哪吒太子
なたたいし
概要
哪吒三太子、太子翁、太子元帥、羅車太子、中壇元帥などとも呼ばれる。また「哪吒」と簡略して呼ばれる事も。インド神話の下級神ナラクーバラ(毘沙門天の前身である財神クべーラの息子)が道教に取り入れられて独自発展した神格である。 元は仏教神のため初期は仏教説話などに登場していた。
日本の作品でよく用いられる読みの「ナタク」は安能版封神演義の誤りが広まったもの。
本来は漢音で「ナタ」現代中国語ではNézhā(ナーザと読む)。
一般に蓮の花で作られた装束をまとい、多彩な武具を携えた美少年の姿で描かれる。主に用いる武具は火尖鎗(かせんそう、火炎を吹く槍)、乾坤圏(けんこんけん、金色の円環状の武器)、混天綾(こんてんりょう、水を操る力を持った赤い布のような武器。これを付けたまま水浴びすると竜宮が揺れてしまう)、九竜神火罩(きゅうりゅうしんかとう。体を火で包む)、陰陽剣(おんみょうけん、陰陽一対の剣だが、干将・莫耶とは別物)など。移動の際は風火二輪(ふうかにりん)と呼ばれる焔を吹く車輪に乗って空を飛ぶ。「西遊記」では斬妖剣(ざんようけん、刀剣の一種)、砍妖刀(かんようとう、恐らく刀剣の一種)、縛妖索(ばくようさく、妖魔を縛る紐)、降妖杵(こうようしょ、独鈷のような外見の武器。)、綉毬(しゅうきゅう)と出演した作品を数えるだけでも相当数の武器を持っている。流石は財神の息子を源流に持つ存在だというべきか。
幼少期には遊びで乾坤弓を使った事もあり、この件で碧雲童子を射抜いてしまった。
本場(?)中国、台湾では非常に人気の高い神であり、信仰の対象であるのみならず様々な物語で主役、或いは主役級のポジションを与えられる事が多い。
ナラクーバラとしては『ラーマーヤナ』で登場し、妻を強姦しようとした羅刹王ラーヴァナに対し、「今度、他人の女に手出したら頭吹っ飛ばすぞ」と呪いを掛けたという逸話が残っている。
フィクション
「封神演義」
陳塘関の将軍「李靖」の三男として生まれる。太乙真人の弟子となるが7歳の時、川遊びの際東海龍王の三太子敖丙と巡海夜叉李良を殺したことで龍王の怒りを買い、父母に累が及ばぬよう「骨と肉を返す」と言う壮絶な自害を遂げるも、太乙真人によって蓮の花の化身として再生した。母が作った哪吒を祀った行宮を壊した李靖を恨み殺そうとするが和解し、周軍に加わり父と二人の兄とともに商と戦う。全ての戦いが終わった後は家族と共に再び修行の旅に出た。
ちなみに、敖丙を殺した際には筋を抜き取るという死体蹴りをかました挙句、玉帝に直訴しに来た東海龍王をフルボッコにしているという鬼畜っぷりを披露している。
「西遊記」
天界の「托塔李天王」(後述)の第三太子として、天界で暴れた悟空を討伐するため闘うがあえなく敗れる。その後悟空が三蔵法師と取経の旅に出てからは、幾度か一行の手助けをする。
こちらでも2人の兄がいて、特に次男の木叉は観音菩薩の弟子・恵岸行者(えがんぎょうじゃ)として何度か登場する。妹も一人いるらしい。(なお、『西遊記』でも地湧夫人の回で誕生の経緯が語られているが、封神演義とは細部が異なり仏教色が強い)
※四天王の内多聞天(毘沙門天)が独立した神として祀られるようになった存在と言われる。「封神演義」の李靖と同一人物でもある。ただし、封神演義の時代は仏教成立よりも前の殷王朝が舞台であるのには留意されたし。
「女神転生シリーズ」
種族幻魔の仲魔として登場。人造人間であることからか鉄腕アトムを模したような姿形をしている。
ランサークラスのサーヴァントとして登場。こちらでは性別が女性となっている。