エーギロカシス

えーぎろかしす

約4億8,000万年前のオルドビス紀に生息した2mの大型ラディオドンタ類。長大な甲羅と櫛状の触手を持つ。

概要

モロッコから発見される。2015年に記載・命名されるが、2011年から既に巨大な胴部化石が報告される（一部のニュースに「巨大アノマロカリス」と誤報されるが…）。

全長2mほどでラディオドンタ類として最大であり、節足動物全般でも最大級に誇る。

3枚の甲皮が甲羅に発達。左右の甲皮は楕円形だが、背面の甲皮は体長の半分（最大1m）を占めるほど突き出している。

その巨体と立派な甲羅により、北欧神話に登場する海神エーギル（Ægir）にちなみ、「エーギルの兜（cassis）」を意味する学名「Aegirocarssis」がつけられた。

1対の触手は体に対して非常に短いが、櫛状のブレードが前後で積み重ねて長く伸びる。

ただし目と口（歯）の化石は見つからず、どのようなものであったかは不明。

10節の胴部は節ごとに鰓に覆われ、サメの背びれに似た形の短い鰭が四隅に並んでいる。このように1体節につき背腹2対の鰭は、本属の他にフルディアとペイトイアにも見られる。

尾の保存状態は不完全なものであり、詳細は不明。

ラディオドンタ類の中ではペイトイア（=ラガニア）やフルディア、カンブロラスターなどと共に「フルディア科」に分類される。

捕食者が多いラディオドンタ類の中では珍しく、エーギロカシスは触手の櫛を多重の濾過装置のように使って、水中のプランクトンなどを篩い分けて食べる濾過摂食者であったと考えられる。

水中を浮遊するプランクトンを食べるためよく泳ぐが、鰭が短いため緩やかであったと考えられる。なお、脱皮は海底で行っていたと考えられる。