俳優: マイケル・B・ジョーダン
吹き替え: 津田健次郎
概要
映画「ブラックパンサー」のメインヴィランにして、もう一人の主人公とも呼べる人物。
通称「キルモンガー」の異名を持つ元米軍秘密工作員の傭兵。
本名が「エリック・スティーヴンス」であることから「エリック・キルモンガー」とも呼ばれている。
ニューオリンズ育ちのアフリカ系アメリカ人で最底辺層の育ちでありながらも高学歴の持ち主。
海軍兵学校を19歳で卒業し、米軍のシールズに入隊後、傭兵として各地の戦場を転々と渡り歩き、裏で暗躍、権力の移行時を狙って、外国政府を正規軍ごと支配し、資源を奪って大勢の人間を殺してきた戦歴を持つ事から「死の商人」を意味する「キルモンガー」と呼ばれるようになった。
その戦歴からCIAにも過激派テロリストとしてマークされており、捜査官エヴェレット・ロスもその存在を危険視していた。
性格は冷静かつ冷酷であり、目的の為ならば雇い主をも裏切り、人質となった味方までを殺す程だが、自分の身体に殺した人数分の傷をつけ、スカリフィケーションとして残す一種の戒めとも呼べる行為をおこなっている(本来スカリフィケーションはアフリカがルーツの人体装飾であるが、アメリカ人のエリックはその事を知らず「殺した人間の数を彫る」というネガティブな使い方をしている)。
グレートブリテン博物館にて強奪を行った際は一対の角が付いたアフリカ民族仮面を気に入って活動時に被るといった人間味を帯びた風情も持っている。
本編での行動
武器商人ユリシーズ・クロウと共に行動をしていたが、取引の最中に一度捕らわれた彼を救った際に「ブラックパンサー」ことワカンダの国王ティ・チャラたちが出向いていた事が分かると、機が熟したとしてクロウに牙を剥き、射殺。彼の遺体を手土産に携えてワカンダに直接出向き、ウカビを懐柔して評議会に顔を出し、自らの素性を明かす事となる。
出生の秘密
その正体は先代国王「ティ・チャカ」の弟の「ウンジョブ」がアメリカ人女性との間に儲けた一人息子。
ワカンダでの本名は「ウンジャダカ」でティ・チャラの従兄にあたる人物。
本来は父の話した故郷ワカンダに対して夢を抱く純粋な子供であったが、父が黒人達が白人社会から不当に虐げられていることに憤って過激派組織に与し、クロウと結託してヴィブラニウムを母国から盗み出した事が「ジェームズ」として監視していたズリによって発覚。
それにより、兄ティ・チャカに拘束されるのだが、信頼を裏切られた事に逆上したウンジョブは、ズリに銃口を向けた事で彼を庇ったティ・チャカのとっさの判断により死亡。
帰宅後に父を殺され、一人置き去りにされた事を知ると、その悲しみからワカンダへの復讐を抱くと同時に父の悲願である黒人の社会的立場向上の為にワカンダの王位を狙って、クロウと手を組む事となる。
そして、自らの素性を明かすと、ティ・チャラへ決闘を申し込む。
決闘中は迷いが生じていたティ・チャラを圧倒。自分の正体を明かして止めに入ったズリを怒りに任せて殺害し、激昂したティ・チャラも川へ叩き落としてた事で決闘に勝利する。
そして王座へ就き、儀式によってもう一人のブラックパンサーとなった。
この際シュリが作っていてティ・チャラが隠密任務には不向きで使うことが無かった豹の斑点のような意匠とパンサーの顔のような縁取りが施された金色に発光するブラックパンサースーツを装備するようになった。
その結末
儀式の過程で亡き父と再会、そこでエリックは後悔とも取れる会話を父と交わしていたが、それを振り払うように、墓地にあるハーブを全て焼き払い、世界中の黒人へ武器を提供する為にヴィブラニウムの空輸に取り掛かるが、そこにナキアが回収したハーブにより奇跡的に生還を果たしたティ・チャラが現れた事で状況が一変、ドーラ・ミラージュ達の裏切りにより混戦となる。
連戦の果て、ヴィブラニウム鉱山にてティ・チャラとの一騎打ちとなるが、ヴィブラニウムを双方ともに不活性化させられ生身が剥き出しとなった瞬間、奪い取られた槍を身体に突き立てられ、致命傷を負うが、彼はその一瞬を見逃さなかったティ・チャラを一人の戦士として称えていた。
最後は自分の本当の夢をティ・チャラに語り、彼の優しさもあって念願のワカンダの夕日を拝む事となる。
その際にまだ助かると助命を勧められるが、自由が束縛されるという理由で断り、「海に沈めてくれ。先祖もかつては船から身を投げた、名誉の死と称えてくれるはずだ」と言葉を残すと自ら槍を引き抜きながらも満足な笑みを浮かべ、その波乱の生涯に幕を閉じた。
エリックの存在はティ・チャラに強く影響を与え、「ワカンダの開国」という形を変えて彼に受け継がれる事となる。
ホワット・イフ...?
MCUのIFの世界を描いたアニメシリーズ『ホワット・イフ…?』では第6話の主人公となり、なんと『ブラックパンサー』より遡ること約10年、『アイアンマン』の時代にて、アフガニスタンにてテン・リングスに拉致されそうになったトニー・スタークを救った。
結果、トニーはアイアンマンにならず、キルモンガー自身はスターク社の最高警備責任者に就任、更に拉致の黒幕がオバディア・ステインであることを衆目の前で明かしたことで、副社長にも就任した。
その後、大学の卒論で考案した自立型人型兵器「リベレイター(解放者)」をトニーと開発、更にその完成にビブラニウムが必要であると提案、闇の武器商人ユリシーズ・クロウが保有するビブラニウムを奪うことになる(クロウのアジトは『エイジ・オブ・ウルトロン』で描かれていたものと同じ)。
だが、裏ではクロウと結託し、ワカンダに取引の情報を横流ししたため、ティ・チャラが現場を襲撃、そのどさくさに紛れてスターク社の代理として来ていたジェームズ・ローズとティ・チャラを謀殺した。
ローディとティ・チャラの死を利用してアメリカとワカンダの対立を生み、そのことに気づいたトニーをもドーラ・ミラージュの槍で殺害。何も知らないアメリカ政府のサンダーボルト・ロス将軍はスターク社を愛国者法で徴用し、ワカンダ攻撃のためリベレイターを増産する。
その後、キルモンガー自身はワカンダに行き、案内したクロウを射殺。彼の死体をもってワカンダに帰郷し、アメリカからワカンダを守る王家の人間として現王ティ・チャカに取り入る。
結果、弱点を知り尽くしたリベレイター部隊をワカンダ軍と共に完全撃破し、新たなブラックパンサーとして王家に認められた=次の王になる準備を整えた。
こうしてキルモンガーは『ブラックパンサー』では成し遂げられなかったワカンダの支配に成功しただけではなく、アイアンマン(および、それに連なるウォーマシン、ヴィジョン)の誕生・ブラックパンサーや活動を完全に阻止してしまった。
余談
- 身につけている衣装がドラゴンボールのベジータにそっくりな事や俳優のマイケル・B・ジョーダン氏が大の日本コミック好きでもあった事もあり、ファンの間ではベジータがモデルではないかと噂されている。ちなみにこの事について生前のスタン・リーはTwitterにて反応を示していた。
- アメコミ設定と異なり、ブラックパンサーとしての能力やエリック・スティーヴンスという姓名は『ブラックパンサー』の映画化に際して加えられたMCUオリジナル設定でもある。
関連タグ
ブラックマンタ…黒いスーツを装備した黒人のヴィラン繋がり。こちらもヒーロー側の人物のせいで父親を失って復讐に走っていた。