ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

GRヤリスの編集履歴

2022-01-17 18:25:17 バージョン

GRヤリス

じーあーるやりす

トヨタ自動車が開発した乗用車のひとつ。

概要

2020年1月に発表されると同時に予約を開始。同年9月から発売された。


ベースとなった5ドアのヤリスは後部座席の居住性を完全に捨てたり、6速MTをFF・1500ccの全グレードに用意するなどスポーツカーの要素が濃く出ているにもかかわらず、トヨタ側があくまでも「コンパクトカーです(。決してスポーツカーではありません)が、何か?」と主張しているのに対し、こちらは「BORN FROM WRC」というキャッチコピーの通り、WRCのホモロゲーションモデルとして開発されたマジキチでリアルガチなスポーツカー。

その意気込みは特設サイトからも滲み出ており、『市販車を叩き台として競技車両を開発する』のが一般的なレーシングカーやラリーカーなのに対し、この車は『競技車両を基準として市販車を開発する』という全く逆のアプローチを取っている。


2012年のスポーツカーへの再参入以来販売を行ってきた86GRスープラに関しては人様スバルBMWからエンジンやプラットホームを融通してもらった上で開発するという採算の鬼っぷりを見せたトヨタが、GRヤリスについては(ヤリスを始めとする自社の多彩なコンポーネントがあったとは言え)完全自社開発にするという豹変ぶりではないだろうか。(それでも独立車系でありながら採算は取れる計算で生産しているのだから畏れ入る。)

かつて2017年の「GR」ブランド発表時は「TRDと何が違うんだ」(実際レギュラーモデルの純正エアロパーツにTRDの名称が使われていた)「NISMOやMUGENの後追い」、GRスープラが登場したときは「結局BMW製」「トヨタにスポーツカーは作れない」というシラけた空気が常に車好き界隈に漂っていたが、このGRヤリスの登場でそうした陰鬱な空気は全部ぶっ飛ばされた。

そういう意味ではGRブランドを真に確立させた一台と言えるだろう。


メカニズム

プラットフォームは前半分がヤリスと同じGA-B、後ろ半分にカローラスポーツなどと同じGA-Cを使用。

ボディはヤリスとは別の専用設計となっており、3ドアに2+2シーターである。

全高が60mm(4WDの数値)も低く、ブリスター化されたフェンダーアーチにより攻撃力溢れるマッシブなスタイリングをしている。

ボンネットやドアパネルのアルミ合金化やカーボンルーフで軽量化を図っている。

内装はほぼヤリスと変わりなく、安全装備や快適装備などはヤリスと同等に装備される(RZ・RZ"High Performance"に限り、ヤリスにないJBLのノイズキャンセル機能つきオーディオシステムをメーカーオプションとして選べる)。パーキングブレーキはRSが電動式、RZ系はステッキタイプのハンドブレーキ。ヤリス同様ディスプレイオーディオを(競技用グレード以外に)標準装備しているため、カーナビは市販の物は搭載できない。


エンジンは272馬力を発生する1600ccの3気筒シングルターボ『G16E-GTS』を搭載。

これはTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の一つとして開発されたダイナミックフォースエンジンのスポーツモデルであり、製造過程でどうしても発生してしまう部品重量の誤差を、同等の重量のパーツ同士を組み合わせてエンジンを組み立てることでエンジン単位での性能差を限りなくゼロにしている。


駆動系はトヨタがセリカGT-FOUR以来20数年ぶりに開発したモータースポーツ向け4WDの『GR-FOUR』システムで、四輪のトルク配分をスイッチで3種類から選んで走ることができる。

変速機は国内ではカローラスポーツ以来採用が続いているエンジン回転数自動調節機能付きの『iMT(6速)』を採用している。


競技参加前提のグレードも存在する。オーディオ類を始めとする快適装備を一部省略したものであり、当然ながら快適装備の1つであるエアコンは非装備(ヒーターのみ)になっているが、流石に86の前期型でやり過ぎたという認識があったのかメーカーオプションでエアコンを搭載できるようになっている。


その一方で、ベースのヤリスと同じ1500ccノーマルガソリンエンジン搭載、FFCVTモデルのRSも用意されている。

気軽にGRヤリスの走りを楽しんでもらうためのモデルとしてはいるのだが、WRCのホモロゲーションを得るための販売台数稼ぎの設定でもある。上述通りベースのヤリスとはプラットフォームを異にするため、そちらの分はホモロゲーションの対象として認めてもらえないためだ。

しかし車体はタワーバー取り付け用ボルトを撤去した程度でRZと同じ構造で構成され(カーボンルーフも各種アルミパネルもそのまま)、後輪へ向かう駆動パーツが削除された恩恵で100kgほど車重が軽くなり、先代ヴィッツGRで熟成の進んだ10速変速モード付きCVTも手伝って意外にも評判が良かったりする。


モータースポーツ

日本のカーレースカテゴリーの一つであるスーパー耐久(ST-2クラス)に2020年シーズンから参戦しているが、そのシーズンの初戦となった9月の富士24時間レースでいきなりポールポジションを獲得、そのままクラス優勝を果たす。しかも社長から、「(これの弱点・問題点を見つけるためにも)壊せ」と言われたにもかかわらず、これといったトラブルもなく完走、ポール・トゥ・ウィンを成し遂げたのだ。ちなみにドライバーの一員として、その社長も参加していたという。社長なにやってんすか

その翌年以降は同車でフルエントリー・スポット参戦するチームも増えており、サーキットでの性能も抜かりないことが証明された格好となった。

同レースのカテゴリではランサーエボリューションWRX STIがライバルとなり、ライバルより小排気量・パワーが低めということで最高速は一歩譲る代わりに、ボディサイズが小さいことからコーナリングスピードが速いことがアドバンテージとなっている。



ただ肝心要のWRCに関しては、コロナウイルス禍の影響で充分な試験が出来なかった、と言う理由から、当初予定していた2021年シーズンからの参加を断念した。

しかも2022年以降はWRCの車両規定が変更され、これが参加するはずだったWRカー規定は廃止、代わりに設定されるRALLY1は、指定のハイブリッドシステムさえ積めば何でもありなスタイルになるため、結果、発表当初のスタイルでの参加は事実上絶たれた。だがトヨタは、GRヤリスをRALLY1規定のラリーカーとして参戦させる事にした。形はやや変わるものの、これで“本来の目的”を達成することになりそうだ。


余談

・車両そのものが頑丈なことは上記の通りだがエンジン単体も非常に優秀で、スーパー耐久初参戦の翌年には世界初の水素燃料によるレース用エンジンとしてGRヤリス用のG16E-GTEが採用された。水素燃料を噴射するシステム以外は量産エンジンのまま使用したうえ、初出場の富士24時間耐久では1600km走行してエンジン本体はノートラブルで完走を果たしている。

・大衆車としては相当尖ったパッケージでありながらディスプレイオーディオなどコネクティッド技術を盛り込んだこともあり、自動ブレーキシステムやレーダークルーズコントロールなどの先進安全技術を搭載可能な車種である。

・そこまでなら特段珍しい話ではないのだが、この車においては「全グレード先進安全装備がオプションで設定(=標準装備ではない)」で発売されている。車両制御にまで介入する先進安全技術はそれ単体で独立させることは難しいのだが、それを敢えて選択制にさせたことでユーザーの改造範囲を広く取ることが出来ているのだ。

・トヨタのサブスクサービス「KINTO」でも乗れる。KINTO専用車は特別仕様「モリゾウセレクション」になっていて、サスペンションの塗装が違う、モリゾウのサインが入っているといった見た目の違いだけでなく、あとからソフトウェアアップデートを行っていくことができるようになっている。


GRMNヤリス

と、ここまででも十分に強烈なスポーツカーだったのだが、さらにスポーツカーとしてのチューニング度合いを強化したGRMNヤリスが2022年東京オートサロンで発表された。2022年7月に500台限定で販売、限定色として「マットスティール」を50台限定で販売。

ルーフのみに採用していたカーボン材をボンネット・テールスポイラーにも投入、LSD・クラッチ・クロスミッション&ファイナルギアをGRパーツ専用品に変更。シートはレカロ製フルバケットシートが採用され、後部座席は軽量化と競技向けとするべく撤去、その代わりに剛性を強化するためリアラゲッジにブレースが追加。ただでさえ強靭なモノコックにも500点以上のスポット溶接の増し打ちや接着剤使用範囲を拡大。エンジンはベース車から最大トルクを20Nm向上させた。

この他、オプションで選択できるサーキットパッケージでは専用アルミホイールとビルシュタイン製ダンパーが、販売店オプションとなるラリーパッケージではサイドバー付きロールケージが搭載される。


またKINTOモリゾウセレクション同様アップデートプログラム(※有償)を用意する他、納車前にオーナーの運転技術に合わせたハード・ソフト両面からの最適化サービス「パーソナライズプログラム(※有償)」も設定されている。


関連項目

TOYOTA_GAZOO_Racing

モータースポーツ

ヤリス


外部リンク

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました

見出し単位で編集できるようになりました