概要
ドイツのStG44に影響を受け、第二次世界大戦後、各国でアサルトライフルの開発が進められた。
1947年からベルギーのFN社(現・FNH社)は7.92mmクルツや.280等の短小弾を使用する自動小銃の開発を進め、FN CAMPが試作された。
しかし、アメリカが自国の7.62×51mm弾をNATO標準弾薬とする事を要求した為、FN CAMPは口径が変更され、FALに発展した。
FALは東側のAK47への対抗馬として、西側諸国を中心とするおよそ90ヵ国以上で採用された。
当初は歩兵小銃として開発されていた為、分隊支援火器タイプのFALOが存在する。
イギリスでは、L85が正式採用されるまでセミオート・モデルのL1A1を、分隊支援火器仕様としてフルオート・モデルのL2A1を採用した。
イギリス向けにインチ法で再設計された為、メートル法設計のFALとはパーツやマガジンの互換性が無い。
英連邦諸国も追従し、オーストラリアはイギリス同様にL1A1とL2A1、カナダはL1A1同等品をC1として採用し、ストック等を木製に変更し、専用スコープ等を開発して運用している。
フルオート・モデルもあり、C2A1という名称を与えられている。
イギリスで採用された最初期のL1A1にはフルオート射撃機能が付いていたが、反動が強くて制御が難しく、回収されて刻印はそのままにセミオート仕様に改修された。
西ドイツはG1として採用するも、FN社にライセンス製造を断られた為に少数に止まり、1959年にH&KのG3を採用した。
60年代に入るとポルトガルがFALをG3に置き換えたの皮切りに、各国で更新がはじまった。
アルゼンチンではFM(アルゼンチンの国営造兵廠)がFALをライセンス製造していた為、フォークランド紛争時にはFM FAL対L1A1という場面もあった。
英軍は弾薬不足から鹵獲品も使用したが、インチ法モデルとは互換性が無い為、鹵獲品と官給品の両方を持ち運ぶ兵士もいた。
ブラジルのインベル社ではFALのライセンス製品であるM964をベースに、小口径アサルトライフルの開発に着手、インベルMDが開発された。
FNCの様にM16互換のSTANAGマガジンを使用するが、内部機構はFALと互換のある構造となっている。
アメリカのDSA社ではクローンモデルが製造されており、オリジナルのFAL同様の通常モデル及びパラトルーパーモデル以外に、カービン、マウントレールを追加しカービンモデルより銃身を短くしたOSW(Operational Specialist Weapon)という独自のモデルを製造している。
OSWにはサイズをさらに切り詰めたピストルモデルや、フルオートを追加したセレクティブファイアモデルもある。
また、同国の航空機メーカーであるフェアチャイルド社の銃器開発部門アーマライトでは、KRR62という専用スコープが開発され、PSG-1の様に部品精度の良いFALを選んで取り付けてスナイパーライフルとして改造し販売した例もある。
だがしかし、値段は飛び抜けて高いらしく、オランダ軍が使用したらしいとの話くらいであまり姿を見かけない。
1979年、FN社の開発したSS109弾(5.56×45mm)がNATO第二標準弾に制定され、各国の主力小銃は次第に小口径アサルトライフルへ更新された為、FALの後継種としてFN_CAL、FNCが開発された。
性能
長所
堅牢な作りで故障は少ない。
セミオートの命中精度は高く、マークスマンライフルにも使用される。
泥水に強く、ジャングルや湿地帯等で大いに活躍できる。
短所
7.62mmNATO弾を使用しているので反動が強く、フルオートの命中精度は低い。
砂塵には弱く砂漠や荒野には適さない。
生産性が低く、価格も少々高い。
データ
全長 | 1,143mm |
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銃身長 | 618mm |
重量 | 4,500g |
口径 | 7.62mm |
弾薬 | 7.62×51mm NATO弾 |
装弾数 | 20発 |
フィクションにおいて
「ゴルゴ13」ではデューク東郷が狙撃にFALを使用した事が有るが、調達を頼んだ武器屋の店主に興味本位で不発弾を混ぜられた上、それが偶然にも選別を潜り抜けた結果狙撃を失敗するという非常に珍しい事態となった。
当然の話ではあるが、店主はその代償を自身の命でもって払う事となった。