐるみを集めてモフモフすること。本人もかわいいと呼ばれると上機嫌になるが、それは同時に醜い自分への劣等感の裏返しでもある。
生前は戦争孤児だった。
イノリ=アレルヤ / イヴ=イルハン
CV:早見沙織
天使の輪を思わせる『愛の輪』を大量に出現させることができ、これを武器として攻撃に使ったり、枷として他人を拘束したり、翼として自分の背中に浮かべて飛行したりといった応用を見せる。また、『愛の矢』を射ることで人を洗脳する(曰く、「愛に目覚めさせる」)能力を持つ。
生前は戦争のために視力を失った盲目のシスターで、他人の助けを借りなければ生きられない自分が疎ましく、世界に愛を求めながらも自己愛だけが存在しなかった。アマラリルクとして蘇ったあとも視力はないままだが、問題なく活動できるようである。
CV:橘田いずみ
恐怖心に憑かれた幽霊少女。
シャイを超えるほどのビビりで、常に何かに怯えている。一見するとスティグマにも恐怖心から従っているように見えるが、本人が一番恐れているのは「スティグマに嫌われること」「スティグマを喪うこと」であり、そうならないためなら驚異的な力を発揮する。そして何より「スティグマから与えられる恐怖」を好むドMでもある。
下半身が幽霊のように透過しており、この体質を活かしての奇襲が得意。また他人にとりつく能力があり、「人を呪わば穴二つ」の言葉通り、自分と相手のダメージを同期させられる。
生前は社会活動家の娘だった。
何もしたくない死体のような少年。
あらゆることを面倒くさがり、自分の世話すら使い魔の「アンレット(アンデッド)」にさせるという、文字通り性根の腐った怠惰の極みのような性格。舌足らずのため、台詞には独特のなまりがある。
死体を原料にアンレットを作り出して使役し、主に諜報活動を行う。相手から活力を奪う能力を持つ。
死体袋…というか歩ける寝袋のようなスーツに身をくるんでおり、容姿には不明な点が多いが、顔はぬいぐるみのようにツギハギだらけである。
生前はとある紛争国家の隔離区域で暮らす獣医だった。
嫉妬と執念にまみれたダークエルフのような見た目の少年。
神経質な潔癖症であり、自由人ぞろいのアマラリルクでは常に頭痛の種が絶えないが、ストレス解消の手段として日ごろ感じた妬み嫉みを日記にしたためることで心を整理させている。とあるヒーローに対して異様なまでに執着している。一人称は「ワシ」。
心の力「妬ましきこの世界」はルイズが妬ましいと思った相手の容姿や能力を完全にコピーするというチート能力で、あるヒーローに成りすました際は仲間のヒーローも見破ることができないほどの再現度を見せた。
恋に恋する少女。
見た目は絵に描いたような縦ロールのお嬢様だが、恋に落ちると目にハートを浮かべ、愛の名の下に相手を独占したがる絵に描いたようなヤンデレになる。
第10巻にて綺羅星愛歌(きらぼしあいか)の名で日本に潜伏中、偶然道ですれ違ったテルに一目惚れし、熱烈なアプローチを開始する。
音を扱う力を持ち、攻撃から防御、監禁まで自らの歌声一つで担う。
ヒーローの家族
紅葉山明(メイ)
テルの姉。故人。
生前はテルに甲斐甲斐しく世話を焼く妹想いな姉で、その快活とした性格からテルの憧れの存在だった。ただ、テルも困惑する独特のネーミングセンスを持つ。
好きなものは海老。猫アレルギー。
テルの祖父
CV:内田直哉
メイの葬儀に参列した際、テルに「誰かのために生きた人間は、誰かの心に生き続けていく」という言葉を残した。
レターナ=アンドレアノワ
ペペシャの母。故人(享年31歳)。
ユーリイ孤児院で育つ。後に独り立ちするも、学歴や社会的地位のなさから安定した職に就けず、一人娘とともに極貧生活を送る。ペペシャが12歳のときに彼女を孤児院に託すことを決め、その夜に浮浪者に突き落とされ川に転落して死亡した。
そして後に自分を虐げ死にまで追い込んだ冷たい世界への憎しみと最期まで何一つ報われることがなかったという絶望に満ちたその感情に目をつけたスティグマによって、アマラリルクのツィベタとして甦ることとなる。
ピルツの両親
ともに医療従事者で、国際救護団体・黒十字の設立にもかかわっている。
父ヘンリーは眼鏡をかけた紳士風の男性で、多忙の合間を縫ってピルツと一緒の時間を作り、娘に「諦めない」心を教えた。
母フローラは自他ともに厳しすぎる性格が災いして、幼少期のピルツにとっては恐怖の対象だった。それでも過労をきっかけに休暇を取るようになってからは態度も軟化し、娘との関係も改善されつつあったが、復興のために訪れた戦地で最悪の結果を迎えてしまう。
リー=スイミン
ミンミンの母。
いつも寝てばかりのぐうたらな生活を送っており、ろくに家事ができなかったため、しわ寄せを受けたミンミンから不満を持たれていた。唯一の仕事は彫刻作り。一人称は「おれ」。
その他
CV:東山奈央
テルと同じく14歳の中学生。
第1話で弟と一緒にジェットコースターの事故に巻き込まれ、シャイに自分を後回しにして他人の救助を優先させるが、最後の一人になったところでコースターが動き出してしまい、重傷を負う。第2話で後遺症を負いながらも退院し、転校してテルのクラスメイトとなる。
表面上は明るくふるまっているが、実は幼少期に火事で両親を失っており、先のシャイの件もあって、自分が生き残ってしまった罪悪感に苦しめられている。スティグマによりその感情を利用され、指輪の力で怪物にされるも、シャイの懸命の説得により救われる。その際シャイの正体を知り、テルとも親友となった。
CV:富田美憂
アキタ出版に努める記者。24歳。
新人時代に自分の記事をボロカスに叩かれたことがあり、最近は仕事に対する熱意を失いつつある。
第4巻で偶然シャイと出会い、ヒーローインタビューとしゃれこむが、その最中ヒーローも私生活では一般人と変わらないことを知り、またシャイから「誰かの役に立っているなら、それは誰かにとってのヒーローである」と気づかされ、仕事への情熱を取り戻す。
第9巻では、東京奪還戦を終えたシャイにインタビュアーとしてマイクを向けた。
第13巻では中学時代の同級生・藤原みみと偶然再会し、過酷な境遇にいると思しき彼女を「明けない夜はない」と慰めるが、すでに精神が限界を迎えていたみみにその言葉は届かなかった。
天王寺曖(あい)
CV:小岩井ことり
第4巻でテル・イコと出会った14歳の少女。
第5巻からの「東京奪還編」の主要人物。
初登場時にひったくりを叩きのめすほどの戦闘力を見せるが、その正体は霜賀の里から来た忍者の姫(跡取り)。アマラリルクと手を組んだ双子の妹・昧(まい)/ウツロを探すため、帯刀している「心刀・無垢」の導きによりテルの元へとたどり着いた。俗世から隔絶されて育ったため、からおけやげーむせんたーを知らず、浮世離れしたところがある。
昧が里抜けした夜に「神刀・虚無」で心臓を一突きされ、一命は取り留めたものの、後遺症で激しい運動ができない。
妹とは逆に、左目の下に泣きぼくろがある。
朱鷺丸(ときまる)
CV:下野紘
曖に仕える少年忍者。
元々は天王寺家に仕えるために隣里から来たという天涯孤独の忍びで、曖の弟子扱いで里に身を置くこととなった。一時は天王寺姉妹の仲を取り持っていた。
シャドウ
ヒーローにもアマラリルクにも属さない謎の第三勢力。姿はなく、「のじゃ」という老人口調で語り掛ける声だけが登場している。
第11巻でテルの助けになりたいと願うイコに接触、ユニロードの目を盗んでイコから分離した最初の指輪を入手させる。その後、イコの体を依り代にしてテルに先代ヒーロー・シャインの重大な秘密を伝え、己の過去と向き合わせた。ヒーローだけでなくアマラリルクの情報にも精通しているが、正体は不明。
イコと一体化した《シャドウガール》の姿ではサーベルを使っての戦闘もでき、アマラリルクと渡り合うほどの戦闘力を持つ。
アッシュ
タルムーの配下の「アンレット」の一体で直属の側近。
人語を話すゾンビ犬で忠義に熱い性格。
鳥の剥製を銃弾に見立てた狙撃が得意。
タルムーとは生前からの付き合いで、愛犬として日々を共に過ごしていた。
ゾンビョウ
同じくアンレットの一体。言葉を話すゾンビ猫。
鋭利な爪や幻覚能力等、見た目とは裏腹に戦闘能力が高い。
アッシュとは対照的に狡猾な性格で彼からは快く思われてはいない。
用語
- 転心輪(てんしんりん)
ヒーローが両腕に着けている腕輪状の変身アイテム。両腕を2回打ち鳴らすことで転心(変身)する。人が持つ「心の力」を物理的なエネルギーに変換し、様々な超能力を発現するほか、言語の翻訳も可能。気絶するなどして戦意を喪失すると転心は解ける。
モデルは著者が子供のころに見ていた『五星戦隊ダイレンジャー』。
- アマラリルク
本作におけるヴィラン枠で「世界平和」を目的としたテロ組織。「子供だけの組織」と銘打つ通りメンバーのほとんどは十代の青少年(の姿をしている怪人)で構成されている。
共通点としては皆、顔やアクセサリー等にその構成員が司る「感情」を表す紋章が刻まれている。
またその全員はスティグマの力によって強大な能力を得て蘇った死者でもあり、死亡したり生前に募らせた「未練」が満たされると消滅する。
尚、一部の構成員は生前に「とあるヒーロー」と接点があるようである。
- 心遺物(メイド・イン・ハート)
スティグマが自らの心を素材にして生み出す黒い指輪。転心輪と同様に、心をエネルギーにして装着者に超人的な力をもたらすが、心の奥に留めているネガティブな感情を強制的に引き出し、暴走させる。指輪と装着者が一体化してしまうため、止めるには指輪を破壊するか装着者を負傷させるかの二択しかなかったが、第1巻でシャイが初めて装着者=イコも指輪も傷つけず、完全に分離させることに成功した。
死後の魂を現世につなぎとめる力があり、スティグマはこの力を使って生前に未練を残した魂に新たな肉体を与え、アマラリルクのメンバーとしている。メンバーの指輪は最初から心臓と融合しており分離させることは不可能だが、代わりに肉体が滅んだあと指輪が完全な形で残され、そのメンバーの能力を使用できるようになる。
- ソウルシフト
パルスが開発した髪留め状の簡易型転心装置。第11巻で転心輪の使用を制限されたテルが装着することになった。
これは「東京奪還編」の後、アマラリルクがシャイのリタイアを狙って日本を集中的に攻撃するようになったため、テルを転心させず、正体を隠させるための措置であり、代わりにソウルシフトを通じて六輝星のメンバーに救援を送り、ヒーローが必要な事態に対処してもらうというのが本来の意図であった。
ソウルシフトを転心輪の代わりに使うこともできるが、出力は転心輪の半分ほど。
- 創転心(そうてんしん)
子供のヒーローだけが行える特殊な転心。幼少期のトラウマを再現し、心の傷をこじ開けることで一時的に爆発的なパワーアップが可能となる。反面、心の傷が体の傷としてフィードバックされるというデメリットがあり、傷が深ければ最悪死に至る。
テレビアニメ
2023年10月から12月にかけて、AT-X、BS日テレ、テレ東6局ネットに加えて新潟総合テレビ(フジテレビ系列局)にて放送された。
第1期終了後に第2期の制作決定が発表され、2024年7月から9月にかけて放送された。なお、ネット局は第1期から引き継がれている。
スタッフ
主題歌
オープニング | |
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エンディング |
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関連タグ
実樹ぶきみ 週刊少年チャンピオン 2023年秋アニメ 2024年夏アニメ