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「わかったよ。あんたは何も恥じなくていい。俺も本気出すからよ」

概要編集

CV:諏訪部順一

キャラクターデザイナー:源覚


人形劇・布袋劇『東離劍遊紀』の主人公の1人。誕生日は9月23日。

謎多き流浪の剣客。武器は剣。

その筋からは刃無鋒(ジンムホウ)」の異名で知られる事に為るが、物語の開始時点ではまだ二つ名を持たない。

厭世的な皮肉屋を装い、常に憎まれ口ばかり叩いているが、性根は義に篤い人情家。

凜雪鴉の策略により蔑天骸の手下に襲われている丹翡を助け、渋々ながら旅を共にする事に成る。

道中でも雪鴉の作戦によって、体を張る貧乏くじを引かされる事が多い。


謎だらけの男編集

作品の舞台である東離の事情に疎いのは、本人曰く「(東離の隣国である)西幽から来た」との事(凜雪鴉は「言葉に妙な訛りがある」事に気付いていた)。

だが、東離と西幽は200年前に発生した魔界の軍勢との戦乱である「窮暮之戰(きゅうぼのせん)」によって発生した「鬼歿之地(きぼつのち)」と呼ばれる呪われた荒野で分断されている。

かつて「鬼歿之地」を渡る事が出来たと言われる者はいない為、誰も信じようとしない。

また、達の見立てでは「身のこなしは間違いなく一流だが、剣の腕は然程ではない」とのこと。

反面、気功については達人と言って良い程の腕を持っており、その不自然さも同行者達から疑いの目を向けられる一因となっている。

彼の正体、そして旅の目的は一体……。




関連イラスト編集

殤不患Unsheathe 出鞘

関連タグ編集

東離劍遊紀

殇不患:表記揺れ

関連リンク編集

























念白:「狂風驟雨催紙傘,遊人浪跡步不休。天地滂沱如何渡,蓑衣褪盡任濁流。」

日本語訳:傘が折れるほどの嵐であろうと、流浪する旅人の足は止まらない。滂沱たる風雨をどう渡り切るか…、雨を凌ぐ蓑を脱ぎ、濁流に身を任せよう。





ネタバレ注意編集


「……人を斬るのが難儀なのは当然だろう」


彼の剣はそもそも剣では無かった

剣術、気功双方において卓越しているが故に、その力を安易に振るわない様に、「最初から帯剣していなかった」。常に帯びていた剣「拙劍(せっけん)」も、その中身は銀色に塗っただけのただの木の棒(木刀)である。

作中での活躍も、自身の鍛えぬいた気功の力によって、木刀に気を込めて鋭い刃に変えて振るっていただけに過ぎなかったのだ(「納刀の際に金属音がしない」という伏線が張られている。また、オープニング映像の鬼歿之地と思われる砂漠を渡る彼の剣は銀色に塗られておらず、木の色のままである)。


そう言った重いハンデを背負った状態ながら、彼の卓越した技量はハンデをものともせず、手にした棒切れを振れば近くに在った岩を敵ごとぶった切り、突きを繰り出せば敵がたやすく爆発四散する。達人揃いの登場人物の中でも飛びぬけた領域に在る。

当然、そんな武器と技を使っていれば普通のより遥かに気力を消耗するが、それもまた彼が自らに課した戒めの一つである。

それ故にか、事情を知らない捲殘雲から侮蔑を込めて呼ばれた「刃無鋒(切れざる刃。「なまくら」の意味もある)」の二つ名を気に入り、敢えて自ら名乗っている。

尤も、彼の技量を持ってすれば、「切れざる刃」というよりも「そもそも刃が無くても斬れてしまう」と言った方が近い。


「人呼んで『刃無鋒』!だそうだ。さっき決まったばっかりだけどな」



……尤も、帯剣しない理由が「斬れる剣を持っていちいち手加減するのは面倒。自分は性根が俗物で横着者だから、最初から刃物を持たない方が手っ取り早い」という辺り、大なり小なりおかしな人間が集うこの物語の登場人物の例に漏れない。

とはいえそこまでして力をセーブする理由は「どれだけ技を極めようと、剣を振るのが軽々しく簡単になってはいけない」というもので、「とりあえず斬ってみた」で人を殺すような奴がいるおかげで説得力はある。




殤不患

「人心を惑わし天下を乱した魔剣妖剣聖剣邪剣、西幽を巡り歩いて集めに集めた三十六振り!

悪魔祓いから神殺しまで何でも在るぜ?さあ、どれの斬れ味を試してみたい!」


加えて、神誨魔械やそれに匹敵する力を持つ三十六振りの魔剣、妖剣、聖剣、邪剣の類を「魔剣目録」という巻物に封印し持ち歩いており、なおかつそれらのほとんどを苦も無く使いこなす。

(封印された剣の半分ほどは霹靂布袋戲で名だたる英傑達が使用していた物、要はファンサービススターシステムである。その中で、一振りだけ明らかに違う物が混ざっているが、その一振りが第2期のキーアイテムに成り得るとは、第1期時点では予想も出来なかっただろう。そして、公式のエイプリルフール企画では、異界の刀剣聖剣まで封印されているという始末である)

なお、序盤で天刑劍が本当に神誨魔械なのかと丹翡に問いただしており、「天刑劍を疑うのか」と怒る丹翡に「今まで神誨魔械と称するものを数多く見たが、ほとんどが偽物だった」と語っている。

これは裏を返せば本物も見た事があるという伏線であった。


西幽では彼は(良くも悪くも)有名人であり、蔑天骸と同じ様な理由で天下を乱す名剣の類を狙う者からそれらを回収しているうちに、噂を聞きつけ目録を奪おうという者まで現れた。

そうした手合いから逃れ、集めた剣を安全に捨てられる場所を探して東離へやってきた……というのが彼の旅の真実だった。

強大な力を持った名剣を数多く所有し、外道に身を窶した蔑天骸とはコインの裏表の関係と言える。



この様な隠れチート能力者で有った為、蘇れば世界の終わりと恐れられる魔神・妖荼黎の復活にも動じる素振りは一切見せず、悲観する捲殘雲や丹翡を尻目に凜雪鴉と漫才の様なやり取りをする余裕を見せた。

その後、大物感たっぷりに登場した妖荼黎を軽くいなして、目録から取り出した「須彌天幻・劫荒劍(すみてんげん・ごうこうけん)」で瞬時に封印する。一人で。

前々から、たびたび丹翡たちに魔神について詳しい事を聞き出そうとしていたこと等から、妖荼黎と対峙した際には既に大まかな攻略法は分かっていたのだろう。


上述の通り、第一期の事件で彼を見くびった者達は返り討ち或いは死体蹴りを受ける羽目となり、あんまりな形で目論見を潰されてしまった刑亥に至っては、大きな悔恨と共に根深い憎悪を抱き、以降は不患を狙う様になる。


事件後は丹翡達と別れて魔剣目録を処分すべく旅に戻るが、凜雪鴉からは「あんな物騒なものを持っている以上、それを狙う(自分がからかいがいがある)悪党を引き寄せるだろう」と付けられている。

その言葉通り、第2期では宿敵である禍世螟蝗(カセイメイコウ)達「神蝗盟」が西幽から刺客を差し向け、多数の惨事が起きてしまった。

目録の魔剣も一部は処分出来たものの、逆に守護者を失った神誨魔械を預けられてしまい、魔剣や聖剣との縁が切れる日は遠そうである。


神蝗盟も新たなる同盟者と手を組み、さらに魔族も一連の戦いへ干渉するようになる。

その一方で殤不患は逢魔漏が何なのか知っていたり、タイムトラベルの経験があることが仄めかされたりと、彼自身の謎も深まっている。

魔剣目録を巡る戦いはこれからも続いていく……。


主な使用技編集

拙劍無式(せっけんむしき)」という(恐らく)我流の技で戦う。直訳すると「型の無い拙い剣」と皮肉が効いている名称だが、殤の実力もあり一撃必殺の技ばかりである。


  • 拙劍無式・八方氣至(せっけんむしき・はっぽうきし)

攻撃を紙一重で避けつつ気力を放出して態勢を崩させる。極めつけの見切りを要求される高難度の技。


  • 拙劍無式・鬼神辟易(せっけんむしき・きしんへきえき)

体幹の経絡に刺突を打ち込み、体内の気の運行を強制停止させる事により、行き場を失った気功を暴発しさせて肉体を内部から完全破壊する。強烈な練気を行っている相手に対してはとりわけ絶大な威力を発揮し、技の使用中に食らった凋命は、背中から肋骨が飛び出すほどの大穴が空き、即死した。


  • 拙劍無式・黄塵万丈(せっけんむしき・こうじんばんじょう)

気を充填した剣から手を放し、巧みに制御した気で運動に指向性を与え操る。剣を猛旋回させて風圧で矢や毒風を逸らす事も出来る。

もちろん剣以外を操る事も可能で、劇場版「西幽玹歌」では戦場に散乱していた竹筒を無数に飛ばし、追手を串刺しにした。


魔剣目録編集

殤不患が常に持ち歩いている、魔剣・聖剣・妖剣・邪剣と言った「迂闊に使用すれば世界を破滅させかねない危険な剣」が封じられた巻物。巻物の形をしているものの、これ自体に剣が封じられているというより、封じられた異空間を開く鍵のような存在らしい。剣はその異空間の中を飛び回っており、目録を開く度に剣の並びも変わる。破れたり切れたりした場合は剣が表示されなくなるが、普通の巻物を直す要領で丁寧にのり付けすれば修復できる。

劇中(第3期まで)で使用された剣は次の通り。


  • 須彌天幻・劫荒劍(すみてんげん・ごうこうけん)

目録に封じられた剣の中でも特に強力かつ特殊な能力を秘め、殤不患自身も持て余し気味だった剣。「星空の彼方より訪れた剣匠が鍛えたとされる異形の魔剣」と称され、操るには超人的な気功の練度を要求される。奥義の「洪荒禁窮獄(こうこうきんきゅうごく)」はブラックホールのような闇を発生させ、この剣で傷つけた対象のみを異空間へ引き摺り込むという技で、封印する術を失った妖荼黎に対して(体の良い処分方法を兼ねて)使用し、見事封印に成功した。殤不患曰く「異空間への穴が完全に塞がるまでざっと百年」とのことで、それまで天刑劍に代わる新たな封印の楔として丹翡らに託された。


  • 喪月之夜(もづきのよ)

殺傷力は無いが、斬った者を持ち主の傀儡としてしまう剣。斬られた者は頭に「喪」の一文字が書かれた人形と化してしまい、剣の持ち主の思い通りに動く傀儡となる。元に戻すには気絶させたり眠らせたりして意識を失わせるか、喪月之夜で心臓を刺さねばならない。

蠍瓔珞嘯狂狷は無関係な者を傀儡にし、ゾンビのように襲わせたり、相手の良心に付け込んで肉壁にするといった非道な戦法を用いた。

しかしこの剣の真価は、軍の統率に長けた将器を持つ者が使った時に発揮される。傀儡にされた衛兵たちを助けるため殤不患自身が使用した際は、傀儡全員が武術の達人のような戦闘力を発揮し、一糸乱れぬ連携で嘯狂狷を袋叩きにした。

また、傀儡化したものは自分の意思を失い、喪月之夜の持ち主にただ操られるしかないため、裏を返せば魅了や幻惑の術が一切効かなくなる(持ち主には普通に効く)。殤不患は2期最終話にて、妖姫・七殺天凌の魅了の魔力に対抗すべくこの副次効果を利用し、自身を傀儡化し凜雪鴉に操らせて戦うという奇策に打って出た。

ちなみに、魔剣自体に興味を持っていなかった凜雪鴉だが、これをきっかけに喪月之夜を気に入ってしまう。本来なら一番持たせてはいけないヤツだろう……。


  • 妖姫・七殺天凌(ようき・ななさつてんりょう)

刀身を見た者を妖しげな色気で魅了してしまう妖剣。剣自体に意思が在り、直接目視していない時でも誘惑の言葉を投げかけてくる。万が一この剣を手に取ってしまった場合、持ち主は七殺天凌に生涯の忠誠を誓う程に魅了され、片時でも手元にないと気が狂う程の依存症に陥る。

この剣の正体は、かつて西幽の皇帝に取り入り国を乱したとされる、絶世の美女にして魔族の照君臨。護印師たちによって討たれた際に「自分を殺した器物に憑依する」という魔術によって、自分にトドメを刺した聖剣に憑依し妖剣として生まれ変わった。

聖剣だった頃は、赤い光線を放って遠距離攻撃ができる剣だった模様。


  • 灼晶劍(しゃくしょうけん)

元々は護印師の聖地・仙鎮城に伝わる聖剣で、同地が保管する多数の神誨魔械の中でも特に強力な「三聖具」の一つ。同地の陥落を受け、殤不患に預けられて魔剣目録に加わった。爆発的な高熱を発する凄まじい剣だが、防熱対策をしていないと持ち主の体をも焼いていく。


  • 蒼黎劍(そうれいけん)

仙鎮城の「三聖具」の一つである神誨魔械。気を込めることで刃に特殊な振動を発生させ、あらゆるものを容易く粉砕できる。ほぼ防御不可能なため接近戦では最強クラスだが、使い方を心得た者でなければその振動故に柄を握ることすら不可能。


  • 八陣斷鬼刀(はちじんだんきとう)

仙鎮城の「三聖具」の一つである神誨魔械。名前の通り剣ではなく刀で、刀身の背に八つの宝石の環が付いている。環はそれぞれ個別の条件を満たすことで光が灯り、威力が増していく。


  • 幽冥・萬世神伏(ゆうめい・まんせいじんぷく)

龍脈に干渉し、地殻変動を起こす強力な神誨魔械。西幽の皇室によって護印師から取り上げられ、大量破壊兵器として異民族との戦に使われていた。劇場版「西幽玹歌」にて、皇室の暴挙を見かねた殤不患らが宮殿から強奪し、追っ手を阻むため止むを得ず使用した。第3期の最終話では、敵の秘密基地「無界閣」の入り口を封鎖するべく、地面を崩壊させるのに使われた。

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