概要
引退間近の車両や列車・廃止間近の路線などを目的に当該列車や路線に集まる鉄道ファンの事。属性としては乗り鉄や撮り鉄に分類されるが、これらよりもマイナスのイメージが強い言葉である。
並行在来線の第三セクター化、ホームライナーの特急格上げ、自由席を連結していた特急列車の全車指定席化(自由席料金廃止)に伴う運賃・料金値上げがされる直前に当該路線・列車に乗りに行くのもこれに含めることがある。
最終直前もしくは最終の列車に寄ってたかって別れを惜しむ様子を「葬式」に例えた言葉でおるが、撮影場所などを巡って多くの葬式鉄の罵声や混雑による列車遅延などにより、一般客や鉄道会社に迷惑を掛けることがあるため、あまり良いイメージを持たれていない。また、それまで興味を示さなかったにもかかわらず切羽詰まった段階から撮影や乗車を開始する者(いわゆる「にわか鉄」)も多く、これを嫌う一部の鉄道ファンからも忌避されることがある。
廃止される路線の最終運行日に人が集まることは昔から見られたことではあるが、ファンやメディアが絡んだトラブルとしては1990年代に廃止された野上電気鉄道の事例が挙げられる。同社では廃止の噂に鉄道ファンやマスコミが集まった結果、列車運行等に関する不適切な取り扱いが発覚。撮影は禁止され、頻繁にトラブルが発生して悪い意味で話題になってしまった。
近年では209系や東京メトロ6000系の引退時に大規模なトラブルが発生しているほか、無謀な撮影や車内での迷惑な録音による事案も後を絶たない。中には山手線で運用を終えるE231系の撮影目的でファンがトラブルを多発させた結果、予定日を待たずに運用終了するなど結果的にファン自身の首を絞める事態も起こっている。
このため、「車両の引退を当日や運用終了後に発表する」(東京メトロ、新京成電鉄、東京モノレールなど)、「引退車両の有料撮影会を開催したり、博物館で引退式を行う」(JR東日本、JR西日本など)の対策を鉄道各社が行っており、安全・快適に車両や列車とのお別れをできるように模索している。