ネタバレ注意!!
本記事にはアプリ版けものフレンズ3のメインシナリオ8章以降の重大なネタバレが含まれています。
「隊長さん!」
「見ててください!!」
「__これが私の!」
「全力です!!」
概要
メディアミックス作品『けものフレンズ』のゲーム作品であるけものフレンズ3及びそのアプリゲーム版。
過去作との繋がりを示唆する様々な考察要素や時に衝撃的な展開を踏まえながらも、動物に関する知識を交えつつフレンズ達が協力して苦難を乗り越えていく冒険活劇だった。
……が、メインシナリオ8章ではそれら全てを覆しかねないレベルの悲劇が起きた。
ストーリー
巨大セルリアンから大量に生み出された強力な個体・通称「ハンターセル」の大群。
その中の一体が、警備隊と共にセルリアン掃討作戦のメンバーに加わっていたトキの輝き(及び歌声)を奪い、力を増し始めて作戦に加わっていたフレンズ達を圧倒し始めていく。
フレンズ側もやられっぱなしではなく、次々に生み出されるハンターセル相手に苦戦しつつも押し返していくものの、トキの輝きを奪った個体だけはこちらの攻撃を難なく避けていき、更に合流した探検隊にも牙を向き、主人公の輝きまでも奪われてしまう。
主人公が倒れた事に取り乱すドールは、カレンダの先導によりヘリの中へ主人公を搬送、セルリアンの大群を他のメンバーに託して上空へと飛び立つ。
残されたメンバー達の奮闘もあってハンターセルも全滅に追い込まれるが、全滅させていれば戻るはずのトキの声が一向に戻らない。
カツンっ、
カツンっ、
ーー〜ーー〜ーー♪
一行の間によぎる嫌な予感はものの見事に的中してしまい、トキの輝きを奪った個体は誰にも気付かれない内にヘリにしがみ付いていたのだ。
二人分の輝きを奪ったハンターセルはこれまでの個体とは比べ物にならないほど強く、唯一戦えるドールもまったく歯が立たず、ボスとの通信に利用されていたラッキービーストも輝きを奪われて通信が遮断、ヘリの制御が完全に利かなくなるという最悪の事態に陥る。
そこへハクトウワシら空を飛べるフレンズ達が救援に向かうが、それでも太刀打ちできないばかりか逆にオオタカやハシビロコウ、ハクトウワシや助手まで輝きを奪われ、カレンダを庇ったフリッキーも破壊されてしまう。
たった一体のセルリアン相手に圧倒的不利な状況に追い込まれ、ヘリの中にいる主人公達を担いで撤退する事となった中、ドールは一人撤退せずにいた。
ヘリは今、パークの外にある本土へ向かおうとしている。そうなればセルリアンという危険な存在を外へ連れ出す事になってしまう。
そして、多くの輝きを奪われてしまったからこそ、それを取り返なければいけない。
覚悟を決めたドールは、朦朧とする意識の中でようやく絞り出せた主人公の叫びも虚しく、ハンターセルに向かって最後の力を振り絞った一撃を繰り出す。
一行を苦しめ続けたハンターセルはようやく撃破され、トキ達の輝きも戻っていった。
しかし……
(…えへへっ!)
(__隊長さん)
(私、やりましたぁ…!)
全ての力を使い切ったドールはもはやフレンズとしての姿を保てなくなっており、カレンダが咄嗟に手を差し伸ばすのも虚しく、ヘリから落ちていく夕空の中で光る球体となった後に元の動物に戻ってしまった。
その後、副隊長のドールとしてフレンズ化していた素体と同一のアカオオカミの個体が再びフレンズとして姿を見せるのだが……
「あなたたちは、だれですか?」
そこにいるのは副隊長としてのドールではなく、新たなフレンズとして生を受けたドールだった。
そしてそんな新生ドールに博士は言葉を掛ける。
「ようこそジャパリパークへ」
と。
ここでメインシナリオ8章は幕を閉じる。
メインシナリオ8章のギミックについて
上記の流れを見ても未プレイヤーからは少々大げさに見えるかもしれない。
しかし、ここまでプレイヤーたる隊長諸氏に衝撃を与えるのは、単に物語の内容だけでなく、ゲーム中のギミックや演出と随時更新される配信形式によるものも大きい。
前後編に分けられた配信
メインシナリオ8章ではそれ以前までには見られなかった、前編後編に分けられたストーリー配信形式が取られ、前編6話までは2020年8月21日(金)14時から、7話以降の後編は8月24日(月)14時に配信され12話まで解禁された。
土曜日と日曜日を挟むことによりプレイヤーのストーリー進行の足並みが揃いやすいため、ネタバレの防止やリアルタイムでの反響が波及しやすい状態になった。
この配信形式の取り方に様々な憶測が考えられるが、この反響が狙い通りのものだとするならばアプリ運営とシナリオライターの手腕は特筆すべきものがある。
プレイヤー(隊長)の戦線離脱
上述のハンターセルによるプレイヤー(隊長)の負傷により、なんと10話からフレンズに対するゲーム中の行動がほとんどできなくなる。
ゲームを進行するためマップ画面から10話を選択するとこのバトルには隊長が参加できませんと警告が表示され
・バトルはオートで進行します
・フレンズはランダムで行動します
・ターゲットを指示できません
・隊長スキルが使用できません
・おかわりできません
・たいきスキルのタイミングを指示できません
と行動のほぼ全て制限される警告文をデカデカと見せつけられることに多くのプレイヤーは困惑したことだろう。
いざバトルを開始するとまず目にするのが画面中央にまたデカデカと表示される指示を出せません…の文字に、フレンズたちに配られたフラッグも???でマスクされ、けもコーラスもロクに繋がらない、その上に属性の有利不利に関わらずランダムで攻撃するため中々にセルリアンを倒しきれず長期戦を強いられるため、以前よりオート戦闘があれば隊長は不要では?という隊長不要論を払拭する答えとギミックとして、多くのプレイヤーが隊長の重要性を再確認したのだ。
突如としてのムービー挿入
けものフレンズ3においてキャラクターが動画として動くのはオープニングムービーのアニメーションかちょこっとアニメやカレンダレコードといった主に外部での展開が多く、メインシナリオにおいてはゲーム内グラフィックと共用のポージングモーションを使った所謂立ち芝居のような形式であり、7章以前までは動画やアニメーションが挿入されることは無かったが、11話最後のストーリー進行、上記のドールが最後の力を振り絞りハンターセルを討伐した時点で立ち芝居が暗転
皆の輝きを取り戻し満足そうな笑みを浮かべ輸送ヘリから落ちるドールとフリッキー、それを追ってカレンダはドールの手を掴むも、無情にもドールはプラズムの光とともに消滅する
という怒涛のムービーシーンの展開を迎える。
メインシナリオ初のムービーが主人公の消滅である。
この時のカレンダの悲痛の表情とドール消滅の演出にプレイヤーも言葉にならなかったことだろう。
しかし悲劇はこれだけでは終わらなかった。
フリッキー型セルリアン戦
ドールの輝きが消失し元動物としてのアカオオカミに戻ったのを目の当たりにする探検隊一行。
マイルカは海底よりフリッキーの残骸を回収し、周囲のフレンズたちはドールとフリッキーにお別れを告げるのだが…7章よりフリッキー内部に格納されていたセルリウムが漏出、その輝きを元に4脚の大型セルリアンと化した。
その見た目はアニメ1期における大型セルリアンに酷似しているものの、脚部はまだらに黄色く、さらに割れた胴体から有機的な目を覗かせる、非常におぞましく不気味なデザインのセルリアンとなっていた。
カレンダはその「友人」を模したセルリアンを前に「私たちの大切なもの…全部奪っておいて…その上まだ奪うっていうの!?」とその怒りと悲しみを露わにした。
奇跡、奇跡だわ…!!
そして大型セルリアンを迎え討つ8章12話、タイトルは「ようこそ、ジャパリパークへ」
この時のゲーム中ギミックはドール参加不可、常時からげんき状態というもの。
今までメインシナリオは探検隊パーティで攻略する、というプレイヤーの心を折ってくる。
このタイトルとカレンダが満面の笑みで「奇跡だわ…!!」と発言するグラフィックで
「ははーんさては1期かばんちゃんのように復活するんだな!」と期待したプレイヤーは多くいただろう。
そして難敵であるフリッキー型セルリアンを倒し、転化された輝きがアカオオカミを再び「ドール」としてのカタチを作る。
喜ぶカレンダと探検隊をよそにアフリカオオコノハズク博士とワシミミズク教授は浮かない顔をしており、ドールもまた困惑していた。
そして上記のようにドールは「あなたたちは、誰ですか?」と発言し、カレンダは「こんなの、奇跡じゃない…」と絶望し12話の幕が閉じるのであった。
そう、これは一度死んだ聖人が復活するような奇跡でもなんでもなくフレンズにおける生と死のサイクル、フレンズの世代交代の一環そのものなのである。
そして彼女は消えた
たたみかけるような惨いシナリオにプレイヤーは様々な感情を胸にするのだろうが
ここで新たにデイリーやハードモードこなそうとメインメニューからクエストに移行すると違和感を覚えることになる。
いつもいる「彼女」の声が聞こえない。いや、そもそも「彼女」がいない。
なんと11話攻略以降クエストモード選択画面からドールが消滅するのである。
バトル中のみならずここまで用意周到にプレイヤーの心をへし折ってくる運営、ライター、ゲームデザイナーには感服する以外にないだろう…
影響
フレンズを紹介する一覧記事にも記されているが、一度元の動物に戻った個体が再度フレンズ化しても、それまで保持していた記憶は最初から無かった事になってしまう(一部例外はあるが)ので、探検隊メンバー及び副隊長として活躍していたドールが隊長達の前に再び現れる事は絶望的なのである。
過去にはアニメシリーズでもそれらを示唆する描写はあったものの、メインキャラクターとなるフレンズがこのような事態に陥ってしまうという展開は初めてであり、ネット上の隊長諸氏からは阿鼻叫喚の声があがり続け、一部では「1期アニメ11話ショックの再来」とまで言わしめるほどの衝撃が走った。
その余りの衝撃に、8章後半公開翌日の8月25日には、何とツイッターに「けもフレ3」がトレンド入りする事態にまで発展した。
さらに、一部の察しのいい隊長の間ではサブシナリオ「アライさん隊長日誌」も佳境に突入している真っ最中のため、こちらからも近々ドでかい爆弾を投下されるんじゃないかと身構えている人がちらほら見られる。
一方、公式アカウントでは
さらにこれだけには留まらず、ついったーちほーのけもフレ3公式アカウントはそんな隊長達の間に漂うお通夜ムードと言っても差し支えない暗い空気など知ったこっちゃないとばかりに、ハッシュタグ『#けもフレ3への愛を叫ぼう』をつけてお祝いコメントの投稿を推奨するツイートをわざわざ引用RTを使ってまで宣伝しており、ゲーム内でのショッキングな展開そっちのけでけものフレンズ3が1周年を迎える直前である事を全面的に押し出していたため、悲嘆に暮れる隊長達からは「このタイミングでどの口が言いよる」「こっちはそれどころじゃない」「セガは鬼か」「“かわいいだけじゃない”の謳い文句は嘘じゃ無かった」といった怨嗟と称賛が入り混じった複雑な感情をぶつけられている。