概説
不良少年を題材にした漫画。少年漫画や青年漫画の定番ジャンルの一つで、多くは現代ものである。
基本的にはヤンキーや暴走族たちの喧嘩や抗争とそこで展開される熱い友情劇が焦点となる。多くはマドンナ役のヒロインが登場し、ときにそうした美少女との恋愛エピソードから命がけの喧嘩に発展するパターンもよくある。主人公は基本的に不良少年(少女)で、正義漢であったとしても基本的にはダークヒーローであり、周囲からは問題児として認知されている。
一応、学園モノとしての体裁も持つが、「授業はサボるもの」というのが定番なので、教師たちから逃げ回ったり、授業を抜け出して街に繰り出したりするので、あまり学園モノとしての色は濃くない。『GTO』、『ごくせん』は主人公が教師であるが、元暴走族であったり極道の出の先生が不良の生徒と向き合うという筋書きである。
当然だが作中には暴力シーンや犯罪行為が頻繁に登場し、罵声や卑語が飛び交い、対象年齢の高い雑誌の作品になると女性キャラへの暴行を匂わせる描写も珍しくないため、好みが分かれるジャンルでもある。更に、年代の変化により、モブキャラや過去の被害者に対する被害の想像や同情を抱く読者も増えてきていることも、一因があると思われる。同時に劇中のイベントが「喧嘩」と「恋愛」と「人情劇」に的が絞られてしまい、キャラクターの個性をうまく引き出さないとマンネリになりがちである。『ビー・バップ・ハイスクール』のように不良の日常描写に重きを置いた趣向で読者を飽きさせないようにしたり、『魁!!クロマティ高校』、『今日から俺は!!』のようにギャグ漫画としての体裁を持っている作品も多くある。
メディアミックス展開は、ギャグ漫画との複合ならともかくとしてTVアニメ化がしにくく、OVAでのアニメ化や実写化でされることが多い。
不良漫画ではないスポーツ漫画・バトル漫画・ファンタジー漫画でも主人公が不良がかっていたり、ヤンキー風のファッションをしている作品は多くある。『幽☆遊☆白書』は主人公が不良であるが、一般的には異能バトルものとされ不良漫画にカテゴライズされていない。『べるぜバブ』もファンタジー色が強いため、不良漫画に含まれるかどうかは意見が分かれる。
近年の状況
元々アンチが多いジャンルの上、犯罪・暴力・反社会的な行為を働く青少年(平たく言えばDQN)を美化する不良漫画は、近年の自主規制強化の風潮によりメディアミックスでの制約が多くなっている。21世紀に入ってからはリアルでのヤンキー文化の退潮もあり、衰退傾向にあるとされる。
その中にあって『東京卍リベンジャーズ』はSF要素を絡めた異色の内容で、不良漫画としては久々の大ヒット作品となった。1990年代の人気作品であった『今日から俺は!!』も2018年にコメディ色を強調する形で実写ドラマ化してリバイバルヒットを果たした。インターネットにおけるWEBTOONや動画サイトの漫画系チャンネルにおいても『喧嘩独学』や『ヒューマンバグ大学』(これらは不良漫画ではないが)といったヤンキー漫画の影響が色濃いコンテンツが人気を集めていることからも、「ピカレスクロマン」的な漫画への支持は根強いことがうかがえる。
著名な不良漫画
注記がない場合は少年漫画か青年漫画(少年誌から青年誌に移籍した作品もある)
- 『ビー・バップ・ハイスクール』
- 『ごくせん』※女性漫画
- 『湘南爆走族』
- 『私立極道高校』
- 『ろくでなしBLUES』
- 『BØY』
- 『クローズ』・『WORST』他高橋ヒロシ作品
- 『湘南純愛組!』
- 『疾風伝説特攻の拓』
- 『GTO』
- 『BADBOYS』
- 『今日から俺は!!』
- 『魁!!クロマティ高校』
- 『べるぜバブ』
- 『SWOT』
- 『スケバン刑事』 ※少女漫画
- 『花のあすか組!』 ※少女漫画
- 『カメレオン』
- 『六道の悪女たち』
- 『東京卍リベンジャーズ』
- 『WINDBREAKER』
- 『ヤンキーJKクズハナちゃん』
- 『特攻天女』