概要
今浪隆利(1958年9月20日~)
JRAの厩務員(2023年に定年)。須貝尚介厩舎(栗東トレーニングセンター)に勤務していた時、ゴールドシップの担当厩務員として有名になり、その後、白毛馬では初のGⅠ勝利馬ソダシや、ゴールドシップの全弟妹(トレジャーマップ、フラワーシップ、ゴールドフラッグ)や産駒(サトノゴールドほか)を担当した(メイン画像で一緒に描かれているのはソダシ)。
後述のゴールドシップやソダシのエピソードから俗に日本一有名な厩務員と称されており、騎手・調教助手経験等の無い一介の厩務員としては珍しくWikipediaに単独項目が存在する(ほかには元厩務員の蛯名幸作あたりしかいない)。
来歴
1958年9月20日、福岡県北九州市生まれ。小倉競馬場の近くで幼少期を過ごし、馬が身近な生活を送る。
地方競馬の名古屋競馬で騎手見習いとなったが、身体が大きくなり断念。
馬に携わる仕事を求めて栗東トレーニングセンター・内藤繁春調教師を紹介してもらい、内藤師が育成牧場に使っていた北海道の優駿牧場での研修を経て、内藤繁春厩舎で厩務員生活をスタートさせた。
内藤の定年後は栗東の中尾正厩舎に異動。この2厩舎で馬の扱い方を学ぶ。
2009年の中尾の定年後、同年に開業した須貝尚介厩舎に入り、2023年6月30日の定年まで勤めた。
最後のGⅠレースはソダシの安田記念。惜しくも7着の掲示板外となったが無事に帰って来たこと、また応援してくれたファンへの感謝の意をTwitter(現在のX)にて表明している。
ゴールドシップの厩務員
彼が競馬ファンの間でつとに有名なのは、クラシック二冠を含むGⅠ6勝馬にして破天荒なエピソードに事欠かない迷馬、ゴールドシップの担当厩務員をしていたことだろう。
彼とゴールドシップとの絆はとても強く、人馬問わず気に入らないヤツは蹴るゴールドシップが、デレデレになる数少ない相手だった。
今浪が須貝厩舎に転籍した翌年の2010年、入厩してきたばかりの2歳のゴールドシップは大人しい馬だったというが、翌年に3歳で初重賞勝利を飾る共同通信杯の頃から突然凶暴化したという。
上に挙げたイラストのように、ゴールドシップは後足のみで立ち上がっている写真も多く撮影されているが、現役時代に撮影されたもので手綱を引いているのは、ほとんどが今浪厩務員である。彼曰く「無理に抑えようとするより、大人しく振り回されておけば大ケガはしない。馬は1万馬力というけれど、あいつ(ゴルシ)は10万馬力はあったね」とのこと。
ゴルシのことはとても大切に思っており、彼の引退直前には「こいつ(ゴルシ)と会って人生が変わった。『夢には終わりがない』というのを教わった。最初は勝つのが夢。重賞を勝つ。GⅠを勝つ。勝つたびに夢が広がった。」とインタビューに語っている。
そして、引退式で会場から出る際は、ゴルシの手綱を引きながら号泣していたという。
ゴールドシップが種牡馬となったのちも、北海道で暮らす彼にほぼ毎年会いに行っており、今でも仲がいいようである。特に厩務員を引退した2023年にテレビ東京の企画でビッグレッドファームを訪れた際、「お前と一緒やで引退したの」とゴールドシップに語り掛けると、耳を今浪さんに向けて「そうか…」と納得するように頷く姿が映されており、その強い絆をうかがえる。
ウマ娘プリティーダービーにて
Cygamesのメディアミックスプロジェクト「ウマ娘プリティーダービー」。彼の担当馬ゴールドシップもウマ娘として登場することになった。
ゲーム版が配信されるやすぐさま始めたことを自身のTwitterで報告。他のウマ娘には目もくれず育成はゴールドシップしかしないというこだわりようで、本物のゴルシよりむずかしいともツイートしていた。
そしてついに、ゴールドシップで皐月賞を制覇したことを報告。ファンから祝福の声が寄せられた。
アニメ版では、Season2第3話やSeason3第3話や10話にて、セリフこそなかったものの彼らしき人物がゴールドシップの隣に出演。SNSなどで話題となった。
ちなみに今浪氏は、リアルの馬の方のゴルシを指す際には『シップ』、ウマ娘の方のゴルシを指す際には『ゴルシ』と呼び分けている様子。
エピソード
- ゴールドシップ最大の特徴は天下一の暴れん坊と呼ばれた気性の荒さと、それに耐えるだけの頑強さ。引退前の番組インタビューによると、今浪さんはゴールドシップを見て「凄い馬だ、絶対に怪我させないように、また僕も怪我しないようにせねば」と肝に銘じたらしく、どんなときも馬体を最優先にしていたらしい。同期が次々と故障や怪我で引退する最中、他馬を見れば喧嘩しに行くゴールドシップが目立った怪我なく引退できたのは、例の血の影響もあるだろうが、一番に自身を慮ってくれる今浪さんの気持ちを汲んであげたのではないかと噂する者も居るほどであるが、何よりも須貝氏や北村浩平調教助手とともにゴールドシップのケアをこまめに行った「チームゴルシ」の努力・経験・技術の賜物である事は疑いようがない。引退後は現役時代になかった気性の荒さを発露したり人間不信に陥る種牡馬もいる中、特段人間嫌いににもならず無事に種牡馬入りして時々カメラサービスまでしてくれるようになった今のゴルシの在り方には、間違いなく最愛の友の1人である今浪さんの存在がある。
- ゴールドシップが凱旋門賞に挑戦するためにフランスへ渡った際、現地の厩舎と調教を行うシャンティイ競馬場の間は40分ほど森の中を抜けて行くコースだった。騎手を背に乗せて歩き、今浪厩務員は徒歩で後を追っていたのだが、ルンルン気分のゴルシはそのまま加速。今浪厩務員はフランスの森の中に取り残されてしまった。
- 先述したようにゴールドシップの後は白毛の馬ソダシを担当しているが、彼女に関して「調教前の運動の雰囲気がアイツ(ゴールドシップ)と似てきて大変やねん……」とつぶやいている。ソダシの母ブチコもゲート難(はて、どこかで聞いたような…?)で引退した馬であり、その気性を娘も受け継いでいるようだが、今浪厩務員ら須貝尚介厩舎の「チーム・ゴルシ」メンバーは、「あいつ(ゴルシ)に比べれば」を合言葉にソダシの調教に励んでいる…のだが、2022年5月のヴィクトリアマイル前のインタビューでは「ゴールドシップより荒いかも」と評するようにもなってきている…。
- ウマ娘プリティーダービーをプレイしているのは先述したとおりだが、ウマ娘のストラップをゲットするために滋賀の栗東トレセンから京都市内まで行き、ゴールドシップが2つ(夫婦用)出るまで15回ほどガチャガチャを回したらしい。
- 2021年、デビューから5戦無敗で桜花賞とこの上ない活躍を続けていたソダシが初めての敗北を喫したのはオークス。その勝ち馬はゴールドシップ産駒初のGⅠ馬となったユーバーレーベンだった。須貝調教師も今浪厩務員も、引退後までゴルシに頭を抱えさせられるとは思うまい。しかし、レース後今浪氏はtwitterで「(ソダシが)無事に帰って来ました。応援ありがとうございます。よく頑張りました」と担当馬を労ったのち「シップ子供がGⅠ勝ちました(号泣マーク)」と、かつての相棒とその子の活躍を喜んでいる。
関連イラスト
今のところ、ウマ娘のゴールドシップと一緒に描かれているものが多い。
ウマ娘以外だと、ゴールドシップよりもソダシと一緒のイラストが多いようである。
関連動画
今浪さんがソダシのお世話をする動画
今浪さんがソダシのお世話をする動画その2
今浪さん、ゴールドシップに会いに行く(2018年)
今浪さんに甘えるゴールドフラッグ(ゴールドシップの全弟)