概要
リュックサックに形状が似ている。
箱状の収納スペースにサイドポケットがいくつかついており、収納口の根元から半面を覆うように革製の蓋で閉じる設計となっている。分厚い革で縫製されるため耐久性が高く、小学校での六年の通学生活に耐えうるほどに頑丈。子供が乱暴な扱いをしても壊れることが少ないが、壊れる場合は肩紐の根元の金具が金属疲労を起こすか、肩紐の細い部分がちぎれるといったケースがほとんどである。その強度ゆえに、低学年くらいまでは背中側に転んだ場合のクッションとしての機能も持っている。
男子は黒、女子は赤が定番だが、2000年以降カラーバリエーションが豊富になり、色とりどりのパステルカラーや革の色を活かしたシックな茶色など、児童の好みで色を選ぶ時代となった。一方で、1990年代から大判の教科書が主流となり、2000年代後半からの「脱ゆとり教育」の風潮も手伝ってランドセルの重量化が進んだ。
2020年頃からは、ICT教育の重視から大型のタブレットにも対応した幅広のランドセルが登場。しかし、紙の教科書を残したままタブレットを携行するようになったことから重量化がさらに進み、夏場は水筒を加えると6kgにも達する(低学年の児童の体重の約4分の1!)ケースまで出てきた。
現在では小学生時代のランドセルをミニチュアサイズに縫製し直し、思い出の品として手元に残すサービスも存在する。
小学生のシンボル的なアイテムといえ、これを背負っていることが「小学生であること」の記号的な表現ともなる。中高生でこれに対応するものを挙げるならさしずめ(学生鞄ではなく)制服ということになるだろう。
なお日本の全小学生がこれを背負うのかと言われれば別にそういうわけでもなく、指定鞄の学校は割と存在するし公立校であっても「軽い」「帰国子女なので持っておらず、かつ短期間しか使わない」「壊した」などの理由でリュックサックや肩掛けカバンなどの代替品を使う人もいる。
pixivにおけるランドセル
小学生の分かりやすい記号なので、たとえ体格が小学生を超越していても、ランドセルが有れば※小学生ですと強弁できる。
またランドセルを背負ったキャラと禁則事項することでおまわりさんこっちです行為の暗喩となる。その為同人商品を扱う業者の中には作中にランドセル描写が有る場合取り扱いを拒否する事例もある。
ちなみにPixivにてランドセルタグ付与作品の半数近くがR-18とされている。このロリコンどもめ…
一方(公開プロフィール等から)小学生ではないキャラが装着している事例もあり、この場合は彼女らにお子様の格好をさせて辱めるという羞恥プレイや倒錯プレイとなる。
ちなみにザクとガンダムのバックパックもランドセルという。ザクも兵器であるためミリタリー的な経緯から理にかなう名称といえる。
ランドセルの歴史
江戸時代に幕府が洋式軍隊を導入する際に、兵士の背嚢(はいのう)として輸入したもののオランダ語の呼び名「ランセル」(ransel)がなまって「ランドセル」になったと思われ、幕末の教練書である、元治元年(1864年)版『歩操新式』にもカタカナ表記で「ランドセル」の語が見られる。明治時代に帝国陸軍にて将校用背嚢として制定され、以後終戦まで殆ど形を変わらず使用され続けた。
通学かばんとしての利用は、明治に入って官立の模範小学校として開校した学習院で、これを元にした物が使われるようになった。後に伊藤博文が当時皇太子だった大正天皇の学習院初等科の入学祝い品として献上し、それが徐々に浸透して今のような形になったという説が有力。
ファッションとしてのランドセル
一般的には小学生のものというイメージが強すぎるため、大人が着用していれば不審者扱いされかねないランドセルだが、「原宿系」ファッションの一要素として取り入れられたこともある。1990年代後半には篠原ともえが着用したことから局地的に流行ったこともあった(さらに遡ると1980年代の「ナゴムギャル」がルーツと言われる)。大人の女性がランドセルを担いでいても、原宿あたりならば個性的なファッションの範疇として受け止められるかもしれない。
海外では元々このような文脈から自由なので、アメリカやフランスの大都市などでは「おしゃれなバックパック」として使用する大人も見られるようになっている(使用法としてはオランダ発祥の背嚢なので間違ってはいないが)。デザインだけでなく6年使っても壊れない耐久性や機能性も評価されているという。
また中国人が日本旅行の土産として買っていくことも多いが、こちらは主に自分の子どもに贈る目的である。赤いランドセルに人気があるが、これは中華圏において「めでたい縁起のいい色」「魔除けの色」であるという文化があるためと思われ、日本でもさるぼぼの例があるように「赤」を陽と魔除けの象徴として扱う文化が根付いている。日本のアニメを観てランドセルの存在が知られていることが一因。
近年は使用済みのランドセルを恵まれない国に送る事業も展開されている。