概要
鹿児島県大隅半島より南南西に60km沖に存在する。
行政としては【鹿児島県/熊毛郡/屋久島町】に属する。
標高1936mの宮之浦岳をはじめ1000m級の天嶮を抱えることから、洋上アルプスの異名を持つことで知られ、また絶海の孤島で開発の手がほとんど入っていないことから、古代の原生林を今に残し、また数多くの固有種を抱える豊かな生態系から東洋のガラパゴスとも呼ばれる。
歴史
ほとんど人の手が入っていはいないものの、近世のころには薩摩藩の領地として材木採集の目的である程度の伐採があったことが確認されている。(豊臣秀吉が大坂城を創建した際に、屋久杉の大木を献上した記録が文献に残っている)。
また大正までは、島の数か所にトロッコを走らせており、それを使って建材の採集などをおこなっていたとされ、それを生業とする島民が少数だが存在した。
戦前(1924年)からすでに屋久杉の原生林が天然記念物に指定され、戦後(1975年)には"原生自然環境保全地域"に指定される。
そして2005年に"ラムサール条約"に加盟し、観光・研究目的以外での人手が完全にシャットアウトされることとなった。
昭和の前半期にはチェーンソーを導入しての大規模伐採が問題となった。
現在では、観光ガイドや島の環境保全に関連する人間以外はほとんど住みついていない状態にあり、かつての定住者はほとんと島外に移住している。
観光スポットとしての屋久島
現在はセスナや小型旅客機、フェリー船などによる交通網が存在し、人気観光スポットとして知られる。
島の一部には温泉旅館などの宿泊施設や、自動車道などの交通網が存在している。
ツアーのメインである"屋久島巡り"は登山装備が必須という少々過酷なもので、さらに道中でのトイレは環境保全の目的上、携帯式のものが必須となり、徹底してゴミや汚染に配慮した潔癖なまでの管理体制が敷かれている。
屋久杉
屋久島固有の杉で、屋久島の過酷な環境に適用し、抗菌性の高い樹液を体内で精製することから長寿となりやすい。その中でも樹齢1000歳の樹木を『正式な屋久杉』としている。
縄文杉
現生する樹木の中でも最大級の屋久杉。
樹高30m、幹周16.1m。名前の由来は「縄文時代には生きていた」という定説が存在するため。その樹齢は3000歳、4000歳以上ともされ、最大では7200歳という説まで存在する。現在、正確な放射性炭素年代測定法によって"2000年以上は確実"と定義されており、本来樹齢については未だはっきりしない。
一時は一本の杉ではなく、多数の屋久杉が集合した"合体木"とされたが、遺伝鑑定によって一本の杉の木であることが証明されている。
原生林
標高1000m以上の高山地帯に存在する屋久杉の原生林。
常に霧と雲に覆われ、冬になると南国にもかかわらず積雪が観測される厳しい環境下にある。
地盤は花崗岩で栄養価が少なく固い。
多分な湿気ゆえに樹皮が苔生してることが多く、場所によっては非常に幻想的な雰囲気を醸し出す。
スタジオジブリのアニメ映画作品『もののけ姫』に登場した「シシガミの森」のモデルになったことでも有名である。