性能
口径 | 7.62mm |
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使用弾薬 | 7.62mmNATO |
装弾数 | 5+1 |
全長 | 1208mm |
重量 | 8,100g |
有効射程 | 約800m |
標準装備スコープ | ヘンゾルトZF6x42PSG1 |
サウンドサプレッサー | ブルガー&トーメ |
※wikipediaより概値
セミオートマチックでありながら、フリーフロートのロングバレルとG3より受け継いだローラー遅延式ブローバック機構により高い命中精度を獲得している。
しかしながら非常に高価になっており、日本円にして約70万円超と当時一般的なボルトアクション式の狙撃銃と比較すれば高価。
同口径の狙撃銃と比べると重たく、また当時の技術でセミオート狙撃銃を完成させるために生産性、整備性が悪くなっているが、それらの欠点はほとんど車で移動が可能かつ過酷な環境での運用も想定されず、またそれほど数も必要ないという警察用狙撃銃の要求に従い敢えて軽視された点である。
この手の銃にはつきものの二脚が標準で付属しておらず、レスト型の三脚での運用が前提となっている辺りにもその設計思想がうかがえる。
銃そのものの性能としてはボルトアクション式狙撃銃に迫る射撃能力があるのだが、固定搭載の専用スコープは倍率が6倍固定で対応距離が600mまでの近中距離狙撃用であり、これも長距離狙撃が要求されない警察用ならでは。
G3ファミリーでは構造上、チャージングハンドルを操作してのボルトの強制閉鎖できない。
狙撃銃では多くの場合は大きな音を立てる事は可能な限り少なくする必要があり、装填時の音すら気を使い、あえて閉鎖不良を起こす可能性がある方法でゆっくりとボルトを戻すことがあるのだが、本銃ではロックタイム(トリガーを引いてから激発されるまでの時間)の短縮のためにハンマースプリングを弱めのものにしており、多少の閉鎖不良であれば強いハンマーの力で閉鎖しつつ激発できるが本銃では不可能であった。そのため、ボルトフォアードアシストを搭載し、手動で強制閉鎖を可能としてている。
本銃は「複数犯を人質に手をかける暇を与えず皆殺しにする」運用に特化した装備であり、いわば警察組織の最終兵器である。
幸いにも本銃の実戦における活躍は少ない。
運用史
1972年に起きたミュンヘンオリンピック立てこもり事件で、テロ部隊は犯行グループに対し狙撃を行ったが、使用したライフルが一般的なアサルトライフルであり、狙撃にたえ得るものでなく、加え様々な要因も加えられ、人質の全員が死亡、警察側にまで被害が出るという惨事が引き起こされた。
この結果から、多人数の標的に素早く対処でき、かつ精密な狙撃を可能とするライフルが西ドイツの政府から要求された。
これに応えるために開発されたのが本銃である。
西ドイツの警察特殊部隊GSG-9(第9国境警備群)はもちろんのこと、同国の対テロ警察部隊SEK(ゾンダーアインザッツコマンド)も所有しており、ロス五輪オリンピック警備に合わせてロサンゼルス警察も採用した。
その他多くの国の警察組織や軍特殊部隊に採用されており、メキシコやパキスタンでは若干のコストダウン的改造を加えたものがライセンス生産されている。
日本の警察にも数も場所も不明だが配備されているらしい。
このようにセミオート狙撃銃のパイオニアとして多くの顧客を得たが、現在は技術発達による陳腐化の為一線から退きつつある。
近代化改修を施した後継のPSG1A1が2006年に発表されたものの振るわず、2010年にはカタログ落ちしてしまっている。
1990年には軍向けに軽量化、低価格化したMSG-90が開発されたが、技術発達により射撃性能を維持して軽量化に成功しており、こちらが実質的な後継品となっている。
余談
過去に日本は「ピストルグリップタイプのミリタリーライフルの新規所持の規制」という銃刀法改正があったのだが、この改正前にミリタリーライフル所有クラブのメンバーによって最低1丁のPSG-1が個人輸入の形で持ち込まれ所持されている。
規制前の当時は比較的関税が緩かった為に銃籍に「HK」と記入して輸入できたという。(とある銃砲店主からの情報)
東京マルイからも遊戯銃がリリースされているが、非常に高価且つ大重量である。
セミオートに特化した専用メカボックスを採用しており多弾数を撃ち出す事を前提としておらず、自主規制で樹脂部品が主のためハードな使用では銃身が曲がったり、その長さから運搬中にぶつけやすかったり、果ては自重でバレルが曲がったりと扱いには細心の注意が必要である。
ゲームでの実用には銃への愛と体力が必要となるだろう。
独特の外観や特殊部隊御用達の歴史からメディア人気も高いのだが、その特異な性能まではあまり理解されておらず、狙撃から突撃までなんでもござれの万能銃のように扱われていたりもする。
関連イラスト
関連タグ
【登場作品】
- メタルギアソリッドシリーズ(複数シリーズで登場、作品によって非殺傷弾専用モデルも登場)
- バイオハザードシリーズ(複数シリーズで登場)
- ドラマ「SP」(尾形メンバーの一人が井上の狙撃に使用)
- ザ・サードバースデイ(アヤの武器として登場)
- ジャングルはいつもハレのちグゥ(ロバート救出の際に見方が一名使用)
- ドールズフロントライン(戦術人形の一体として登場→PSG-1(ドールズフロントライン))
- 千銃士(敵キャラクターである現代銃の1人として登場→アインス(千銃士))
- ブルーアーカイブ(陸八魔アルと黒舘ハルナが使用。後に東京マルイが自社製品のPSG-1のモデルガンを改造してワンオフでアル仕様を製作し、アルの中の人が実際に撃っている)