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概要

メガドライブで発売されたソニックシリーズ第三作で「ソニック&ナックルズ」と合わせた前編に当たる。

ナックルズのデビュー作だが残念ながら諸事情で操作キャラクターとしては次回作まで待たざるを得なくなる(ロックオンシステムで一つにすれば当問題は解決し、最初から使うことができる)。

本作では前作のアクションに加え、ジャンプ中にもう一度ボタンを押すことで判定が極めて短いものの、一瞬だけソニックの周辺に風の渦ができ僅かに攻撃範囲が広がるダブル回転アタックが追加され、テイルスには空を飛ぶ・水中を泳ぐと言った前作では操作キャラ時にオミットされてしまった性能が付加されている。

他のソニックシリーズと比べて全体的に難易度が控えめになっており、シリーズ初心者でもある程度練習すればカオスエメラルドをコンプしてスーパーソニックで遊ぶことができるようになる。

ストーリー

ソニック編

前作でソニックに破壊されたDr.エッグマンの要塞「デスエッグ」は墜落し、落下軌道上に存在した浮遊島へ衝突した。その衝撃により浮遊島は降下し海面に衝突し、大きな津波を引き起こしたものの、わずかに海上の上空にその姿を留めた。

その数日後、デスエックと浮遊島の衝突現場から遠く離れた島においてソニックの相棒"テイルス"が発明したジュエルレーダーが突然始まった強力なカオスエメラルドの反応を感知した。先日の津波との関連性を感じたテイルスはソニックのいる浜辺へと向かっていった。

その頃浜辺で昼寝をしていたソニックは古代文字らしきものが彫られた小さなリングが砂浜に流れ着いているのを見つけた。それを手に取ったソニックはある島についての古い伝説を思い出した。なぜか無性に懐かしさにかられたソニックは再び冒険に旅立つ決心をした。

墜落したデスエッグから脱出したDr.エッグマンは浮遊島にカオスエメラルドがあることに気が付いた。カオスエメラルドを手に入れ、そのエネルギーでデスエッグを再び宇宙に飛び立たせるため、急速に浮遊島に基地を建設し、さらに島の動物たちを拐いロボットに改造した上で、環境変化マシーンを用いて浮遊島の自然環境を厳しいものに変えてしまった。

ナックルズ編

島の地底に眠るカオスエメラルドの結晶柱"ピラー(マスターエメラルド)"の力を制御する7つのカオスエメラルドを守るガーディアン"ナックルズ・ザ・エキドゥナ"。彼は島の仲間たちからは"ナックル"と呼ばれている。

ある日ナックルがカオスエメラルドに異常がないか確かめようとした時、目の前のカオスエメラルドが輝き異常な振動を始めた。今までなかったこの現象に戸惑ううちにカオスエメラルドの振動は激しさを増し、振動が最高潮に達した時、キーンという音と共に閃光が瞬き、ナックルは祭壇の外に投げ出されてしまった。ナックルが意識を取り戻した時には神殿は半壊し、カオスエメラルドは破片すら残さず消え去ってしまっていた。茫然としたナックルが遠くに視線を向けると、湖のあたりに巨大な丸いタマゴのような物体があるのを見つけた。その物体を"カオスエメラルドの祭壇に描かれた伝説に登場する島に災いをもたらすドラゴンのタマゴ"だと考えたナックルは消えたカオスエメラルドを捜して島のあちこちを調べ回っているうちに"Dr.エッグマン"と名乗る見慣れない男と遭遇した。Dr.エッグマンはナックルがカオスエメラルドのガーディアンだと知ると、自身が巨大タマゴの調査に来た科学者であり、自らの研究の邪魔をする"ソニック"という悪のハリネズミがカオスエメラルドを狙っているという嘘の話を聞かせた。

ステージ構成

本作はACTごとに曲が変わり、ACT2はACT1のアレンジ曲になっている。また、ACTごとにボスが出てくるようになっており、ボスを倒すとそのままACT2へ移行する変更になっている。

スペシャルステージは、ステージに隠されているスペシャルリングに入るとカオスエメラルドを入手するための『ブルースフィア』を遊ぶことができる。さらにリングを50枚集めてセーブポイントを通過し、光のリングに入るとアイテムを入手できる『ガムボールマシーン』に行くことができる。

  • エンジェルアイランドゾーン

島の森林地帯を進む。動物が多く棲息する緑豊かな森だったが、ACT1の中盤でエッグマンのロボットが一帯に火を放ってしまい、雰囲気が一変する。

前作までと比べ上下が広くなっており、中盤からは下側のルートが水中を、上のルートでロープや足場を使って進んでいくアスレチック構成になっている。『ソニックマニア』のアンコールモードではここから始まるようになっている。

  • ハイドロシティゾーン

前のステージのACT2クリア後にナックルズの手で水没した都市に落下させられる。スライダーやループ・加速装置などが多く、爽快なアクションを楽しめる構造となっている。

反面、水没した部分が多く息継ぎをしないといけないので、ACT毎の前半の水中では慎重に進む必要がある。息継ぎの必要がないアクアバリアがとても役立つ。

  • マーブルガーデンゾーン

噴水により飛ばされる古代遺跡のステージ。ゴツゴツした岩場のアスレチック面で、スピンダッシュで動かす仕掛けが存在する。

ACT1では青い円盤の上に乗って、床や壁を破壊しながら進む場面が主だが、ACT2ではエッグマンの起こした地震によって、地形が歪に変化していく中を進むことになる。全ゾーン中、唯一水中を進むルートが存在しない。

ソニック&ナックルズ』にロックオンしてプレイした場合、ナックルズでは地震や地盤崩落が起きるルートを回避して進むため、ボスの戦闘が変化する。

  • カーニバルナイトゾーン

前作のカジノナイトゾーン以上にトリッキーになった遊園地のようなステージ。

カーニバルのようなアスレチック面に降り立つ。非常にフィールドが広いのでタイムアップの危険性が高い。また水中を進む場面もあり、ステージギミックである風船を壊す事で息継ぎが可能。

このステージの各所にある回転しているドラム缶は、上下の動きに合わせて方向キーの上下を押すことで振れ幅を大きくすることができる。ACT2終盤ではこのドラム缶が通路を塞いでおり、この方法を使わなければ先へ進めない。

ソニック&ナックルズ』にロックオンした場合、何故かナックルズでプレイした場合ボスが出現せずにそのまま次のゾーンに進行してしまう

  • アイスキャップゾーン

氷山を駆け回るゾーン。ACT1はキャラクターごとに始まり方が異なり、ソニックはスノーボードで氷山を滑走した後、テイルスは壁に激突した後、ナックルズは氷の壁内の隠し道から、トラップの多い洞窟を慎重に進んでいく。正しいルートを進まないと前の地点に戻されてしまい、無限ループ状態に陥る。

ACT2は氷上と湖の洞窟を行ったり来たりする上下構成の面。水中を進む箇所もあるが大抵はごく短く、反面で底へ落下するとミスに繋がる危険箇所でもある。

いずれも氷の上はスリップするので慎重な操作が求められる。

  • ランチベースゾーン

湖に不時着したデスエッグの再建・発射基地。敵の攻撃が激しい上、マップは非常に広いが、所々にトリッキーかつスピードを楽しめる区間が存在する。

水中を進む箇所もあるが、息継ぎをできる泡が発生する場所がないために難易度は高い。

ACT2のボスは3種類とてんこ盛りなのだが、『ソニック&ナックルズ』にロックオンしてプレイした場合、ソニックでプレイするとラスボスであるビッグアーム(3体目)が省略され、ナックルズでプレイすると1体目のボスが登場しない。

また、ナックルズが進むルートはソニックのルートと大きく異なっている。

初期の企画では、後にバーチャレーシングで使われる「セガバーチャプロセッサ」という3Dポリゴン演算処理用の特殊チップを搭載して「ソニック3D」として発売する予定だった。しかし、チップの開発の遅れによって開発が停滞してしまい、不運なことに全米のマクドナルドで子供向けのファミリー層を購買対象にしたハッピーミール・キャンペーンとのタイアップで『ソニック3』の発売日が1994年2月2日と確定してしまっていた。そのため開発の延期もできず、チップの完成が間に合わないと判断されたため、それまで1年かけて開発していた当初の『ソニック3』を全てリセットし、ゼロから作り直すことになってしまう。

その後、これまでのシリーズと同じ2Dゲームとして開発が再スタートし、ゾーン数が10以上あるボリューム満点のゲームとして計画されたものの、既に発売日まで半年を切っており、とても間に合わなかった。さらにバックアップ機能の搭載によって、当時としてはゲームに必要とするROMの容量・コストが大きくなってしまい、最終的に苦渋の選択として予定していたボリュームの半分を削り、ソフトを前後編の2作に分けることになった。

前後編への分断前の名残として、ソニック3の裏技のステージセレクト画面には『CARNIVAL NIGHT ZONE』と『ICE CAP ZONE』の間の5面の位置に『FLYING BATTERY ZONE』の名前があり、『LAUNCH BASE ZONE』の後に『MUSHROOM VALLEY ZONE』(『MUSHROOM HILL ZONE』の初期の名前と思われる)と『SANDOPOLIS ZONE』の名前が残っている。

またソニック&ナックルズにおいてプレイすることができるナックルズ専用のステージのルートはソニック3単体の時点ですでに準備されており、裏技を使うことで入り込むことができる。そしてソニック3単体のミュージックセレクトでもソニック&ナックルズの通常ステージ、ボス、ボーナスステージの音楽を聞くことができる。

余談

  • 開発が終わらない段階での発売だったため、本作は前二作と比べてステージの数が少なく、計12ステージ。
  • セーブ機能が取り付けられるようになったのはメガCDで発売された「ソニックCD」で初めて搭載されたため、その後を追うように本作でも採用された。しかし、これが開発が遅れる要因の一つとなった。
  • ソニック&ナックルズ」をロックオンして、始めるとタイトル名が「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3&ナックルズ」に変化し、BGMの一部が差し換えられ、本作のラスボスであるビッグアームが登場しなくなり、後編ステージへと移行するようになる。
  • 後に他の作品と一緒に収録した「ソニックジャム」がセガサターンで、「ソニックメガコレクション」がゲームキューブPS2で発売された。
  • 本作の一部の曲はマイケル・ジャクソンが一緒に作曲したという説があった。これは、本作のBGMが実際に彼の曲と類似しているなどの要素があり、何より当のマイケル本人が熱烈なセガファンであったためファンから有力な説として扱われていた。当時のセガ側は否定していたが、2009年に同ゲームの音楽に関わっていたブラッド・バクサーがインタビューにて、マイケル・ジャクソンと共に作曲をしていたことを明かした。また、2022年にセガ側からもそれを認めるような発言があった。
    • この影響からかWindows用ソフト(PC版)『ソニック&ナックルズ コレクション』(1997年発売)ではZONE4、5、6、EDの計7曲が全く別のものに変更されている。なお、差し替えられた7曲は2019年に発見されたプロトタイプ(後述)にて採用されていたことが判明し、セガによると1993年に作曲されたという。
  • 上記のマイケル関与の可能性のためか、wiiの配信以降音沙汰がなく、前2作はニンテンドー3DSニンテンドースイッチのダウンロードでも配信されるなどリメイクが出続けているのに対し、本作と&ナックルズはリメイクされなくなり、メガドライブミニでも収録されていない。また、カーニバルナイト、アイスキャップ、ランチベースの3ステージはソニックマニア等のリメイク作品で一度も収録されていない。
    • こうしてリメイクの機会に中々恵まれなかった本作であったが、2022年に発売されたソニックオリジンズでは本作と&ナックルズをロックオンさせた3&ナックルズが収録された。しかし、上記のマイケル関連のBGMは収録されずプロト・PC版のBGMに差し替えられている。

プロトタイプ

2019年に本作のプロトタイプだと思われるゲームのプレイ動画が投稿され、話題を呼んだ。製品版発売から数ヶ月前の1993年後半のもの。

エンジェルアイランド~ランチベースの各ステージの元は完成しており、ギミックやイベントに一部違いはあるが、大まかな部分は製品版とさほど変わらない。

だが1つだけ大きな違いがあり、カーニバルナイトとアイスキャップの間(5面)にフライングバッテリーゾーンが実装されていた。このステージは製品版では実装されず、次回作であるソニック&ナックルズの2面として世に出た。※

なお、スペシャルステージ『ブルースフィア』は完成していなかったのか、ステージ中にスペシャルリングが設置されておらず、ステージセレクト経由でステージに入っても赤いボールがひたすら動くだけの画面となっている。

※この名残として、ソニック3単体のステージセレクトではカーニバルナイトとアイスキャップの間である5面の位置にフライングバッテリーの名前があった。また、サウンドテストで順番に曲を聞いていくと、カーニバルナイト→フライングバッテリー→アイスキャップの順番で再生される。

サウンド面でも違いがあり、前述の通りZONE4、5、6、EDの計7曲が後にPC版・オリジンズで採用される曲になっていた。

関連動画

当時のCM

スペシャルプレミアムビデオ

単体で遊んだ場合の動画

2019年に発見された本作のプロトタイプ

ソニックオリジンズ

関連タグ

ソニック・ザ・ヘッジホッグ2:前作

ソニック&ナックルズ:次回作。本作とドッキングすることで完成品となる。

ソニック・ザ・ヘッジホッグ4:本作と同様に2作に分けられている。

ソニック・ザ・ヘッジホッグ

ナックルズ・ザ・エキドゥナ:デビュー作。

デスエッグ