仮面ライダーZO
かめんらいだーぜっとおー
あらすじ
完全生物・ネオ生命体の開発に執念を燃やす狂気の科学者・望月博士によってバッタの改造人間にされてしまった元助手の麻生勝は、放浪の末樹海の中で眠りについた。そして数年が経ち、謎の声に導かれた勝は復活を遂げ、ついに完成したネオ生命体・ドラスから望月博士の息子望月宏を守るために立ち上がった!!
概要
仮面ライダー誕生20周年記念作品として作られた劇場版オリジナルライダー。
ZOの語源は一般には20の形に似てるからと言われているが、原作者の石ノ森章太郎氏によれば「Z」は究極、「O」は原点という意味合いも含まれているとのこと。
牙狼<GARO>や鳥人戦隊ジェットマンの監督で知られる雨宮慶太が監督をつとめており、氏の得意とする生物的で奇怪なデザインの怪人や、45分という短い尺の中にぎっしりと詰め込まれたストーリーから本作を愛するファンは少なくない。
(1993年4月17日公開)
仮面ライダーZO
ネオ生命体のプロトタイプとして、望月博士が無理矢理に麻生勝へ遺伝子改造を施し、作り上げたバッタの改造人間。
元々はネオ生命体を完成させる行程上での試作に過ぎなかったことから、本来の性能は遥かに劣っており特殊能力と呼べるものもなかったが、強靱な肉体とパワーを持っており、眠りについていた樹海の大樹から大自然のエネルギーを4年もの間吸収し続けたことによって、それらが更に強化され、後に作られたネオ生命体の戦闘形態・ドラスとも互角以上の戦いを繰り広げた(他にも、テレパシーのような能力で、宏の危険を察知する場面もある。これは息子・宏を救おうとした望月博士がテレパシーを彼に送った結果とも取れる)。
変身アクションに種類があり、一つはバイクに跨って走行しながら変身するというもの、もう一つはお馴染みである変身ポーズをとって変身するというものであるが、これは初代仮面ライダー仮面ライダー1号のオマージュである。
アイテムを一切使用せず徒手空拳のみで戦う戦士で、キレのある戦闘アクションの格好良さに定評がある。一方、バトルのラストを飾ったライダーキックが格好悪くなってしまったのはご愛嬌(ワイヤーアクションに頼りすぎた故の弊害)。
ちなみに、オルゴールの修理もできる。
ネオ生命体・ドラス
望月博士が完成させた完全生物。飽くなき進化を続ける怪物で、周囲の金属を取り込んで凄まじい強さを誇る金属生命体「ドラス」を生み出し、外界における行動用のボディとして使用できる。
不気味な容姿とは裏腹に、生まれて間もないためか声や性格が幼く、その純粋な悪を感じさせるキャラクターは一種トラウマもんである。
劇場版「仮面ライダーディケイド」でもスーパーショッカーの切り札であるネオ生命体が作り出した“最強最悪の怪人”という扱いで登場。平成ライダー12人を圧倒する強さを見せつけた。が、原点では彼の宿敵であった筈のZoは影も形も見せなかった。
当初、彼の設定は悪の仮面ライダーという位置づけだった。
余談
- 特報映像では、『仮面ライダーBLACK』のスーツがZOのシルエットとしてされていた。
- 本作は制作費2億円の低予算で作られており、それを聞いたアメリカの映画関係者は「そんな低予算であんなすげーもんが作れるの!?」と驚いたらしい。
- 一部のファンの間では、本作を『45分間の芸術』と呼ぶ者もいるという。
- 漫画家島本和彦のコミカライズ版もある。
元々仮面ライダー大好きな島本先生はノリノリで取り組んだものの、「映画の完成度が高すぎる(≒このままでは雨宮監督の丸パクリにすぎない)」と判断し、無理を言ってまで「いつもの島本の作風」で仕上げた。あらすじはおおむね映画版に準ずるのでちゃんとコミカライズとしても成立している、はず。
- 1994年5月13日、本作のメガCD用ゲームソフトが東映ビデオから発売された。映像は映画本編の物を使用しており、ゲーム進行によっては映画公開版では削除されたシーンも見る事も可能。開発はウルフチームが担当し、ゲームシステムはウルフチームが手がけた「サンダーストームFX」、「タイムギャル」、「ロードブラスターFX」、「忍者ハヤテ(日本未発売)」、セガが発売した「ドラゴンズレア」とほぼ同一のシステムである。
- 『機動戦士Vガンダム』の前期エンディングテーマの『WINNERS FOREVER~勝利者よ~』は元々は本作品のために作られた曲だったが、諸事情により曲のみが宙に浮いた状態になっていたところを富野由悠季監督に見込まれて流用されたという逸話がある。尚、当初の曲名は『RIDERS FOREVER』だったと言われている。
- 望月宏が通っている道場の先輩たちはいずれもメタルヒーローシリーズにおいて主人公・準主人公を演じた俳優がキャスティングされている。