概要
ジンバブエ・フォレストサンドストーン及び南アフリカ・エリオット層(ともにジュラ紀前期)から産出している新獣脚類。セギサウルス、カンポサウルス、ルキアノヴェナトルと共にもっとも派生的なコエロフィシス亜科とされる。
1969年に「癒合した足首」を意味するシンタルススと命名されたが、後に甲虫のホソカタムシ類の属名として既に使用されていることが判明し、2001年に「megas(巨大)」、「apnoos(息をしていない)」、「sauros(トカゲ)」の合成語で「巨大な死したトカゲ」を意味するメガプノサウルスに改名された。
だが後にホソカタムシ類のシンタルスス属は、Carchanotus(ヒラタサシゲホソカタムシ属)のジュニアシノニムと判明するというややこしい事態が発生している。
現在のところ、明確なメガプノサウルス属はアフリカの実から産出しているが、アメリカ・アリゾナ州のカイエンタ層からも似たような化石が見つかっており、1989年に“シンタルスス”・カイエンタカタエと記載されている(『恐竜再生』で登場したのはこの種)。
現在のところカイエンタカタエ種は、メガプノサウルス属・コエロフィシス属のどちらに含めるかで議論されているが、独立属とする意見もあり、2021年のサルコサウルスに関する論文では両属と密接に関係していないことが報告され、クラドグラムではコエロフィシス科の最基盤に配置されている。
イギリスからの産出報告もあったが、現在ではペンドライグとされている。
グレゴリー・S・ポールによる2016年の推定では全長2.2m・体重13kgで、多くの近縁種と同じく肉食だったとされる。かつては獲物を捕らえるには華奢な顎のためスカベンジャーであるとする説もあったが、後述の通り群れで活動していた可能性があり、マッソスポンディルスなどの古竜脚類やトカゲを捕食していたとする説もある。
2011年の強膜輪の研究では、爬虫類や鳥類との比較から、メガプノサウルスは夜行性の動物であった可能性を示唆している。
ジンバブエでは一箇所から30個体以上の化石が発掘されているため、一般的に群れで移動あるいは狩りを行なったと解釈される。
骨の成長輪から寿命の推定が行われており、寿命約7年という数値が得られている。成長は個体差が激しく、完全に成熟した小型個体より大きく育っている未成熟個体も確認されている。