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クトゥルフの編集履歴

2020-07-07 02:28:12 バージョン

クトゥルフ

くとぅるふ

クトゥルフ神話に登場する代表的な邪神。

本来名前の『Cthulhu』は人間には発音できない音であり、原語の時点で綴りも発音も複数ある。和訳ではクトゥルー、ク・リトル・リトル、クスルー、などと表記されることもある。

ラヴクラフトの書いた手紙(1936年8月29日付け、ウィリス・コノヴァー宛)によれば、一番近いものは、舌先を口蓋に押し付けて、Cluh-Luhと、唸るように、吠えるように、咳こむように言えばようだろう、とのことである(ダーレスによれば、ラブクラフトは『クトゥルー』と発音していたとのこと)。


概要

旧支配者の一人とされ、ダーレスによる分類では四大元素の一つ水に属する。宇宙の原初の混沌「アザトース」を遠い祖とする。

風に属するハスターとは対立しているとされる。

風貌はタコに似た形状の頭部に無数の触手を持ち鉤爪のある腕と蝙蝠に似た翼、全身は緑色の鱗に覆われておりその大きさは30メートル以上。


神ではあるが、いわゆる霊的な存在ではなくゾスの星から飛来した地球外生命体である。これは異界の種族たる多くの旧支配者に共通する。


とはいえ、肉体的な死を迎えても滅びない等、我々が考える「生物」ではないのは間違いない。


なぜ神かといえば、崇拝者達がいるからである。自らの眷属に加えて、さらに地球の種族が神と祀り上げているのである。


「クトゥルフ神話」の代名詞となっているが、位置づけは大抵の場合最高神ではない。旧支配者の大祭司、あるいは水属性の者達の長である。これは広い海洋に覆われた地球において、最も大きな影響力を持つ事が理由といえよう。


大いなるクトゥルー〈旧支配者〉の縁者なるも漠々として〈旧支配者〉を窺うにとどまりたり。

(ネクロノミコンより抜粋)

旧支配者の中では彼らを祭る大祭司の役割を持つ。ルルイエが浮上し、クトゥルフが復活するときがこの世が滅ぶときであるという予言がある。


「ルルイエの館にて死せるクトゥルフ夢見る内に待ちいたり」という詩文が示す通り

現在は海底に沈んだ古代都市ルルイエに封印されている。星辰が適切な位置に近づいたごくわずかの期間や地殻変動によって海面に浮上した時、クトゥルフの意思が外の世界に漏れ、芸術家や子供など感受性の強い人間は悪夢や精神異常などの状態に陥ることがある。彼らは次第に眠ることを拒絶しはじめ自殺する。そうでない場合、いずれ眠ったまま極大の恐怖の表情を貼り付けて絶命した姿で発見される。


クトゥルフ信仰は各地に存在する。

我々が平穏と感じる時間は、クトゥルフが眠る僅かな間だけである。聖書に記されるサタンとはクトゥルフの事とする推測もある。

ブライアン・ラムレイ作品の設定では旧神にクタニドがいる。クトゥルフの兄弟あるいは従兄弟とも。


化身

肉体が封じられている為、精神体や人々の夢を介して顕現する化身が多い。

・ビーモス(ベヒーモス)

夢とテレパシーを通して顕現する青、緑黄色に輝く霧のような姿。物理的な力を一切持たないが、強力な精神能力がある。ビーモスの精神支配下に置かれた動物や人間はビーモスの肉体の延長として操られる。その間その事実に気付かない。


・コラジン

クトゥルフの意識体。クトゥルフとして夢の中に現れる。人間の精神を貪り、力を蓄えると物理的に顕現することもできるという。海洋生物の肉体を支配し肉体を形成すると、合体しクトゥルフの物理的な化身となる。この化身はクトゥルフと同等の力を持つ。


・すべてのサメの父

聖書にあるリヴァイアサンの可能性がある。

古代のカルカロドン・メガロドンなどの巨大なサメに似た姿であるが、大きさは倍ほどもある。幽霊のように白く、海はその周りで輝いている様に見える。絶えず空腹で目の前のものをすべて貪り食う。常に激怒で狂乱している。大きな外用船すら一噛みで壊滅させる。

深きものに崇拝されており、彼らは全てのサメの父を呼び出す儀式を知っているが、制御不能の為呼び出すのは最終手段。彼らの共同体全体が脅かされる最悪の事態に呼び出される。


・ルムル=カトゥロス

人間。アトランティスの神官王。

ハスターの盟約に関連する存在。昔の入信者は彼の弟子の一人になるために最も耐えがたい試験を受けていた。クトゥルフの精神を具現化することを命じられた魔術師。

(ロバート・E・ハワードが創作した「カスロス」へのオマージュとしてラヴクラフトが創作した)


関係性

リン・カーター系

現在最もメジャーな系譜。ラヴクラフト系とスミス系を統合整理している。

ヨグ=ソトースの息子がクトゥルフ。

ハスターツァトゥグァブルトゥームは異母兄弟。ハスターとは敵対(ダーレス系)。

雌神イダ=ヤー(ゾスの星に残留)との間にガタノソアイソグサゾス=オムモグの三兄弟(ゾス三神)をもうけている。

ムー大陸ではカタノソア教団とは信仰上の対立があった。


原初の地球の地の底にウボ=サスラが棲み付き、神々を産んでいた。

続いて地上では、知的生命体(古代地球人たる古のもの)が文明を築き上げた。

そこにアザトースの系譜に連なるクトゥルフと眷属がやって来た。


ブライアン・ラムレイ系

リン・カーター系に準じ(二人の間には交流があったらしい)、ゾス三神の下に秘密のクティーラ姫がいる。

ただし、かなり独自の世界観となっている。

邪神の王はアザトースではなくクトゥルフであり、力はヨグ=ソトースすら上回る。

邪神の総称にCCD=クトゥルフ眷属邪神群と名付けられている。CCDの有名な配下として、地底種族のクトーニアン、水棲邪神で「クトゥルフの騎士」と呼ばれるオトゥームなどが挙げられる。邪神群が意思疎通に使うテレパシーの力がナイアルラトホテップである。

対存在と呼べる旧神クタニドがいる。旧神の王はノーデンスでなくクタニド。


ジョゼフ・パルヴァー系

ラムレイ系をさらに拡張した。TRPGの適用範囲といえる(こちらはアザトースが王)

二番目の妻スクタイ(詳細不明)がいたが、クトゥルフ自身が殺害している。

三番目の妻カソグサ(蛇の女神)は妹でもあり、双子の姉妹ヌクトサヌクトルーをもうけている。

右腕的な邪神としてムナガラーが挙げられている。



まずアザトースが両性具有のサクサクルースを産み出し、

サクサクルースが「われは一つにして、多くにもなりうるもの」と宣誓した後に、

雄のナグと雌のイェブに分裂し、これらが夫婦になってクトルット(クトゥルフ)らを産んだ。

その後クトルットはカーター系と同じく雌神イダ=ヤーとの間ラヴクラフト系その他

ヨグ=ソトースシュブ=ニグラスの子供がナグイェブ

ナグからクトゥルフが生まれた。イェブからツァトゥグァが生まれた。

あとはいろいろ変わるので割愛するが、ナグとイェブが出てくるのが特徴。

カーター系に繋がる。


栗本薫『魔界水滸伝』

邪神の首魁。配下に十二神がいる。

十二神には、他作品なら外なる神や旧支配者に分類される錚々たる邪神たちがいる。

珍しいところだとヒプノス(ヒュプノス。他作品なら大地の神々or旧神)もカウントされている。イレムとヨゴスが神になっている。


眷属

・ダゴン

深きものの太父「父なるダゴン」。下級神で、クトゥルフのしもべ。

・ハイドラ

深きものの太母「母なるハイドラ」。下級神で、クトゥルフのしもべ。

・ムナガラー

クトゥルフの右腕とされる。

・クトゥルフの落とし子(クトゥルヒ)

無数にいる。力は弱い。放射性物質が弱点。

・オトゥーム

クトゥルフの騎士と呼ばれる神性。

・シャッド=メル

地底種族クトーニアンの長老。容貌はイカに似ている。テレパシー能力が高い。

信仰

地球上で最も巨大な勢力を誇る旧支配者。それでも知っている人間はごく少数らしい。


名前の知られていないカルトも含めれば、クトゥルフを崇める教団はそれこそ無数にあると思われる。


・ダゴン秘密教団、マーシュ家

ダゴン、ハイドラ、クトゥルフを崇める教団。19世紀にインスマウスに設立された。構成員のほとんどは深きものとその混血児。太古から続くクトゥルフの軍勢が形を変えたものと思われる。1928年にアメリカ政府に存在を暴かれ、拠点を壊滅されるも地上の侵略とクトゥルフの復活を今もなお目論んでいる。


・銀の黄昏教団

1657年にフランスで結成された魔術秘密結社。

目的はルルイエの浮上とクトゥルフの復活であり、世界有数の魔術師達がその結成に関わっている。


・中国奥地

教団の不死の指導者が潜んでいるという。

TRPG由来の設定では、漢字では『鬼歹老海(クイタイラオハイ)』と書かれ、そもそも漢字の『鬼』(=死者)はクトゥルフの頭部を象った象形文字だという(現代中国語では「克蘇魯」と書かれる)。ルルイエ異本の原本が夏王朝の時代に書かれた。


・ムー大陸、レムリア大陸、アトランティス大陸(人類文明以前)

・北米の地底世界クン=ヤン(20世紀)

崇拝者達の言い分では、クトゥルフや旧支配者は善神。悪の旧神に幽閉されたとしている。


関係のある呪文

・いあ! いあ! くとぅるふ ふたぐん!


・ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるふ るるいえ うがなぐる ふたぐん


関連書物

『アル・アジフ』『ネクロノミコン』 著者はアブドゥル・アルハザード。イスラム教の神を捨てて邪神信仰に走ったという。

『ルルイエ異本』 クトゥルフ信仰の歴史が書かれている。クトゥルフ研究の上では最重要。

『セラエノ断章』 原典はセラエノ図書館の石板。シュリュズベリイ博士によって翻訳冊子化された。「対クトゥルフ」としてのハスターについての記述が多い。

『ネクロノミコンにおけるクトゥルフ』 シュリュズベリイ博士の未完の研究草稿。

『ルルイエ異本を基にした後期原始人の神話の型の研究』 シュリュズベリイ博士の論文。クトゥルフ教団を世界の8個所に特定した。

『水神クタアト』 水棲の妖魔について書かれているため、クトゥルフにも触れている。

『ポナペ経典』 ムー大陸で書かれた。著者はガタノソア(クトゥルフの長子神)の神官という。

『ザントゥー石板』 ムー大陸で書かれた。著者はイソグサ(クトゥルフの次男神)の神官という。


初出

クトゥルフの呼び声(The Call of Cthulhu)…ラブクラフト全集文庫版2巻などに収録

邦訳表記一覧

クトゥルフ 創元推理文庫『ラヴクラフト全集』、『クトゥルフ神話TRPG』

クトゥルー 青心社『クトゥルー』シリーズ

クートゥリュウ ソノラマ海外文庫『暗黒の秘儀』

ク・リトル・リトル 荒俣宏、国書刊行会の『真ク・リトル・リトル神話大系』

クスルフー 創元推理文庫『怪奇小説傑作集3』

クトウルウ 早川ミステリ『幻想と怪奇2』

クルウルウ 創元推理文庫『ラヴクラフト全集』の大瀧啓裕訳分

クスルウー 国書刊行会『定本ラヴクラフト全集』

チュールー 高木彬光『邪教の神』

ズールー 平井呈一


原語表記

Cthulhu(クトゥルフ)

Kutulu(クトゥル―)

Kthulhut(クトルット)

Thu Thu(トゥートゥー)

Tulu(トゥール―)


関連イラスト

いか だいおうメイキング?「クトゥルー石像」・完成


関連タグ

旧支配者

クトゥルフ神話

クトゥルー

ハスター

ルルイエ

ダゴン(クトゥルフ神話)

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