パニエ(panier)とは、主に女性が着用するスカートの下に着用する下着の一種であり、目的としては「スカートを膨らませる」ことである。
詳しい使用法
過去における使用例
過去における利用法としては「コルセットで上半身を絞り、パニエ等によりスカートを膨らませることにより腰周りの細さを強調させる」という使い方をしていた。しかしながら、そのような利用法は新古典主義の影響などによりシンプルなドレスが流行し始めたため、いったん廃れてしまった。
現在における使用例
現在ではこの下着は「スカートを膨らませ、形を美しく保つ」ために使われている。
特に使われる衣装としては、ウエディングドレスや、ワンピースに用いられる。また、ズボンの上に着用されることもある。なお、ロリータ・ファッションや女性アイドルのステージドレスなどの短いスカートに着用する場合はドロワーズや、アンダースコート、タイツやスパッツ等を着用することが推奨される。
なお、同様にスカートの下に着用する下着としてはペチコートが存在するが、これは「スカートの滑りをよくする目的」を主として用いられるため、厳密に言えば異なるものである。
歴史
この「スカートを膨らませる」ことは16世紀にまずスペインにて流行した。それが18世紀ごろイギリスで再び流行し、それはフランスに伝わった。そしてその当時のパニエは、「木や藤や鯨のひげを用いた芯が入ったスカート」であった。その際、スカートを膨らませるための下着の形状が「鳥かご(panir)」に似ていたため、その名前がついた。そしてこの時代には行動に不便をなさないため左右方面に巨大化し、重いものとなってしまった。
その後、再びスカートを膨らませることが流行した19世紀半ばには使われていたものの、ペチコート(jupon)(この時代ではスカートの下に着用する下着。)によりスカートを膨らませたり、バッスル(ヒップラインを美しく見せるための下着、後ろ部分と骨組みしか無いスカート状。ちなみにこの種のドレスで足を見せるためにはこれを着用する)やクリノリン(スカートの下に着用する骨組みだけの下着)を用いていた。
しかしながら、この下着は現在では主に軽く硬い化繊により作られ、スカート、特にウエディングドレスなどを膨らませるために着用されるようになっている。