概要
サイエンスフィクション作品に登場する、大気圏外や他の惑星へと大質量の貨物や人員・宇宙船などを撃ち上げる装置や施設のこと。
使い方によっては、一種の質量兵器にもなり得る。
宇宙へ行くには?
人・物資・宇宙船などを地球から宇宙へ送り込むには、雑に説明すると、第一宇宙速度まで加速すればよい。20世紀~21世紀初頭(現在)はロケットを使っている。
ロケットは人・物資・宇宙船などの「送り届けたい荷物」と「燃料」、「エンジン」を積んで発射される。燃料を消費して加速しながら宇宙を目指すのだが、荷物だけでなく消費する前の燃料まで加速することになってしまう。荷物を増やすと必要な燃料が増えて、増えた燃料の分だけさらに余分に燃料が必要になってしまうため、とても効率が悪い。
「荷物」だけを加速して宇宙まで届ければ効率よく・安くなるというのがマスドライバーの発想である。
「荷物」だけを加速するシンプルな方法として大きな大砲を使うという手がある。第二次世界大戦中にドイツ軍が熱心に研究したが、大型化するほど複雑化してしまい、ロケットのほうが先に完成・洗練されてしまった。
大砲の、火薬による加速は技術的に困難だとわかったため、現在はレールガンによる加速が検討されている。
登場作品
「機動戦士ガンダム」シリーズ
通常の宇宙船打ち上げの他、ゲーム作品では質量兵器として使用されるシーンがある。
Vガンダムでは敵MSの放った流れ弾がレールに着弾し、崩落するマスドライバーを味方のMSが支え身動きが取れなくなったところをコクピットごとビームサーベルで串刺しにされるという凄惨な死の描写が、視聴者に強烈な印象を与えた。
月で生産された物資(主に農産物)を地球へ送るための施設として登場し、物語全体を通して重要な役割を果たす。また、地球でマスドライバーを建設する場合の構造も登場人物によって提案されている。
アークバードへの補給機の打ち上げにマスドライバーが利用される。施設の護衛ミッションが存在する。
アーセナルバードへの補給機の打ち上げにマスドライバーが利用され、打ち上げられた補給機を追うミッションがある。このマスドライバーはかつては帰還機と共に宇宙開発に利用されていたが、軌道エレベーターの完成とともに宇宙開発には利用されなくなったものだった。
「キノの旅」
「日時計の国」で登場。国を挙げて作っていた巨大建造物は実は日時計ではなく、なんと古文書の設計図を基に惑星全域を射程に収めるオーバーテクノロジーの超長距離砲台。世界征服に先立つ景気付けに古文書の指示通り「世界で一番遠いところ」に向けて試射を行うのだが…。
この大砲、実はマスドライバーであった。しかし古文書を遺した人々は当然後世で兵器転用される可能性も考えており、エルメスは試射のデータからその気持ちに気づき何処へオチるのか知り大急ぎで出国するようキノを促す。
物語終盤で母艦イーストウッドの地球からの打ち上げに使用された。
月面ベースのものは直接は登場していないが、巡行形態のスプリガンMark.2の射出に用いられた。
物資打ち上げ用施設として月面に建造されたものが登場したが、物語後半では防衛用兵器として迎撃用質量弾の打ち上げも行われた。また、打ち上げた物資コンテナの回収に用いるマスキャッチャーも登場している。空間圧縮を用いたウーレンベックカタパルトの登場により、殆どが防衛兵器となっている。
「遊戯王OCG」
永続魔法カードとして登場。モンスターを射出するという本来の用途とは違った使われ方をしている。
効果は与えるダメージこそ少ないものの召喚権を使わない永続魔法の発動制限なし射出カードというとんでもないもの。採用されたデッキが2010年度世界大会で優勝した結果、ワンキル抑止の為に関連パーツに続き同じく無制限カードから一気に禁止カードになった。
「銃夢」
マスドライバーを装備した作業用サイボーグが登場。
火星で開催された武闘大会に出場した者もおり、両腕のマスドライバーを活用した超音速のパンチと投げ技で(一応)民間人ながら戦闘用アンドロイドと死闘を繰り広げた。
「無限航路」
実弾系の艦砲として登場。ボア・トーラス級という機動要塞が装備しているものは地球儀のように回転するリング状のレールが何重にも重なった特殊な構造であらゆる方向へ質量弾を発射可能。