概要
シワテテオ
シワテテオ(Cihuateteo、Ciuteoteo、Ciuateoteo、Civateteo)とは、出産で亡くなった女性の霊が変じるといわれる女怪で、図像では鋭い爪を持った骸骨の顔の女性という姿で描かれている。
日が沈むと十字路に現れ、子供を攫い、人に狂気を与え、病気を流行らせるという恐ろしい存在であった。さらに生前の姿で男を誘惑する吸血鬼であるともいわれる。
しかし、出産で死ぬということは、アステカ民族にとっては戦いで死ぬのと同じく名誉なことだとされていた。
そのため、妊婦の遺体は戦勝をもたらすものであると信じられ、遺族は埋葬するまで遺髪や遺骨、遺体の一部を奪われないように気を付けていたのだという。
ラ・ヨローナ
スペインの植民地化以降には、シワテテオはスペイン語で「泣く女」を意味するラ・ヨローナ/ラ・リョローナ(La Llorona)という名でも呼ばれるようになった。
怪談として、南米全域にこのような話がのこる。
かつてスペイン人の貴族の男と現地の女が愛し合い、秘密の関係の中で美しい子を授かった。
しかし、男は貴族の女と結婚して去ってしまったため、嫉妬に狂った女は我が子を水死させた後に川で自殺して、子供を攫う悪霊となってしまったのだという。
創作での扱い
- 水木しげる作品
『東西妖怪図絵』や『妖怪〈世界編〉入門』に、シンナテテオという名でインパクトがある顔の女怪として描かれ解説された。
FCで発売されたロールプレイングゲーム『悪魔くん魔界の罠』にも敵モンスターとして登場している。
この名は水木が資料とした書籍『吸血妖魅考』における、「u」と「n」の誤読によるものである。
- 女神転生シリーズ
初出は『ソウルハッカーズ』で種族は”鬼女”。
スペイン語のラ・リョローナ名義で登場し、顔はのっぺらぼうで髑髏模様の衣装を着たフラメンコダンサーという解釈の姿。
- ラ・ヨローナ~泣く女~
2019年にアメリカで制作され公開されたホラー映画で、17世紀のメキシコの女性が夫に浮気されたことで白いドレスの悪霊と化し、現代の人々にも水と泣き声で呪いを与える。
なお今作は2013年から制作されている『死霊館シリーズ』の一遍である。