「わかったよ。あんたは何も恥じなくていい。俺も本気出すからよ」
概要
CV:諏訪部順一
キャラクターデザイナー:源覚(ニトロプラス)
謎多き流浪の剣客。武器は剣。その筋からは「刃無鋒(ジンムホウ)」の異名で知られる事になるが、物語の開始時点ではまだ二つ名を持たない。
厭世的な皮肉屋を装い、常に憎まれ口ばかり叩いているが、性根は義に篤い人情家。
凜雪鴉の策略により蔑天骸の手下に襲われている丹翡を助け、渋々ながら旅を共にすることになる。
道中でも雪鴉の作戦によって、体を張る貧乏くじを引かされることが多い。
謎だらけの男
作品の舞台である東離の事情に疎いのは、本人曰く「(東離の隣国である)西幽から来た」とのこと。
だが、東離と西幽は200年前に発生した魔界の軍勢との戦乱である「窮暮之戰」(きゅうぼのせん)によって発生した「鬼歿之地」(きぼつのち)と呼ばれる呪われた荒野で分断されている。
かつて「鬼歿之地」を渡ることができたと言われる者はいないため、誰も信じようとしない。
また、同行者達の見立てでは「身のこなしは間違いなく一流だが、剣の腕はさほどではない」とのこと。
反面、気功については達人と言って良いほどの腕を持っており、その不自然さも同行者達から疑いの目を向けられる一因となっている。
彼の正体、そして旅の目的は一体……。
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ネタバレ注意
「……人を斬るのが難儀なのは当然だろう」
彼の剣はそもそも剣ではなかった。
剣術、気功双方において卓越しているが故に、安易にその力を振るわたないため、「最初から帯剣していなかった」。常に帯びていた剣も、その中身は銀色に塗っただけのただの木の棒(木刀)である。
作中での活躍も、自身の鍛えぬいた気功の力によって、木刀に気を込めて鋭い刃に変えて振るっていただけにすぎなかったのだ(最初から「納刀の際に金属音がしない」という伏線が張られている。また、オープニング映像の鬼歿之地と思われる砂漠を渡る彼の剣は銀色に塗られておらず、木の地色のままである)。
そういった重いハンデを背負った状態ながら、彼の卓越した技量はハンデをものともせず、手にした棒切れを振れば近くにあった岩を敵ごとぶった切り、突きを繰り出せば敵がたやすく爆発四散する。達人揃いの登場人物の中でも飛びぬけた領域にある。
当然、そんな武器と技を使っていれば普通の剣より遥かに気力を消耗するが、それもまた彼が自らに課した戒めの一つである。
それ故にか、事情を知らない捲殘雲から侮蔑を込めて呼ばれた「刃無鋒(切れざる刃。「なまくら」の意味もある)」の二つ名を気に入り、あえて自ら名乗っている。
もっとも、彼の技量をもってすれば、「切れざる刃」というよりも「切るのに刃を必要としない」と言った方が近い。
「人呼んで『刃無鋒』!だそうだ。さっき決まったばっかりだけどな」
……もっとも、帯剣しない理由が「斬れる剣を持っていちいち手加減するのは面倒。自分は性根が俗物で横着者だから、最初から刃物を持たない方が手っ取り早い」というあたり、大なり小なりおかしな人間が集うこの物語の登場人物の例にもれない。
「人心を惑わし天下を乱した魔剣妖剣聖剣邪剣、西幽を巡り歩いて集めに集めた三十六振り!
悪魔祓いから神殺しまでなんでもあるぜ?さあ、どれの斬れ味を試してみたい!」
加えて、悪用されないように神誨魔械にも劣らない力を持った三十六振りの魔剣、妖剣、聖剣、邪剣の類を回収して目録として巻物に封印し持ち歩いており、なおかつそれらを苦も無く使いこなす。
(封印された剣の半分ほどは霹靂布袋戲で名だたる英傑達が使用していた物、要はファンサービスのスターシステムである。一振りだけ明らかに違う物が混ざっているが……)
なお、序盤で天刑劍が本当に神誨魔械なのかと丹翡に問いただしており、天刑劍を疑うのかと怒る丹翡に「今まで神誨魔械の偽物を多く見たことがある」と語っている。これは裏を返せば本物も見たことがあるという伏線であった。
西幽では彼は(良くも悪くも)有名人であり、蔑天骸と同じような理由で天下を乱す名剣の類を狙う者から回収しているため、噂を聞きつけ彼の持つ目録を狙う者達も多い。そうした手合いから逃れるために東離にやってきた……というのが彼の旅の真実であった(目録に封印した名剣を安心して捨てられる場所を探すためでもある)。
強大な力を持った名剣を数多く所有し、外道に身を窶した蔑天骸とはコインの裏表の関係と言える。
このような隠れチート能力者であったため、蘇れば世界の終わりと恐れられる魔神・妖荼黎の復活にも動じる素振りは一切見せず、悲観する捲殘雲や丹翡を尻目に凜雪鴉と漫才のようなやり取りをする余裕を見せた。
その後、大物感たっぷりに登場した妖荼黎を軽くいなして、瞬時に封印する。一人で。
前々から、たびたび丹翡たちに魔神について詳しいことを聞き出そうとしていたことなどから、妖荼黎と対峙した際にはすでに大まかな攻略法は確立できていたのだろう。
旅の同行者達が、早い段階で彼の正体を知っていれば、その狙いも変わっていたかもしれない(ただ、実力の差がありすぎるので返り討ちが関の山だろうが……)。