プロフィール
概要
漫画『SHY-シャイ-』の登場人物。
スイスのヒーロー《レディ・ブラック》に転心する能力を持ち、主に治療を担当。
学生として看護師を目指す傍ら、国際救護団体《黒十字》の看護部員として国境を越えた医療活動を行い、時には紅葉山テル/シャイの良き友人となり、時にはヒーローとして《アマラリルク》との戦闘にも参加するオールラウンダーな活躍ぶりを見せる。
過去に遭った「事故」により両足を失っており、現在は義足を着用している。
性格
一言で表すとツンデレ。
「ヒーローとは、そこにいるだけで誰もが安堵する存在である」と唱え、看護師としてもヒーローとしても高い誇りと強い信念を持つ。それゆえ、能力があるにもかかわらず後ろ向きで自信なさげなテルには苛立ちを隠せず、初登場となった第2巻でも「自分を恥だと思うなら今すぐヒーローなんて辞めればいい」と強い言葉でテルを叱責した。
しかしながら次のエピソードではテルの予後を診るために再登場し、登山を投げ出さなかったテルを少し見直したと褒めたり、「東京奪還編」の後の記者会見に参加した折には、人前で話すのが苦手なシャイを見かねて助け舟を出したりと、面倒見のよさを発揮してテルをアシストしている。
口癖は「バカなんじゃないの」。テルに喝を入れる際も、怒りを表明する際も、ツッコミを入れる際も、あらゆる状況において「バカ」という表現を乱用しがち。
努力を重ねて身に着けてきた「治癒」の力については自負があるようで、治療がうまくいくとしばしば得意げな笑みを浮かべている。
苦手なのは、おばけ。
素顔
スイスの看護学生でありながら黒十字の看護部員としても世界中を忙しく飛び回る生活を送っており、第12巻では過労のため目の下にクマを作っていた。
父はヘンリー。母はフローラ。また、優秀な兄がいる。
両親はともに大病院に勤める医療関係者。家はメイドを雇えるほどの屋敷で、ピルツも幼少期はお嬢様として育つ。ただ両親ともに多忙で、仕事のために何日も家を空けることも少なくなかった。
幼少期のピルツはお父さんっ子で、父ヘンリーに甘えたがったが、急患のため遊園地に遊びに行く約束が中止になるなど寂しい思いをすることもあった。それでもヘンリーは娘との時間を大切にしており、別の機会に一緒に登山をして、娘に「命は決して諦めない」と教えを説いた。
対して、母フローラは看護師としての使命を重んじるあまり余裕のない生活を送っており、当時の様子をピルツは「「他人の役に立たないなら死になさい」と自分にも他人にも求めるよう」だったと回想している。その厳しさは実の娘に養豚場の豚を見るような目を向けるほどで、幼少期のピルツにとって母は恐怖の対象であった。
そんな家庭環境に変化が訪れたのは、スターダストが国際救護団体・黒十字を設立したころ。ヘンリーが黒十字への参加を決める一方、フローラは過労で倒れたのをきっかけに私生活を見直し、娘との関係を改善することを決意。デュナン家はいい方向にまとまりつつあった。
後日、親子は黒十字の復興支援のため、「最終戦争」の爪痕が残った戦地を訪れる。それは「娘に現実を見せておきたい」という教育的な判断だったが、戦地に残されていた不発弾がヘンリーの命とピルツの両足を奪ったことで、フローラとの関係も修復不可能なものになってしまう。
すべてに絶望して自ら命を絶とうとしていた矢先、ピルツの前にスイスのヒーロー《ヘクセン》が現れ、『傷ヶ峰(スカー・ピーク)』の登頂を成し遂げればヘンリーの形見を渡すと告げる。百回近くの長い挑戦(リハビリ)の末にピルツが託されたのは、ヘクセンの転心輪とヘンリーの「諦めない心」だった。
ヒーロー「レディ・ブラック」
作中世界でスイスを守るヒーロー。
と言っても、本人が黒十字の看護部員として世界を飛び回っているため、「スイスの国土を守るヒーロー」というより「スイスを代表するヒーロー」と称した方が適切か。黒十字代表にして看護部長を務めるドイツのヒーロー《ドクター・シュヴァルツ》は上司に当たる。
テルと初対面の際に、テルが自分を知らなかったことに驚愕しているあたり、相応の知名度はある存在。
容姿
転心後は黒十字のシンボルであり、本人が好きな色でもある黒を基調とした姿となる。アイマスク、ネクタイ、アームカバー、ミニスカート、オーバーニーソックスを黒、トップスを白でまとめたシックな色合いながら、全体はウェイトレスを思わせる装い。
両足の義足は甲冑を思わせるごついデザインに変化する。
能力
- 治癒
レディ・ブラックの「心の力」。文字通り怪我を治す力があり、劇中ではスターダストとの特訓でボロボロになったテルを傷のない状態にまで戻している。もっとも、テルが気付いたときにすでに治療は終わっていたため、具体的にどういった措置をしたかは不明。
- 医療道具の応用
ヒーローらしく、医療道具を使ったアクションも可能。
黒い包帯『黒き絆(ブラック・バンデージ)』は「元々こんなことに使う技じゃない」と断りながらも、シャイと協力してスパイダーマンさながらに電車を止めるほどの耐久力を見せた。
イノリとの戦闘では注射器状の光弾を打ち出す銃を二丁使っているほか、イノリに洗脳された際はドコにナニを注入するかは不明だったが、超巨大な注射器を取り出したこともある。
また、持ち前の義足を使っての蹴りも強力。
- 創転心
第16巻で己の過去と対面させられたピルツが覚醒し、創転心した姿。
よりナース服に近い見た目となり、体型も大人びた体つきに成長した。義足はパラスポーツのアスリートが使うようなスポーツ用義足に変化している。
最大の秘技は「治癒」の力の根源である「過去をとり戻したい」という願いに基づく、時間の巻き戻しである。