概要
主に水商売などで、ホストやホステス(キャバ嬢)といった接客を行う従業員が、客に個人的な恋愛感情があるようなそぶりを見せ、客が「従業員と客」という関係を超えて「恋人同士」と錯覚してしまうように仕向ける営業方法である。
言葉の表面だけでそれとなく恋愛感情を匂わせる軽いものから、いわゆる「大人の関係」を望むことを示唆するもの、さらには枕営業まで様々あるが、どちらかといえば店の中での、仕事の延長での付き合いで本気にさせようとすることを指す場面が多い。
なお「同伴出勤」(仕事前に店外でデートをしてから一緒に店に向かう)や「アフター」(仕事後に店外でデートして現地解散する)のような「店の外での付き合い」への積極的な誘いも含まれるが、これらは仕事上のサービスとして店側が容認・管理しており、色恋営業をしていなくても同伴やアフターは行われている。
そもそも、水商売には「店の中だけでの恋愛関係」という疑似恋愛的な側面があるが、従業員も客もあくまで「店を出れば他人である」という前提に基づいているのに対し、色恋営業は「店の外でも(つまり、「従業員と客」ではなく「ただの人と人」としての関係でも)恋愛関係」だと錯覚させるものであり、商売として長続きしない、色恋営業をしていない他のキャストにも悪影響が及ぶ可能性がある、ストーカーや暴力沙汰、金銭面のトラブルに発展しやすいといった問題がある。
キャバクラなどでもそのような営業をするホステスがいるが、近年のホストクラブでは業界全体でそのような傾向が強まっているとの指摘があり、ホス狂と呼ばれるホストにのめり込み身持ちを崩す女性を多く生み出す原因となっている、
中でも「本命の彼女と錯覚させる」のを「本営」と呼び、肉体関係をたびたび持ったり果ては同棲までしても「ホストの方はただの客、金蔓としか思っていない」ということすらある。
近年はマッチングアプリなどでホストということを隠して出会い、仲が深まった頃を見計らって言葉巧みに店に引き込み、高額な酒を下ろさせるケースもある。
約20年前まで銀座の有名ホストクラブに勤めていた城咲仁は、2023年のNEWSポストセブンのインタビューにて「今のホストは、SNSを駆使して客を集めても、人間としての深みがないからトークが面白くないんじゃないかな。そうすると女の人が何を求めてくるかと言うと、色恋。そして枕なんですよ。今のホスト界はそういうスタイルになってきているみたいです」、「(いわゆるホス狂について、昔からそのような女性はいたとしつつ)でもいま怖いのは『パパ活』。自分を大事にしない女の子たちが、汗水たらして稼いだお金じゃないから、バーッと使ってしまう。お金が無くなっても“またパパ活すればいいや”っていう考えができあがっている。“パパ活の回数を増やせば、シャンパンタワーをやってあげられる”っていう発想になっちゃう。そういう若い女の子をカモにするようなホストは逮捕されるべきだと思う。僕は絶対に女性が困るようなことはしなかった」と批判している。(→当該記事)
水商売だけでなく、悪質なコンセプトカフェやメン地下でもそのような営業をするところがあり問題となっている。