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名誉毀損の編集履歴

2022-07-01 18:31:13 バージョン

名誉毀損

めいよきそん

他人の名誉を傷つける行為。民事上の不法行為としての名誉毀損と、刑法に定められた名誉毀損罪がある。

表記ゆれ:名誉棄損


名誉毀損罪

ある人に関する事柄を公然と摘示し、その人の名誉を毀損する行為。

ここでは日本の刑法230条に規定される「名誉毀損罪」について解説する。


刑法上の名誉毀損罪は、

  1. 事実を摘示して
  2. 公然と
  3. の名誉を毀損すること

の3要件を満たしている場合のみについて成立する。

処罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。

また、3要件を満たしている場合でも、後述する違法性阻却事由が存在する場合は名誉毀損罪にはならない。


ここでいう「事実」は、「具体的な対象者と行為が特定されている」程度のことを意味し、根も葉もない中傷であっても該当する。

「公然」とは、不特定または多数人に伝わる状態であることを指す。webに書き込むのも立派な「公然」である。

一対一で伝えるだけなら「公然」ではないので名誉毀損にはならないが、人から人へと伝わる可能性がある場合は一対一とは見なされず、名誉毀損になり得る。(一対一の場合、名誉毀損にはならなくともパワーハラスメントになる場合がある)


またここでいう「人」とは個人(自然人)だけでなく法人や法人格のない団体なども含む。

「性別」「国籍」「民族」などの属性に属する人全般を攻撃した場合、名誉毀損とはならない。

ただし適法というわけではなく、これらはヘイトスピーチとして法的責任を問われる場合がある。



「違法性阻却事由」としての「真実性の証明」は刑法230条の2に記載されており、

・公共の利害に関する事実について

・公益目的でなした表現であり

・真実であるか、真実であると誤信してもやむをえない根拠に基づいて発言したこと

という3つを満たす場合に認められる。


「真実を言っているから名誉毀損にならない」と誤信している者が多いがこれは大きな間違いであり

・単なる個人的な興味関心の域を出なければ公共の利害に関する事実とは認められない。(なお、犯罪に関することや公務員の公務資格に関することであれば自動的に公共の利害に関すると認められる)

・公共の利害に関する事実でも、目的が個人的な仕返しや恐喝などであれば公益目的は認められない。事実の指摘にとどまらない口汚い罵倒を書いていたりすれば、公益目的は認められにくくなる。

・真実であるかどうかは捜査機関ではなく表現者が立証する必要がある。「疑わしきは被告人の利益」という刑事裁判の原則の例外として認められている。

・ただ単にネットに流れている情報だからでは真実と誤信してもやむをえないとは認められない。

ので注意が必要である。


名誉毀損罪は親告罪であり、当人が名誉毀損された事実や行った人物を知ってから半年以内に告訴しないと起訴することができない。


また、同条の2項には「死者に対する名誉毀損は、虚偽の場合にのみ成立する」とあり、これを裏返せば「生きている人(や現存の団体)に対しては、真実を暴露して社会的評価が低下した場合、名誉毀損になることがある」となる。例えば、有名人でもなんでもない一般人に対し私怨を晴らす目的で「AとBは不倫している」などと言いふらした場合、それが真実であっても名誉毀損に問われる恐れがある。「真実であれば何を言ってもいい」ということはないのだ。


名誉毀損(民事)

民法723条(他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。)などで定められた不法行為(民事裁判で損害賠償の対象になりうる行為)。


「名誉毀損で裁判に訴える」という事案は大抵はこの民事上の名誉毀損を指す。刑事上の名誉毀損と違うのは、「事実の摘示」ではなく意見ないし論評であっても社会的評価が低下すれば名誉毀損に問われることがある点、過失による(悪気がない)場合にも名誉毀損が成立することがある点である。


損害賠償(賠償金の支払い)以外の「名誉を回復するのに適当な処分」としては、謝罪広告などがある。


被告が摘示した事実が「客観的に真実」であっても、その人の社会的評価が低下した場合、名誉毀損が認められることがあるのは、刑事上の名誉毀損と同様である。


ただし、週刊誌などが行う政治家芸能人の不倫報道などに関しては、当人が名誉毀損で訴えたとしても「違法性阻却事由」が考慮され「真実であると信じるべき相当の根拠がある」と裁判所が判断した場合、棄却されることが多い。


刑事名誉毀損とは異なり、死者への民事名誉毀損は、まず認められない(あえて死者の名誉権を認めても実益がないので)。これが成り立つのは死者の社会的評価を低下させることが原告遺族への不利益と直結している場合のみである。


侮辱罪

刑法231条に定められている。名誉毀損と似ているが、名誉毀損と異なり具体的な事実を示さなくてよい。

例えば「泥棒!!」と罵っただけであれば具体的な事実とは言えず侮辱罪、「○○で××を盗んだ!!」と言えば具体的な事実を伴うので名誉毀損罪となる。

「ハゲ」「チビ」「デブ」など身体的特徴に対する言辞は侮辱罪にあたる。


具体的な事実がない分処罰も軽く、有罪となっても拘留(30日以下の身柄拘束)または科料(1万円以下の金銭)しか科せないことになっている。


インターネットの炎上が自殺者を出すほど深刻な社会問題になっている中、侮辱罪の処罰は軽すぎるのではないかという指摘があり、令和3年11月25日現在、法務省で侮辱罪の厳罰化を内容とする法改正に向けた検討が行われ

令和4年6月14日に刑法改正が成立、同17日に公布された。

この改正では侮辱罪に限って「公布の日から20日を経過した日から施行」とされた。

このため施行日は令和4年7月7日となる。

時効も1年から3年に延長されるが施行日までに時効が完成しないものについても時効は3年となる。


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