ポイントフラッグ
ぽいんとふらっぐ
概要
名前の由来は1931年にアメリカから輸入された繁殖牝馬「星旗」から。息子の愛称に便乗して「ポイフラ」と呼ばれる場合もある。
星旗はクレオパトラトマス(1935年帝室御賞典)、クモハタ(1939年東京優駿競走)などの産駒を残し、ポイントフラッグは母系でその血統を継いでいた。
小林英一オーナーは若い頃に野平祐二騎手と星旗の玄孫にあたる競走馬スイートフラッグのファンになり、馬主免許を得た後、スイートフラッグの妹アイアンルビーの孫のパストラリズムを人生初の所有馬とした。そのパストラリズムの5番仔として誕生したのがポイントフラッグである。
須貝氏は現役時代のポイントフラッグについて「いい子だったのよ。あんなヤンチャな子が生まれるなんて思わなかった。父親の血が濃い。」と振り返っている。
また、生産者の出口氏曰く「気性が3歳の夏を越して一気に神経質になり、レースで結果も出なくなってしまった」とのこと。
プロフィール
戦歴
2000年11月4日、京都3歳新馬戦でデビューし2着。
2週間後の京都3歳新馬戦で初勝利を収める。
その後3歳500万下、紅梅S、エルフィンS、チューリップ賞といずれも3位内に入線。
その後は桜花賞、オークス、エリザベス女王杯と走ったが3着以内に入ることはなかった。
因みに後にドリームジャーニー・オルフェーヴルらの母となるオリエンタルアートとは加古川特別で一度だけ対戦があり、この時はオリエンタルアート11着、ポイントフラッグ15着だった。
2002年8月3日、マラヤンRATで競争中止となり、現役を引退。
引退後
故郷の出口牧場に戻り、2003年より繁殖牝馬となる。
9頭の産駒の内、最も有名なのはゴールドシップであろう。
また、ステイゴールドはポイントフラッグの気性のおかげで芦毛牝馬全般が苦手だったという噂もある。
「ステイゴールドは繁殖牝馬をそれぞれ事細かに覚えていて、癖のある繁殖牝馬だったりすると慎重にかかったりしていました」とのスタリオンスタッフの証言もあることから信憑性は高いと思われる。
産駒の殆どが母に似て大柄な体格ではあったが、あくまでも母に「似て」であり、産駒の中に彼女より大柄な馬はいない。強いて言うなら次男カントリーフラッグのみ母と同じく現役中一度も馬体重が500kgを下回らなかった事くらいだが、そもそもカントリーフラッグは4戦しか走っていない。
唯一馬体重が平均的なのはステイゴールドとの間に誕生したトレジャーマップくらいである。関係者達が当初狙っていた「賢く中くらいの体型の馬」が誕生した訳でもあり、兄の様な活躍を期待されていたのだが、このトレジャーマップ、ステイゴールドの血が逆に多すぎたのだろうか、かなり気性が荒く、その気性が災いしてか競走馬としては大成できなかったのである。(中くらいの体型と言っても馬体重は基本的に450kg程度しか無かった)
その気性の荒さはなんの皮肉か兄ゴールドシップと似通っている部分も多く、やれ牝馬が好きで牝馬を見かけると馬っ気を出したり(という噂)、時には乗りかかったりもしたり、挙句の果てには兄と仲良くいい年こいてゲート再審査を受ける等、ステイゴールドの血が極端に入りすぎるのも余りよくないと言える。
そしてポイントフラッグの第8子フラワーシップは、ポイントフラッグ産駒での平均どころか、一般的な馬と比較してもかなり小柄で、馬体重は450kg代どころか430kg代にすら到達した事もないのである。ポイントフラッグ産駒としては余りにも異端な小ささなのである。こちらは気性は(ゲート再審査を受ける全兄2頭よりは)大人しい様だが、体格にステイゴールドの血が極端に出てしまった例と言える。
当然繁殖入りするにしても体格の小ささから出産に耐えられるのかという不安があったが、どうやら体格と同時に丈夫さも父から受け継いでいた様で、特に問題もなく3年連続で問題なく子を産んでいる。長子のムーランドール(父シャンハイボビー)は中央で2戦後、名古屋競馬に移り、そこで初勝利を収めている。叔父ゴールドシップと同じく追い込み型の馬である。気性は母に似て大人しい...のかは不明だが、ゲートの中で他馬に喧嘩を売り出遅れたり(彼女の場合やる気自体はあったのかその後猛追して2着に粘っている)等、叔父にやや似ている様である。
因みにフラワーシップが2021年に出産した牝馬の父親は、なんと120億円事件の勝者でもあり最大の被害者でもあるラブリーデイ。基本的にミラクルフラッグやフラワーシップに内国産馬がつけられる事はごく稀で、2頭の産駒計11頭中父親が内国産馬なのは3頭だけである。(内ルーラーシップが2回ミラクルフラッグに種付け、そしてラブリーデイがフラワーシップに種付け)...明らかにオーナー側が狙ったとしか思えないこの配合がどう転ぶか楽しみである。
末っ子ゴールドフラッグは母に似た大きな体(馬体重は兄ゴールドシップとほぼ同じくらい)、父に似た黒鹿毛、そしてどこから来たのか人懐っこくて大人しく、余り動きたがらない性格をしている。関係者からは「黒ゴルシ」とやや不名誉なあだ名で呼ばれており、兄と同じく自身の厩務員である今浪隆利厩務員の事も大好きだそうだが、兄とは違い彼の事を病院送りにしたり、調教師である須貝調教師を蛇蝎の如く嫌っている事はしない。
今浪厩務員の育て方がよかったのか、どうも人から貰える食べ物は全て美味しい物と認識しているらしい。人参が好物との事だが、食べるのは下手。口に詰め込み過ぎて噛むことが出来ずに消化できず、最後は吐き出したりもしていた。
だが、母親譲りの賢さはあるようで、食事の際他馬が給餌バケツに入れられた食事を首を下げて食べている中、ゴールドフラッグのみは給餌バケツを引っ掛けて食べやすい位置に固定し食べていたりしている。
現在はその大人しい気性が功を奏したのか、乗馬として再就職しているとの事。
ポイントフラッグの産駒は9頭のうち4頭牝馬がいたが、長女のハニーフラッグは予後不良、三女のポイントキセキは第一子を妊娠中に死亡し、後継牝馬は次女ミラクルフラッグと四女フラワーシップの2頭のみとなっている。
ミラクルフラッグの第4子ダイメイコリーダ(父エスケンデレヤ)はJDDにてダノンファラオの2着に好走しており、第2子シスターフラッグ(父ルーラーシップ)は札幌2歳Sにて4着と掲示板内に入着している。
そして2023年、ミラクルフラッグの第3子でシスターフラッグの全妹であるプライムシスターの第1子アストラルフロウ(父ホークビル)がデビュー。このアストラルフロウがポイントフラッグのひ孫最初のデビュー馬となった。
最後の産駒は2015年のゴールドフラッグ(父・ステイゴールド)。
2016年4月30日、この世を去った。お腹にはアイルハヴアナザーの子を宿していたが、お腹の子と一緒に旅立ってしまった。享年18歳。(旧馬齢19歳)
そのアイルハヴアナザーも、2018年を以て故郷のアメリカに帰国。再びアメリカにて種牡馬となっている。
アイルハヴアナザーが日本で残した事実上のラストクロップの中には、ポイントフラッグの娘であるミラクルフラッグと交配し、父と母の名をとったアナザーミラクルという牝馬が産まれている。オーナーもこの配合に思う所があったのだろうか、アナザーミラクルは血統的な価値を見込まれて未出走で繫殖入りし、2023年にフォーウィールドライブの牡馬を出産している。
繁殖成績
生年月日 | 名前 | 性別 | 毛色 | 父 | 競走成績 | 現在 |
---|---|---|---|---|---|---|
2004年3月22日 | ハニーフラッグ | 牝 | 芦毛 | フジキセキ | 15戦2勝 | 死亡 |
2005年3月13日 | ポイントゴールド | 牡 | 芦毛 | ゴールドアリュール | 2戦0勝 | 引退 |
2006年3月25日 | カントリーフラッグ | 牡 | 栗毛 | ティンバーカントリー | 4戦0勝 | 引退 |
2007年3月11日 | ミラクルフラッグ | 牝 | 栗毛 | スパイキュール | 28戦1勝 | 繁殖牝馬 |
2008年 | 不受胎 | ステイゴールド | ||||
2009年3月6日 | ゴールドシップ | 牡 | 芦毛 | ステイゴールド | 28戦13勝 | 種牡馬 |
2010年3月16日 | ポイントキセキ | 牝 | 栗毛 | フジキセキ | 21戦1勝 | 繁殖牝馬 |
2011年5月31日 | トレジャーマップ | 牡 | 鹿毛 | ステイゴールド | 37戦4勝 | 死亡 |
2012年 | 不受胎 | ステイゴールド | ||||
2014年3月28日 | フラワーシップ | 牝 | 黒鹿毛 | ステイゴールド | 6戦0勝 | 繁殖牝馬 |
2015年4月10日 | ゴールドフラッグ | 牡→セン | 黒鹿毛 | ステイゴールド | 29戦3勝 | 乗馬 |
2016年 | 母体死亡 | アイルハヴアナザー |