概要
実在するアイドル、俳優や声優、ミュージシャン、タレント、YouTuberやバーチャルYouTuberといった芸能人(また、一部二次元のキャラクター)に対し、ガチ(ガチンコ)で恋をしてしまう現象、またそのような想いのこと。
似たような言葉である「推し」には必ずしも恋愛感情が含まれないのに対し、こちらはその度合いは人それぞれだが恋愛感情(に近い気持ち)を含むものである。
女性向けジャンルでは「リアルに(現実的に)恋をしている」のを略して「リアコ(リア恋)」と表現されることもある。また、これはいわゆる同担拒否のニュアンスを含むことがある。
ガチ恋をしているファンは「ガチ恋勢」と呼ばれる。
2000年代に、アイドルの現場(ライブ・コンサート。ここでは、それに参加しているファンのコミュニティという意味合い)にて生まれた表現とされる。
当時はAKB48など「会いに行けるアイドル」が注目されるようになった時期であり、握手会やチェキ会等を通じて実際に触れ合うことができることで、アイドルがそれまでの「手の届かない憧れの存在」から「すぐそばにいることを実感できる存在」へと変化していった。
これにより「偶像としての『憧れ』ではなく、実像に本気で恋心を抱く」ファンが増加・可視化され「ガチ恋」という表現が使われるようになったと考えられている(参考:ニコニコ大百科の同記事など)
1970年代の時点でアイドルの「親衛隊」など、熱烈なファン(の集まり)は存在しており、中には親衛隊の隊長がアイドルと恋愛関係に至ったケースすらある。ただし、親衛隊は組織での「後援」という形態であり、一対一での関係を求めるガチ恋勢はその特性上基本的には単独となる。
また、同じアイドルが好きな人を受け入れない「同担拒否」という人も多く、ファン同士複数人で行動する場合も、相手がグループの別メンバーが推しである、箱推しであることが大半である。
一方「ガチで(ガチンコで)」とは言いつつも、冗談めかした形で用いられることも少なからずあり、アイドルのコンサートにおける「ガチ恋口上」などはテンプレートが存在し、コールとして定着するなど、まさに「ガチ恋」をネタにしたものといえる。
既婚者や、すでに引退・死去している人物に対しても、恋愛感情並みの強い気持ちを表現する形で「ガチ恋」と表現する場合もある。
架空のキャラクターに対しては、かつては「俺の嫁」・「私の婿」という表現で強い思慕の念を示すファンが多く、実在の芸能人などに対してもこのような表現が一部使われていたが、現実に「結婚」という制度がある以上、直接的にそのような関係を示すのは憚られることから少数派であった。
「ガチ恋」という表現が使われるようになってからは、少なくとも実在の相手に対して「嫁」・「婿」という言葉が用いられることはほぼなくなった。また架空のキャラクターに関しても、キャラに対する愛情は必ずしも恋愛のみとは限らないため、それぞれのキャラのイメージやジャンルによって使い分けられており、下火となっている。
負の側面
男性アイドルグループは(曲を聞いている、ライブを見ている)「貴女」向けのプロモーション、疑似告白やガチ恋距離など、二人っきりのシチュエーションを再現したグラビアなど、ガチ恋勢を強く意識したファンサービスを行うことがあり、例として旧ジャニーズ事務所所属アイドルは一時期その傾向が強かった。また、女性アイドルでも(グループ全体では無いにしろ)そのようなアピールが見られることがある。
一方で、このようなサービスを受けたファンの中には、「ガチ恋勢」で収まらず独占欲を拗らせて過激化してしまう人も少なくない。例えば、恋愛ドラマでの相手役、他アイドルとのBL営業や百合営業などに拒否感を示し、共演者や他アイドルのアンチとなるケースが確認されている。
「同担拒否」を表明して他のファンと激しく抗争することもあり、ガチ恋勢を厄介者扱いするファンも多い。
また、アニメや漫画などのキャラクターに対してガチ恋しているようなオタクも多いが、アイドルなどのガチ恋勢同様に、一部でトラブルが起こっている。また、カップリングを好む層と嗜好が相容れないため、界隈の混乱を招く一因になったりもする。
女性向けにおける「夢女子」ともまたジャンルが異なる。
夢女子の好む夢小説が「(作者の理想を反映した)オリキャラと原作キャラのカップリング二次創作」であるのに対し、ガチ恋勢はあくまでも「自分そのものと原作キャラの間の恋愛」を志向ないし嗜好するため、自分とキャラとの間に他者が介在することになる夢小説は必ずしも合致しているわけではない。
架空のキャラクターに近い立ち位置である声優やバーチャルYouTuberも、シチュエーションボイスやASMRなど「距離の近い」活動を通じてガチ恋勢と呼ばれるファン層を抱えることが多いが、やはりその中には空気の読めない言動や問題行動を取る者が出現することがある(声豚、バチャ豚の記事も参照)。
運営規模が小さい地下アイドルや、ライバー(ストリーマー)、Vtuberの中には、運営側が「恋をされる」側のアイドル・キャストに対して積極的に「ガチ恋営業」を仕掛けることを推奨している、あるいはアイドル側が自分から取り組むケースがたびたび見られる。これがトラブルに繋がることも少なくない。
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