ネタバレ注意‼
概要
ただただ怪人たちの食糧であり、不老をもたらす“ヒートヘブン”の材料である体液を搾り取られるだけの存在と成り果てているが、辛うじて本人の自我も残されている。
容姿は黒殿様飛蝗怪人をベースとしつつも大幅に変わっており、背中からは四本のバッタの脚が生え、体には白い模様が入り、胸の中心には穴が開いている。
特に顔は濁りのある宝石か爬虫類を思わせる不気味な目と鼻から顎にかけての皮膚が裂け、内部が露出しているというおぞましいものに変わっている。
倒すにはサタンサーベルを用いるしかない。
更なるネタバレ
孤独に生きた黒い戦士、その切ない最期
最終話で復活した仮面ライダーブラックサンは『怪人が人間の上位に君臨する世界』を創造しようとする唯一無二の親友、仮面ライダーSHADOWMOONこと秋月信彦を止めるべくバトルホッパーを走らせ、ゴルゴム党本部へ到着。
創世王の間でブラックサンとSHADOWMOONは血で血を洗うような死闘を繰り広げ、結果は死力を尽くしたブラックサンの勝利。「仲間と一緒にいた、あの頃に戻りたかった」と痛切な胸の内を明かした信彦は、自身のキングストーンをブラックサンこと南光太郎に託して息絶えた。光太郎が両手に握った二つのキングストーンが眩い光を放つ。そして、血管を足のように動かして光太郎の元へ進む心臓が在った。創世王の心臓だ。
肉体という殻が無くなっても創世王は心臓だけで生きていたのである。今度こそ創世王を殺すべく、創世王の心臓に手をめり込ませる光太郎。次の瞬間、創世王の心臓が眩い光を放つ。その光は光太郎をも飲み込んで…。
和泉葵=蟷螂怪人がゴルゴム党本部に乗り込んだ日。葵が創世王の間に乗り込むと、創世王の椅子に一体の怪人が鎮座していた。青い体液を搾り取られる、哀れな怪人の栄養源。それは、創世王になってしまったブラックサン、南光太郎だった。
揃ったキングストーン、世紀王という創世王に成り得る器。そして創世王の心臓。条件が揃ってしまったために、光太郎は創世王に肉体を乗っ取られて新たな創世王になってしまったのだ。最後の最期で、光太郎はまた創世王に敗れてしまったのである。
しかし、南光太郎としての自我は辛うじて残っていた。蟷螂怪人は黒い創世王に触れるが、黒い創世王は蟷螂怪人の手を払い除けて吹き飛ばしてしまう。まるで、彼女を自分から遠ざけるかのように。
変身を解除して葵の姿に戻ると、辛うじて残っていた光太郎の意思が表面化する。
「ア…、オ…、イ…」
「コ…、ロ…、シ…、テ…、ク…、レ…」
そう言って黒い創世王は立ち上がり、葵に向かって歩みを進める。
「大丈夫だよ、おじさん…。私が後を継ぐ。だから、もう止まっていいんだよ…」
黒い創世王に背を向ける葵。黒い創世王は察したかのように葵の首に腕をかけて絞め上げる。
葵は光太郎から教わった戦い方で拘束をはがし、そして一瞬の隙をついて折れた赤い剣の刀身を黒い創世王に突き刺す。創世王を殺せる唯一の武器、サタンサーベルの刀身を。
葵の頬に触れる人間の手。葵の目に微笑む光太郎が映った。
「おじさん…もう泣かないで…」
次の瞬間、黒い創世王の肉体は土塊となって崩れ落ちた。報われない光太郎の人生だったが、最後に心通わせた者の手で死ねたのはせめてもの幸福であっただろう。
「ああああああああああああああああああっ…!!」
南光太郎だった土塊を前に絶叫して号泣する葵。
創世王は死んだ。
エキスも採取できなくなったため、もう新たに怪人が作りだされる事はない。だが、世界は何も変わっていない。差別は無くならないし、政治はより悪い方に向かいつつある。そんな悪が蔓延る世界で、悪が現れる限り戦うと日食で現れた『黒い太陽』に誓う葵。
「悪い奴がいる限り、戦うよ」
南光太郎は死んだ。だが、その遺志は葵が引き継いだ。彼の正義の魂は決して死なない…。
関連項目
アナザーシャドームーン:正にこれのBLACKSUN版とも言える。
その時不思議な事が起こった:BLACKSUNにおける光太郎には訪れなかった未来。
御影神牙、ハーメル(TVアニメ版):同じくラスボスに肉体を乗っ取られた主人公。いずれも逆に破滅的な未来が示唆されるオチであった。
竈門炭治郎:こちらもラスボスに肉体を乗っ取られた主人公であるが、最終的に仲間達の活躍で救われて平和が訪れる結末を迎えた。