概要
大映(現:角川映画)の特撮映画作品『小さき勇者たち~ガメラ~』に敵怪獣として登場する、エリマキトカゲや恐竜を思わせる風貌の怪獣。
当初は、昭和ガメラシリーズのバイラスを思わせる触手を持ち、全身が「特殊な核廃棄用食用バクテリア」でコーティングされた軟体怪獣として設定されたが、製作の途中で変更され現在の形に収まった。
特徴
体高 | 30m(志摩波切出現時)、50m(名古屋出現時) |
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体長 | 90m(同上)、150m(同上) |
重量 | 2000t |
年齢・性別 | 不明 |
通称「海魔獣」。
英語表記は "Zedus"。
比較的変わり種が多いとされるガメラシリーズの怪獣では珍しい、オーソドックスな恐竜型の怪獣で、造形も今までのガメラ怪獣とは趣が異なる。
日本の恐竜型怪獣には珍しく、前傾の姿勢に比較的短い前腕という現実の獣脚類にアプローチがかった体型になっており、首元にはエリマキトカゲの様なカラフルなフリルがあり、これを展開することで威嚇に使う。戦闘に直接機能しないボディパーツを持つという意味でも非常に珍しく生物的とも言える。
尻尾が異様に長く、劇中では分かりにくいが全長は150mもある大型の怪獣であり、加えてガメラ怪獣で最重量でもある。
陸上では肺呼吸、水中では背びれの付け根に存在するエラ呼吸に切り替えることができるという水陸両棲の性質を有し、成長速度も早くわずか数日の間に二周りも巨大化している。
これといった特殊能力も光線技なども持たない地味な怪獣ではあるが、肉食恐竜型に恥じない強大な脚力が特徴で、200mもの距離を反動や助走なしで放物線上にジャンプしてビルからビルへと飛び移るなどとんでもない脚力と身軽さを誇り、さらに100m以上もある巨躯を持ちながら高層ビルをヤモリのようによじ登ることもできる。
その身体能力は戦闘でも生かされ、強靭な足腰から「喧嘩キック」を繰り出す他、後ろの長い尻尾も武器になる。
そして口の中には「ハープーン舌」と呼ばれる長大(総全長100m)かつ強固な舌を持ち、その舌に血液を充満させる事で硬化させて勢いよく発射することで、鉄板を易々と貫くばかりか最終的に幼体とはいえガメラの甲羅を貫通するにまで威力が上がる(あれだけの極太で長大な舌を、窒息を起こさずに体内に収めていられるのが不思議ではあるが)。
なお、劇中で使用されたか否かは不明であり、多数の媒体ではオミットされた設定だが、ハープーン舌の先端や手足の爪に強酸性の溶解液の噴射線があり、これで攻撃力を増大させる。
劇中でガメラの甲羅を舌で貫通できたり、ガメラの掌を貫通した際にそこに煙が上がっていたのも、この溶解液によるものかもしれない。
性質は極めて残忍で、好んで人肉を喰らう。
天晴れなほどに「悪役」に徹した怪獣の一体であり、ファミリー向けの映画でありながら志摩の住民を追い詰め食すシーンは多数の観客のトラウマとなり物議をかもした。
劇中での活躍
誕生後は海を渡って(途中で漁船などを沈めてはその船員らを捕食していた)日本へ向かい、遂にガメラ(=トト)のいる三重県の志摩に上陸、街の人を喰らいながら破壊活動を開始する。そこに10mほどに成長したトトが現れ、その体格差を生かしてトトを圧倒するも、自身の舌攻撃を逆手に取ったトトの火炎弾を受けて負傷し撤退に追い込まれる。
その後はトトが運び込まれた愛知県の名古屋を襲撃し、政府の研究者の手で50mまで巨大化させられたトトと再戦、それでもまだ力不足なトトを容赦なく攻め立てて苦しめた。しかしトトが育ての親である相沢透はじめとする多くの子供達と共に運んできた赤い結晶体を取り込んでパワーアップを遂げると形勢が逆転、飛行能力を発現させたトトの動きに翻弄された挙げ句、最後はトトの放った最大威力の火球「トトインパクト」を浴びて頭部を吹き飛ばされて滅び去った。
余談
角川社からの要請で劇中からは除外されたが、出自は1973年にアヴァンガメラの自爆により爆散したオリジナルギャオスの肉片が海に流れて南方の島に漂着、それを摂取した陸上凄の爬虫類が水陸両用に適応化&怪獣化したものであるとされる。
名前の由来は、後述のジラースへのオマージュと"G(ギャオス)(ガメラ)-Dust"、つまりは「ギャオスから出たゴミ」 または 「ガメラの遺した者」という負の遺産的なニュアンスの意味合いを掛けている(このため当作品のギャオスは“オリジナルギャオス”と呼ばれている)。
ちなみに、名前の由来を「舌を出す」や「舌足らず」と予想していたファンもいる。
当初、舌が伸びる怪獣ということで「バルゴン復活か!?」と話題になった。また、コンセプトの時点ではたくさんの触手を持つイカ型怪獣として話が進んでいた。
断末魔の爆発シーンは実際にジーダスの着ぐるみを爆破するという一発勝負の撮影が行われている。
小説版では一瞬のうちに肩から巨大な翼が生え、飛ぶことも可能となっている。
また、小説ではギャオスの肉片そのものに意思や呪いが宿っているとされ、ギャオスの肉片を食べて怪獣化したことにより、小説ではギャオスの怨念のようなものに取り憑かれてガメラへの憎悪と人間を喰らい尽くすという本能で突き動かされている描写がある。
他にも、ジーダス自体も更に成長してより強大な怪獣になっていた可能性や前三部作のギャオス同様に雌雄同体である可能性が指摘されている。
なお、続編が作られた場合はジーダス以外にも「ギャオスの遺産」とする怪獣が出てきたと思われ、一部小説では昭和怪獣全員を「G-〇〇」などという形で出演させていた。その際は、初戦では打倒ガメラを目的とした輩が集まっただけのカオスな乱戦状態だったが、次戦ではジーダスが指揮官となっていた。
他の作品との関連性
今更ながらだが、名前と見た目のモチーフはウルトラマンに登場する怪獣ジラース。
なお、意図的に東宝怪獣らしさを目指したデザインがされた事は制作陣が明かしており、ジラースは言わずもがな、他にもゴロザウルスを軸にバランやバルゴン、エメリッヒ版ゴジラなどの要素を組み合わせて行ったとされる。
また、ジーダスのスーツアクターは、平成ガメラシリーズの監督とスタッフが手がけた『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のゴジラ役のスーツアクターでもあった吉田瑞穂氏である(参照)。
登場作品
2006年『小さき勇者たち~ガメラ~』(ガメラシリーズ第十二作)
関連イラスト
関連タグ
イリス…ジーダス同様、ギャオスと深い関わりを持つ前作の敵怪獣。
ダイダラボッチ…波切・大王島に上陸して人々に迷惑をかけていたという伝承がある。