概要
男性のみによる地下アイドル、「メンズ地下アイドル」のこと。
地下アイドルそのものについては当該記事を参照のこと。
長らく男性アイドルはメジャーな一部事務所の寡占状態が続いており、また若手俳優、バンド(特にヴィジュアル系など)やお笑い芸人と活動の場やファンの層がかぶりがちなためか、女性アイドルに比べると数は少なかった。
しかし、2000年代から少しずつ歌手が主体でない事務所や小規模、新興の事務所から男性アイドルがデビューすることが増え、2010年代からはSNSや動画サイトなどの隆盛も手伝い、男性地下アイドルグループが急増している。数はそう多くないが地方を拠点とするローカルなメンズグループや日本の小規模ライブハウスに出演する韓国人男子グループも存在する。
なお、ソロやデュオも多い女性の地下アイドルとは違い、3人以上のグループでの活動が大半である。
加入前にニコニコ動画などの踊ってみた・歌ってみたといったジャンルで活動していたり、元は大手の事務所やその養成所に所属していたりといった経歴を持つ人物も増えており、アイドル以前から「固定のファン」が付いていることも少なくない。
質の差は地下だけにピンからキリまでといった状態だが、距離の近さを魅力と感じるファンも少なくない。
運営も大手芸能事務所から新興の小規模事務所まで幅広くなってきている。
メン地下の問題点
短期間かつ急激にグループ数が増えたこともあり、競争の激しさや運営の質の差が著しいことも手伝い、様々な問題点が指摘されている。
女性の地下アイドルと同様にプロ意識が十分育たず素行の問題を起こしてクビになる者もそれなりにいるが、メン地下の場合熱烈な女性ファンを相手にするが故の問題点も発生している。
地下アイドルの現場では、ライブ自体は格安、無料であったり、チケットの手売りやSNSでの直接営業が盛んであったりと、ライブへの参加の敷居を低くして、「物販」と呼ばれるアイドル本人によるグッズの手売りや、ライブ後に「特典会」などと呼ばれるチェキ撮影などの営業イベントで売り上げを伸ばす、というのが通例化しているが、運営費を稼ぐため多額のオプション(「たくさん買えばたくさん喋れる」というようなシステム)をつけて課金合戦になりやすいシステムのところが多く、しかもライブの本数がメジャーアイドルより多いため営業イベントの開催回数もかなり多い。
気をつけていないと廃課金状態に陥ってしまう。
良心的な運営であればアイドルとファンの私的な繋がりには契約解除などの厳しい処分を課し、ライブマナーでも最前管理等の一部ファンによる横暴を禁止して演者とは一線を引かせている。
しかし悪質な運営だとライブパフォーマンスの質向上はおざなりに、ファンのガチ恋感情を煽って利用する商売に走るところもある。
ホストクラブまがい(場合によってはコンセプトカフェやクラブなど店そのものが運営母体になっていることもある)の方針をする運営もおり、撮影会中にファンとボディタッチ状態になったり、高額な課金をさせることでメンバーとデートや旅行する権利を買えるなど「ファンとメンバーの線引きが危うい営業」(色恋営業)をアイドルにさせることもある。これにより、ファンが「アイドルと付き合えるかも」「そのアイドルの一番のファンになって『認知』してもらえるかも」とどんどん金を注ぎ込み、課金額が月数十万〜100万以上というホス狂と変わらない状態に陥ってしまう危険性が指摘されている。最も過激な界隈だと撮影会中にファンの胸を揉む、下着に手を入れたりというほぼ性犯罪状態になっているところもあるが、性的関係を持ったことで余計にのめり込むタイプの女性を厳選して少数の太客で大儲けを目論む悪質事務所も存在する。
同性のファンや年齢層の高いファンも多い女性地下アイドルに比べると、男性地下アイドルは若い女性のファンが集まりがちであり、未成年も少なからずいる。このため、過激営業系のグループにハマって稼ぎの良い水商売や(違法行為である)援助交際、パパ活、立ちんぼに走ったり、家から無断で金を持ちだしたりといった金銭面だけでなく、人間関係の悪化や学業等への影響など精神的にもに追い詰められていくケースがままあるという。
当事者であるメン地下ファンの間からも、過激営業に走る事務所には批判が出ており前述のようなセクハラレベル営業を「前戯物販」と蔑称で呼ばれている。
保護者からの「娘がメン地下にハマりすぎて身を持ち崩している」といった相談も警察に多く寄せられているようで、2022年暮れ〜2023年初頭には警視庁少年育成課が、メン地下と特定する形で「推し活」に関しての注意喚起が行われている。
また、2023年1月には未成年ファンに手を出したメン地下のメンバーが逮捕される事件が起こっており、彼らが所属していた事務所が特に過激な営業のところだったため物議を醸し、メン地下ファンの中には「警察の注意は実質この事務所を名指ししていたのでは」との声もある。実際、運営元が同じコンカフェが同年摘発され、2024年には「チェキ会の時に所属メンバーがファンの胸を揉むなどのセクハラ行為をした」として当該の事務所社長が逮捕されている。