「心昂れば、ただ、吟じ奏するのみ……」
「耳をもって邪悪を暴き、喉をもって邪悪を正す。すなわち、貴様の敵だ!」
概要
キャラクターデザイン:三杜シノヴ(ニトロプラス)
劇場版『東離劍遊紀 生死一劍 殤不患編』で初登場、本格的に物語に絡んでくるのは第2期から。
誕生日2月22日。
念白「筋為弦,脈為鼓,息如笙歌;以吾命,譜樂章,邪音不容。(筋は弦、脈は鼓、呼吸は笙のしらべの如し。我が生命という楽曲に、悪の雑音が混じる余地はない。)」。
かつて西幽で殤不患の相棒だった吟遊詩人。
極端に寡黙な人物で、必要最低限の事柄しか言葉にすることはなく、喜怒哀楽の感情表現は常時携えている人語を解する魔性の琵琶「聆牙」を爪弾くことで示す。
直感的に対象の善悪を見極めることができるが、理屈を抜きにして対象の善悪を察知するため、容赦なく悪とみなした者に斬り掛かる物騒な一面もあり、(最終的に共闘したものの)凜雪鴉とは非常に相性が悪い。
通り名は弦歌斷邪(ゲンカダンジャ)。
以前はその魔性の声から西幽で周囲に振り回される日々を送っていたが、殤不患や睦天命と出会ったことをきっかけに自分の意志で悪と戦う道を選んだ。
第2期ではレギュラーメンバーとも言えるような役割をしているが、中の人的な関係で台詞が少ないとも言われている。
一応、作中においては「喉に魔性が宿っており、余計なトラブルを避けるために軽々しく発言しない」という理由が説明されている(聆牙が人格を持ち、言葉を発することができる様になったのもこの魔力を持つ声を手元で浴び続けたため)。
聆牙は剣にも変形する武器なのだが、彼自身は歌を武器にする事も出来る。中の人的な意味でなのかは定かではない。
来歴
西幽玹歌では、彼の幼少期から、殤不患の仲間になるまでの経緯が語られる。
この頃は自分の声の魔性に気づいておらず、比較的饒舌だった。
幼少期は西幽の人里離れた山の中で盲目の母・咒旬瘖と二人で暮らしていた。彼女は巫謠を天下無双の楽士として宮中に送り込むという夢を持っており、そのために児童虐待にも等しいスパルタ教育で、巫謠に音楽と武芸を叩き込む。しかし、彼が声変わりして今までの声が出せなくなった際、咒旬瘖は息子が何処かに去ってしまったと勘違いし、巫謠が必死に呼び止めるのも聞かず、探し歩く最中に崖から足を踏み外して転落死してしまう。
途方に暮れた巫謠は母を弔った後、母の形見の琵琶を持って山を降りる。
その後、食事をするために立ち寄った酒場で店員に「金が無いなら詩吟をやってみせろ」と迫られ、初めて人前で歌声を披露する。人々はたちまちその歌声に魅了され、酒場は彼の歌を聞きたがる客で大いに繁盛した。以後、三度の食事と寝床を提供することを条件に、巫謠はその酒場の
専属の吟遊詩人となる。
数年後、巫謠は郊外で琴を奏でて歌を歌う一人の女性と知り合う。睦天命と名乗ったその女性は、巫謠が母と共に修行した歌を知っており、それが縁で二人は友人となる。
ある日、巫謠の逗留する店に捕吏(警察組織)の捜査の手が入る。捕吏の嘯狂狷によると、巫謠の歌に魅了された者たちが酒場の代金を稼ぐために犯罪を繰り返しており、その原因を作った巫謠を捕らえるためにやってきたのであった。
一方、西幽の皇女・嘲風は、至高の音楽を奏でられる人物を求め、吟遊詩人を宮中に招いては演奏の最中に兵士と殺し合いをさせるという残虐な宴を連日催していた。出世の手がかりを求めていた嘯狂狷は、巫謠をその場に引き出して歌わせようとしていたのだった。巫謠は嘲風の眼の前で兵士たちの攻撃を受けながらも、見事にそれをかわしきって歌い上げ、その魔性の声で嘲風に見初められる。かくして巫謠は「天籟吟者(てんらいぎんじゃ)」の称号を授かり、母の夢であった宮中入りを果たした。しかし、巫謠が天籟吟者となってからも嘲風の戯れは収まらず、巫謠は次第に「これが母の求めたものだったのか、俺の求める歌なのか」と苦悩するようになる。
そんなある日、天籟吟者である巫謠への挑戦者が宮殿を訪ねてくる。その正体は睦天命であり、巫謠が訝しむ中で「兵士の攻撃に耐えて最後まで演奏を続けた方が天籟吟者となる」という勝負が始まる。しかし、天命の狙いは宮中の注意を自分たちの方に引き付けることであり、その最中に彼女の仲間である殤不患が、宮中に伝わる伝説の剣「幽冥・萬世神伏」を奪取することが目的だった。見事に目的を果たした天命と不患は宮殿を脱出し、巫謠もその後を追う。
不患たちに追いついた巫謠は剣を交えるが、その中で不患と天命が悪人ではないこと、世に災厄をもたらす武器を集めて歩いていることを知り、同時に自身の声に魔性が宿っていることを指摘される。「そんな声を持っている以上、それを悪用しようとする奴がお前を放っておかない」と警告された巫謠は、これ以上誰とも関わりたくないと言い残し、故郷の山に帰る。しかし、巫謠を心配してやってきた天命から、人の心を持っているならその力を制御できるはずだと諭される。その言葉により巫謠は、自分の声が剣ならば、意思こそがその柄だと悟り、自分の耳目で感じた悪を討つことこそが行くべき道と信じて、不患たちの仲間となった。
余談
西川貴教氏は過去にも様々な作品でゲスト声優としても出演しているが、今回は数少ないレギュラー枠での出演になった。
(今回の場合は劇場版「生死一劍」ラストにも先行登場しているので、続投と言う形なのだが)
元々は登場人物としてではなく、霹靂社が主題歌を担当する西川氏をモデルにして製作されたコラボ人形であった。(参考リンク)
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ネタバレ注意
彼の父親は阿爾貝盧法、つまり浪巫謠は魔族と人間の血を引くハーフだったという事になる。
また、母親の咒旬瘖は元は西幽皇女であったため、西幽の皇家の血筋に連なる者でもある。
第3期最終話において、阿爾貝盧法からその事実を聞かされた彼は、阿爾貝盧法の元へと向かう事となり、殤不患とは別れる形となった。
第4期において魔界に渡った巫謠は、阿爾貝盧法が「平和になってしまった魔界に闘争と混沌を取り戻す」ことを目的に、現在の魔界を統治している魔王を倒すクーデターを企てていることを聞かされる。その折に、魔界で生きていくための力試しと称して魔獣・悍狡(かんこう)をけしかけられた巫謠は、その身に流れる魔族の血を本能的に目覚めさせてしまう。
これによって彼の額からは1本の角が生えており、顔にも魔族の証である文様が表出している。