前提
クトゥルフ神話は既存の伝説、伝承、神話を取り入れた創作神話である。
この記事で説明する「ダゴン」は旧約聖書などで語られるダゴンがクトゥルフ神話に取り入れらた形となる。また、厳密には「あのダゴンなのではないか」とされているだけで、本当に伝承上のダゴンかはわからない扱いとなっている。初出の作品でも目撃者が伝承上のダゴンに重ねただけである。
後の作品によって設定が付加され、ディープワンズなどその信奉者には「ダゴン」と呼ばれていることは確かとなっている。
クトゥルフ神話以前、伝承のダゴンについてはこちらを→『ダゴン』
概要
『父なるダゴン』と称されるクトゥルフの従者であり、深きものどもの統率者である。
初出はラヴクラフトの「ダゴン」。
小山ほど巨大で、姿は鱗や水かきのついた手足、魚類然とした面貌を持つ、人間に似た姿であるとされる。稀ではあるが霧の雲としても現れる。 その目を見てしまうと人間は狂気に陥る。
深海に現在も存在しており、かつてのルルイエやアトランティスの文明が滅亡してしまったことを嘆いているようだ。
初出作品での登場は文明の名残である石柱を抱きしめながら、嘆きの慟哭をあげるというもの。
ハイドラという伴侶がいるとされ、マサチューセッツのインスマスでは両者とクトゥルフを崇拝する「ダゴン秘密教団」が存在した。
H・P・ラヴクラフトの作品から登場しており、特に「ダゴン」「インスマスの影」では物語の怪奇性と旧支配者の恐怖を具体的に際立たせる存在である。
出自
クトゥルフの封じられなかった部分が化身になった存在だとも、深きものどもが長い年月をかけて成長した最も巨大な個体だとも推測されている。
これらは作中でも飽くまで推測であり、本質的にどのような存在かはわかっていない。
例えば、太古から生き続ける様々な年齢のものがいるはずである深き者どもの大きさはほぼ横ばいで、大きな差はなく、ダゴンの半分ほどの大きさのものも見られない。深きものが成長によって巨大となるのなら、これは不自然である。さらに、ダゴンは深きものとは明らかに異なる超常の能力を持っている。
クトゥルフの化身ではと考えた場合、クトゥルフの化身は他にも存在していて、ダゴンもその一つかというとそれを裏付けるような判断材料に乏しい。
「インスマスを覆う影」において人類の祖先として父なるダゴンと母なるハイドラの名前が挙げられた。文脈的にこの「人類」とは「深きもの」を含んだ括りである。しかし、そのまま人類や深きものがダゴンらの子供だと考えると辻褄が合わない部分が多く、象徴的、宗教的表現である可能性が高い。
関係性
奉仕する主であり、崇拝する神性。ダゴンはこの神が復活することを願っていると思われる。
妻。子供は確認されていない。深きものどもがその子孫ではないかと推測されることもある。
ディープワンとも呼ばれる奉仕種族。クトゥルフと共に奉仕と崇拝を受ける。
クトゥルフの娘の神性。ブライアン・ラムレイ作品において、この女神の後見人とされている。
関連リンク
歪神ダゴン:クトゥルフのイメージによる風評被害で敵対したキャラクター。