実在するバリュートはバルーンとパラシュートでバリュートと名付けられたように、風船型のパラシュートである。
通常のパラシュートより強度があることから、主に爆撃機など高速飛行する航空機から投下される爆弾などに利用されている。
ESA(欧州宇宙機関)やNASA、JAXAなどでは再突入装置として使う研究が行われている。
概要
宇宙から地球への大気圏突入時には、大気と突入物との間に発生する摩擦熱によって、機体は高熱に晒される。
これはモビルスーツであろうとそれは例外ではなく、既存の合金装甲と比べて規格外の剛性を誇るガンダリウム合金で装甲を覆った機体であっても、適切な装備を用いなければ地上への降下は不可能である。このリスクを軽減する為に開発されたのが、宇宙世紀のバリュートシステムとなる。
RX-78 ガンダムの大気圏突入用装備を発展させた装備であり、突入時にパラシュート型エアクッションを展開、その後エアクッション底部のノズルから冷却ガスを噴出する事によって、降下に伴う空力加熱から降下物を保護する。
モビルスーツ用と宇宙艦艇用の二種類があり、モビルスーツ用の物はその性質上外付け式のオプション装備として用いられ、人間用のパラシュートザックのようにバックパックに重ねるようにして装備され、更に最終減速用のバーニアユニットも装備される。
艦艇用の物は艦尾に搭載され、単なる大気圏突入用装備として以外にも、地球から宇宙へ打ち上げられる物資類を回収する為の減速用ブレーキとしての応用も可能。
その性質上、大気圏突入のタイミングを狙った奇襲攻撃や、宇宙空間からの地上施設強襲等で効果を発揮するが、一方でバリュートを構成する材質は比較的脆いため、展開状態ではスラスター類による移動が行えない、下方からの攻撃に無防備となる、などデメリットも多い。
当然、突入時にバリュートがトラブルで展開されない等の不具合がゼロである訳でもなく、大気圏突入前の戦闘によってシステムが破損した場合は、大気圏突入能力を喪失する為、母艦への帰還を行う事がセオリーとなる。
上記のデメリットを更に克服するため、Ζガンダムなど一部の機体(主に第三世代モビルスーツ)では、「ウェイブライダー」形態に変形し、機体下部にショックウェーブを発生させる事で、単独での大気圏突入を可能としている。しかしながら、このような変形機構は機体コストの増大や整備性の悪化を招くため、広く普及はしなかった。
最終的には、宇宙世紀0120年代を過ぎた頃からビームシールドが軍用装備として一般化し、Iフィールド・エフェクトによって大気摩擦の軽減他が得られる事が判明すると、バリュートのアドバンテージが消失したため、宇宙世紀の歴史から姿を消す事となった。
関連項目
機動戦士Ζガンダム 機動戦士ガンダムΖΖ 機動戦士Vガンダム