もしかして→バチバチバチ
曖昧さ回避
- 火花等が飛び散っている様を表す擬音。弱めのものはパチパチという。
- 週刊少年チャンピオンにて連載されていた相撲漫画のタイトル。続編に幕下編を描いた「バチバチBURST」、幕内編を描いた「鮫島、最後の十五日」がある。
- 格闘探偵団バトラーツを祖とする、プロレスのスタイル。
このページでは、主に2について説明する。
概要
佐藤タカヒロの漫画作品である。
大相撲を舞台としているが相撲の格闘技と言う側面だけに囚われず、長年続く慣習の美点・問題点、文化としての相撲や知名度は有りながらも浅い理解に基づく報道や聴衆における問題点などからも逃げずに向き合い描かれている。
また、前作の柔道漫画いっぽん!でも振るわれた迫力のある画力には、より一層の磨きが加わり非常に見応えのある取組が繰り広げられている。
しかし、2018年7月3日に作者が急逝された事で事実上の未完となってしまい、週刊少年チャンピオン33号掲載分が最終回となった。
あらすじ
「死んで生きれるか!」
鮫島鯉太郎は、横綱を狙う荒くれ大関・火竜の一人息子。彼は父の強さと格好良さを信じて疑わなかった。しかしそんなある日、火竜は酒の場の不祥事で複数人に重軽傷を負わせてしまい、相撲界を追放されてしまう。名大関火竜はそこで“死んでしまった”。それを期に周りの人々は火竜どころか鯉太郎にまで心無い中傷を投げかけてくるようになり、火竜は追放されたことを認められず酒に溺れる日々を送るようになる。そんな父の姿を見たくなかった鯉太郎は、体を張って勝負を挑み火竜を焚き付ける。鯉太郎によって目を覚ましたかに見えた火竜だったが、ある日大型車両に撥ねられて死んでしまう。“二度目の死”だった。その後、鯉太郎は火竜の友人の家に迎えられ、そこで育てられることになる。
成長した鯉太郎は、地方巡業の会場で素人ながら本職の力士をふっ飛ばし、周囲を沸かせる。主催者の虎城親方は単なるサービスと嘯き、それ以上やらせようとはしなかったが鯉太郎は力士数人がかりでしか取り押さえられず、挑発により観客を味方につけ幕下、猛虎との勝負を引き出す。血だらけになりながらも突進を続け、猛虎を土俵外へと追いやり勝利。それに目をつけた空流部屋の親方・空流が、鯉太郎をスカウトする。“死んで生きれるか”父の無念を晴らすため、或いは父の影を踏み越えるため…、鯉太郎の壮絶な相撲人生の始まりであった。
主な登場人物
大海一門
空流部屋
主人公。荒くれ大関「火竜」の一人息子。番付は入門から後に序二段まで上っている。
不良であったが、空流部屋の親方や兄弟子、そして他の部屋の同期達との交流により、段々と力士として、人として成長していく。
部屋に入ってからすぐに、父が習得できなかった「品格」を習得しつつある。
得意技は頭から相手へ突っ込んでいく「ぶちかまし」・「張り手」を中心とする押し相撲
後に兄弟子により、組んでいく「四つ相撲」も覚えていく。
- 阿形剛平
鯉太郎の兄弟子。本名は高杉剛平。番付は幕下で空流部屋の部屋頭。
気性が荒く怪力の持ち主で、通称「力の阿形」。
素行や口調も粗暴だが稽古熱心であり、弟弟子の面倒見がいい。
- 吽形亘孝
兄弟子。本名は吉田亘孝。登場時の番付は三段目で後に幕下に昇格。かつては幕下の部屋頭だったが、大鵠との一番によって膝の怪我を負い、長期休場にて三段目まで落ちていた。
見た目穏やかで物腰も丁寧だが、本来は阿形並みに気性が荒く、酒癖が悪い。
通称「技の吽形」。鯉太郎に親身になって相撲のアドバイスを教えるが、時には厳しい言葉を投げることもある。
- 川口義則
兄弟子。番付は三段目。カニが好物という以外の素性は全く分からず、一言も喋らない上に表情も一切変わらないため謎の多い人物。ある意味空流部屋のマスコットキャラと化している。
相手の不意を付く相撲をとって白星を挙げることもあれば、逆にあっさりと負けることもある。
- 白水英樹
兄弟子。190cmという長身を持ち、懐が深い。番付は序の口、後に序二段。
お調子者だが根は真面目。押し相撲を得意とする。鯉太郎に一番近い存在で兄弟子として叱咤激励するなど気にかけている一方で成長の早い鯉太郎に番付を抜かれる等自分の実力が伸びないことを悩んでいた。しかし、その後阿形との稽古にて「ゴリラ張り手」(ゴリラは阿形に対する蔑称)と呼ばれる強烈な張り手を会得する。
- 空流旭
親方。現役時代の四股名は「春風」。右目の瞳がない。
飄々とした人物だが稽古での指導は的確であり、部屋の弟子達から慕われている。
弟子達のことは大切に思っており、弟子が他の力士から不当な扱いをされた際にはその親方に詰め寄る等の行動に出ることもある。
また娘を溺愛しており、大酒呑みでもある。
- 奥村椿
空流親方の一人娘。気の強い性格で、時には部屋の力士達を引っ張ることもある。
鯉太郎とは同年齢。料理が下手という一面がある。
- 床上手
空流部屋の床山。オカマで自称24歳。初めて見た人誰もが化け物と感想を漏らしている。
体を触るだけで力士の体格が分かる何気に凄い特技があり、椿とは対照的に料理上手である。
新寺部屋
- 石川大器
新寺部屋所属。鯉太郎並に血の気が盛んな少年。鼻の頭に真横に走る傷があり、茶髪(地毛)である。
元は名の知れた悪童であったが、高校時代の担任の老教師に無理やり連れてこられる形で入門。自慢の喧嘩が部屋の力士達には全く通用じず、そこに訪れた部屋の大関「天鳳」のオーラに圧倒され自身の小ささを悟る。後に鯉太郎とは親友かつライバル関係となる。
次元一門
虎城部屋
横綱「虎城昇」の一人息子。鯉太郎の同期。
親方の息子である自分を特別な存在だと思い込んでおり、それに見合う実力も持っている。
常軌を逸した体格と技術を兼ね備え、マスコミと土俵の上では猫を被るしたたかさを併せ持つが、それは同時に自分の弱さと向き合わぬことの裏返しであった。父である虎城をパパと呼び、部屋でも兄弟子に敬意を払わず尊大な態度をとるため、部屋の皆からは敬遠されている。
同じく入門時から注目されている鯉太郎を自分のために利用しようとしている。
- 虎城昇
虎城部屋の親方で王虎の父親。左耳の上半分が欠けている。
現役時代は優勝25回という大記録を成し遂げ、引退後は一代年寄となる。
一見紳士的で現役時代の功績もあって観衆からは慕われているが、観衆を見下し、対立する相手を策略に嵌め、気に入らない弟子には罵倒するなど人としての器は小さく、稽古の時にもたまに顔を出す程度など部屋の環境についてもほぼ放任主義となっており、そのおかげで虎城部屋の環境はいじめなどが横行する劣悪なものとなっている。
鯉太郎の父親の火竜については名前を聞くだけで吐き気を催す程嫌悪しており、鯉太郎についても相撲界に入門してきたことを快く思っていない。
しかし、気迫のこもった相撲をとる力士には人知れず称賛する一面を持っている。
- 猛虎哮
幕下力士。元学生横綱で虎城親方からスカウトされ入門。当たりの強さは関取クラスと評されている。
物語の初めに巡業で鯉太郎に負けたことをきっかけに虎城親方から冷遇されるが、後に親方への宣言通り幕下優勝を達成して十両へ昇進し、劣悪環境だった虎城部屋に猛稽古を持ち込んで弟子を引っ張っていく。また、腐っていた王虎に対しても正面から指導し、鍛え上げていく。
- 田上大
鯉太郎の同期。全日本相撲選手権大会でベスト8の実力者で、前相撲で鯉太郎と対戦する。
空流部屋と敵対する虎城部屋の力士だが鯉太郎には友好的で、常識的な性格と同期の年長者ということもあってまとめ役に。髪質が硬いために髷をまとめられるようになるまでは独特の髪型をしていた。