ハマノパレード

はまのぱれーど

1970年代に活躍した日本の競走馬。その最期が日本競馬界に多大な衝撃を与えた。

概要

父テューダーペリオッド、母オイカゼ、母父ソロナウェーを持つ。1973年に宝塚記念を制するもその次に出走した高松宮杯で骨折・予後不良となった。

プロフィール

名前	ハマノパレード
品種	サラブレッド
性別	牡
毛色	栗毛
誕生日	1969年3月18日
死没日	1973年6月25日（享年5）
父	テューダーペリオッド
母	オイカゼ
母父	ソロナウェー
産地	北海道静内町
管理調教師	坂口正二
生産地	へいはた牧場
馬主	（株）ホースタジマ

経歴

デビュー前

兵庫県で宝石商を営む田島正雄氏が元厩務員の幣旗力を場長に迎えて開設されたへいはた牧場（後年ジャパンカップ馬レガシーワールドを生産、その後当牧場で生涯を過ごした。）で生まれる。

牧場時代は1周400mの馬場で猟犬のポインターに追われるという形で育成調教を受けた。

競走年齢に達し、坂口正二厩舎へ入厩。日々の世話に手こずるほど気性が激しかったが、調教で軽快な動きを見せたことから素質はデビュー前から評価を受けていた。

デビュー後

デビューから長期休養まで

1971年11月にデビュー。当初は前月の10月にデビュー戦を迎える予定だったが、骨膜炎のために直前で出走を取り消していた。そのために満足な調教が出来ず、初勝利までに4戦を要した。

クラシックへの出走が可能な額の賞金を収得したが、皐月賞の前哨戦となる毎日杯では9着、日本ダービーの前哨戦京都4歳特別では3着という結果に終わり、陣営はクラシック出走を断念。長期休養入りした。

長期休養復帰から宝塚記念まで

1972年10月に復帰。700万下条件戦、オープン戦と勝ち、阪神大賞典（当時は12月施行）で初重賞制覇。年明けの日経新春杯にも出走するが、こちらは重馬場の影響で6着に終わった。

72年春の京都記念では前年の菊花賞馬ニホンピロムーテーを退けて重賞2勝目を挙げ、続く2走を僅差の2着として春の天皇賞へ出走。最終コーナーでタイテエムと接触した事が響き、8着に終わった。

続いて宝塚記念へ出走。スタートからハイペースで後続を引き離し、最後の直線でタイテエムに馬体を併せられるも何とか逃げ切って優勝を収めた。

この時騎手を務めた田島良保は関西テレビの杉本清アナウンサーから必殺仕掛人の異名を贈られている。

高松宮杯

続いて高松宮杯（当時芝2000m）に出走。1番人気のベルワイド相手に宝塚記念と同じレース運びで先頭を進んでいた。しかし残り200m地点で馬が手前を替えようとした際に脚がもつれて転倒。競走中止となる。

この転倒で左第一関節脱臼・左第一指節種子骨粉砕骨折を発症し、競走後に予後不良と診断され、安楽死処分となった……はずであった。

競馬界に衝撃を与えたその最期

ハマノパレードが安楽死処分されたとされる日の翌日、愛知県のとある食肉市場に

さくら肉「本日絞め」400kg

という商品が入荷した。さくら肉自体は食肉市場でもよく取り扱いのある商品だが、すぐに出入りの業者の間で「あれはハマノパレードの肉ではないか」という噂が流れ出した。

この噂を聞きつけたスポーツニッポンの記者が取材したところ

• ハマノパレードは予後不良の診断後すぐに安楽死処分を執行されず、一晩放置された。
• 翌朝になって食肉業者に送られて屠殺された。

という事実が判明。この当時は予後不良の診断を受けた競走馬が食肉業者に送られてさくら肉となることは珍しいことではなかったようだが、グランプリホースの末路とは思えない程劣悪かつ許しがたい扱いにファンや動物愛護団体からの非難が殺到。

にくのひみつbyamomo

これを受けてJRAも

• 競走中に重度の故障を発症した競走馬の屠殺を原則禁止
• 安楽死の処置は手続きが完了次第即刻行う

という規定を整備し、施行した。

…しかし、この事件には何処か引っ掛かる事がある。

『ハマノパレードは現役時の体重は425kgの為、400㎏の肉が取れる訳が無い』

『競走馬の肉がたった１日で食べられる訳が無い』といった声が最近になって上がってくる様になる。

……当時はネットではなく、新聞などのアナログな情報で広まる為もし最初に流した情報が誤報であったら、その後もそのまま広がり続ける可能性もある…

…はたしてどちらが真相なのか……。

ちなみに、当時は予後不良となった競走馬が食肉解体される事は珍しくなかったらしい。余談ではあるが、フランスの名馬シーバード（1965年イギリスダービー・凱旋門賞優勝）が種牡馬としてフランスにて繋養されていた1973年に死亡したときに前述のハマノパレード同様、シーバードも墓建立・埋葬ではなく、その遺体が食肉市場行きになった（フランスでは馬食文化があるため）ということで、イギリスの競馬ファンがこれを激しく糾弾した逸話がある。

…ともあれ、ハマノパレードの最期が競走馬の福祉に一石を投じたのは紛れもない事実である。