ンドゥール
んどぅーる
概要
DIOの信奉者にして刺客の一人。エジプト9栄神、ゲブ神を司る盲目の男。
恐ろしいほどに研ぎ澄まされた聴力と洞察力を持ち、杖を耳に当てることで地面からの音や振動で対象の位置や距離、動きを探知できる。その精確さは飛んでいるハエの位置を把握するどころか、4km先であろうと足音の間隔から体格や心情を察知する事すら可能という化け物ぶり。
冷静かつ慎重な性格で、アヴドゥルのトリックを僅かな違和感から見破って逆に負傷させ、承太郎がイギーの能力で空を舞えば砂を巻き上げて反射音から位置や高度を捕捉するなど、相手の行動へ素早く対処する臨機応変さと、高い洞察力を有する。
また、嗅覚で自分の位置を探り当てたイギーを早々に警戒し、敵の策を躱したことで一層注意深く行動するよう気をつけるなど、用心深い。
自身を出し抜いて詰め寄った承太郎に対して敬意を評し、全身全霊を捧げて倒そうとしたり、念写でDIOの情報を探られるのを恐れて自ら頭を撃ち抜き自決しながらも、承太郎に対する礼儀として「自分の名前とスタンド、9栄神の存在」を告げたりと、誇り高さも持つ。
貧民出身ながら幼いころからスタンドを扱えたため誰にも負けず、己の死すら怖くなく、殺人などのあらゆる犯罪も平気で犯してきた。しかしスタンド使いを探していたDIOと出会い、自らの価値を初めて認められた愉悦と共に「この人に捨てられて死ぬのは嫌だ」と人生初の恐怖を感じたことで、忠実なる僕となった。
DIOのことを「悪の救世主」と呼び、いざとなれば自身の命を犠牲にできるほどの忠誠を誓っている。
敵スタンド使いの中では承太郎が唯一、明確に敬意を表した人物でもあった。
画集「ジョジョベラー」によると、座頭市をイメージして作られたキャラとのこと。
スタンド 「ゲブ神」
エアネドの一神で、大地の神「ゲブ」の暗示を持つスタンド。
km単位で離れている場所からでも操作できる遠距離操作型で、自在に姿を変化させる水のスタンド。基本は鋭い爪を持つ腕のような姿をしている。
水や血液などの液体と一体化しているため一般人にも見え、砂のように水分を吸収する物の中は自在に潜って移動することができる。さらに移動スピードも非常に速く、全速力ならスタープラチナがブン投げたイギーを追い越して先回りできるほど。
遠隔操作型だが、見れば分かるとおり目のようなものは無く、視覚を持たない。本体が杖伝いなどで聴いた音を頼りにして攻撃を行うため、(特定の条件に反応して攻撃を行う)自動操縦型に近い挙動も取る。ただしンドゥールの聴力がずば抜けていることもあり、攻撃の軌道は変幻自在で先読みが難しい(スタープラチナですら一度は見切れなかった)。
主な攻撃方法はウォーターカッターのように標的を引き裂いたり、射抜いたりするというシンプルなもの。切れ味は鉄をも切り裂き、パワーも人間の首を胴体から引き千切るほど。本体の周囲にスタンドを張り巡らせることで、全方位に攻撃できる結界を形成することもできる。
当然体内に入って溺死させることも可能だが、劇中では何故か生きた魚が一緒に侵入していた。
承太郎が海中でも絶対に脱がなかった帽子を吹き飛ばした、唯一のスタンドでもある。これらのことから単純な戦闘力においては9栄神の中でも群を抜く。
OVA版では補給物資の水を次々吸収してはその度にパワーアップしたり、ダメージによって解除してしまった際に熱砂で蒸発したりするなど、普通の水に戻るような描写がなされた。
活躍
エジプトに上陸したジョースター一行の前に、最初に立ちはだかった。
イギーを引き渡して帰還中のスピードワゴン財団のヘリコプターを襲撃。パイロットを殺害し、次いで花京院を攻撃して両目を負傷させる。
途中で音に反応して攻撃していることを看破されるが、僅かな違和感からアヴドゥルの策を見破って返り討ちにし、一行を絶体絶命の危機に追い込んだ。
しかし、イギーがゲブ神の攻撃を察知して事前に避難していたことを知った承太郎に、自身の居場所を割り出される。イギーを投げつけられて防御した際に杖を手放してしまい、また、防御にかまけて承太郎の居場所を見失ってしまい、この隙に接近を許してしまった。
スタンドにかかった陰から温度差を感じ取って、背後に立たれたことを把握。迎撃するも、打ち合いに敗れて瀕死の重傷を負う。
しかし、ジョセフの念写でDIOが不利になる情報を探られるのを防ぐため、すぐさま自らのスタンドで頭を貫き自決。
死に際に「悪には悪の救世主が必要なんだよ」と告げた後、自分を倒した承太郎への礼儀として、自らの名とスタンド名、エジプト9栄神の存在を教えて事切れた。
遺体は承太郎が敬意を表し、杖を墓標代わりとして埋葬された。彼の言葉は承太郎に、未だ届かぬDIOの強大さを再認識させる事になる。
OVA版では死ぬ直前、承太郎へ「顔を初めて見たくなった男」と告げ、幸運を祈る台詞が追加されている。また承太郎にも「誇り高い野郎だった」「もしDIOより早く出会っていたら、仲間になっていたかもしれない」と言わしめた。
EOHでは
天国に到達したDIOによって復活し、再び刺客として承太郎たちに襲い掛かる。
だがこれが仇となって、承太郎に「ンドゥールが従う奴なんて一人しかいない」とDIOの存在に勘付かれることとなった。
性能は簡単に言えば遠距離特化だが逆に言えばそれだけ。やはり目が見えないのが仇になっているのか座っているときしかスタンドを操作できず移動する時はわざわざ立つ必要があり速度も速くないため如何にして本体に相手を近付かせないかが鍵になるだろう。
余談
名前の由来はユッスー・ンドゥール。ステップワゴンのCMで聴いたことのある人も多いはず。また、2017年には世界を代表する芸術家の一人として、世界文化賞(音楽部門)に選ばれている方でもある。
「ン」で始まる名前のため、ジャンプ読者の間ではしりとりの強い味方になっていた。
OVA、TVアニメともに日本語で「ン万円」と言う時のように、名前の「ン」を強く長めに発音している(ン/ドゥールというよりも、ンードゥールに近い)。
また、死をも恐れぬ誇り高さと敵から敬意を払われる部分は、シーザー・A・ツェペリに通じるものがある。