概要
出会い系サイト(出会い系アプリ)と同じく、出会いの場として登録者同士のネット上での交流や、現実世界での恋愛関係に至ることを目的にサービスを提供するアプリのこと。
出会い系サイト・アプリはいわゆる「ワンナイト」やセフレなど身体の関係が主な目的である場合も多いのに対し、マッチングアプリは多くが恋人を作る「恋活」や、結婚相手を見つけるための婚活など、真剣な交際を目的とした「出会い」の場として活用されているのが特徴である。
出会い系サイトは、登録自体は無料であってもメッセージごとに都度課金制のことが多く、オープンの掲示板で相手を募集した後に個別でのメッセージのやり取りが基本となるのに対し、マッチングアプリは多くが月額制で、会員同士がお互いのプロフィールを見てから合意の上でメッセージをやり取りするのが基本となる。
GPS機能と連携した近隣のユーザーとの出会いや、アプリ内でのメッセージ機能の充実など出会い系サイトにはない利点もある。また、後述するように多くのアプリでトラブル防止のため身分証の提出など本人確認が必須となっているため、出会い系サイトで横行するサクラや、犯罪目的での利用者が介入するリスクが低いといえる。
2012年サービス開始のtinderを皮切りに数を増やしており、それぞれのアプリごとに出会いの目的やマッチングの方法、ユーザーの傾向も幅広く分かれている。
日本ではアプリやソフト開発を手掛ける企業による運営が多く、サイバーエージェント運営のタップルや、リクルート運営のゼクシィ縁結びなど大手企業がサービスを提供しているアプリも有名である。また、街コンなどリアルにおける出会いの場と連携しているアプリや、結婚相談所が母体となっているアプリも存在する。
一方で、出会い系とは全く無縁なマッチングアプリも存在し、日雇いバイトのマッチングアプリ、漫画原作者と作者のマッチングアプリなどのケースもある。後者の場合はSTORIEから名前を変えたkakuzooのようなサイトが存在する。
問題点
マッチングアプリは現代的な出会いの手段として盛んに利用されているが、少なからず問題点も存在し、近年ではネットで物議をかもすことも多い。
利用料
基本的に月額課金制であるが、男性は有料で女性は無料、男女とも有料でも男性の方が高いというアプリも多い。こうした現状に対して、男性ばかりに負担を強いており男女平等に反するという意見も度々上がっている。
ただし、料金の差については恋活、デート目的のアプリには多く見られ、婚活目的のアプリは男女とも同じ値段という場合が大半である。
また、男性の方が利用者の割合が高いアプリも多く、女性を呼び込むため料金のハードルを下げているという側面がある。これは、一般的な婚活パーティや街コンなどでも同様の傾向が見られる。
情報の正確性
登録時に自らの顔写真やプロフィールを入力するが、これが全て本当の情報とは限らない。
大手のマッチングアプリでは個人情報の提出(運転免許証などの公的書類)によって本人確認をしないとメッセージのやり取りができないが、アプリによっては年齢・年収・学歴といった情報は自己申告であるため、多少盛る程度ならまだしも詐称すら可能となってしまう。プロフィールに載せる写真も加工がいくらでもできる上、ひどい場合は他人の画像を勝手に盗用していることすらあり得る。
また、遊び目的の既婚者や出会い厨だけでなく、マルチ商法・ねずみ講、宗教勧誘といった悪質な目的のユーザーが紛れ込んでいる可能性も高く、下手に出会ってしまうとトラブルに巻き込まれかねない。
高望み、ミスマッチング
自分の身の丈に合わない高スペックを相手に要求するユーザーが多く、また女性に比較的多いとされる。→参考
具体的には「高収入」「高身長」「高学歴」「長男以外」「イケメン」など。かつての「三高」にプラスアルファの要素が加わったともいえる。「イケメン」は説明不要として、「長男以外」というのは、例えば男性側が現在都会の一人暮らしで高収入であったとしても、結婚後に実家を継ぐために田舎に嫁がなければならない、夫の親の老後の面倒を見なければならない、などのリスクを避ける目的があると考えられる。
専業主婦を希望する女性の場合、男性側の年収に固執する傾向も見られる。
そもそもこれらを満たしているような理想的な男性は自然に恋愛結婚で婚活市場から早々に「卒業」していくことが多いため、マッチングアプリ上に現れない可能性も高い。
男性でも、恋愛対象となる年齢を本人の年齢に応じてスライドさせず、自分よりかなり年下の女性にしつこくアプローチをかけたり、同年代の普通の容姿の女性に対し「ババア(売れ残り)」「ブス」などと暴言を吐いたりといった問題行動がある人も見られる。
個人情報
名前や住所、クレジットカードの支払い情報などの個人情報の流出や悪用のリスクは存在する。2021年には、あるマッチングアプリから身分証を含む大量の個人情報が流出し、問題になった。
また、アプリ側に問題はなくても、プロフィールに利用している写真や自己紹介からの個人情報の特定や(実際にマッチングした後に)ストーカーなどの被害に遭う危険性もある。
広告の表示頻度
2021年頃から、主にYouTubeを中心にマッチングアプリの広告が表示される頻度が高くなっているという見解がある(※一部はターゲッティング広告のため、その時閲覧しているWebサイトに合わせて出ていることもある)。
多いだけならまだしも、基本的に18歳未満の使用が禁止されているにもかかわらず、使用アカウントの年齢設定をすり抜けて広告が表示されているというのが大きな問題となっている。
出会い系サイトを含めたインターネットを利用した異性紹介事業は、法律によりテレビCMの放送が規制されている(例えば結婚相談所「ペアーズエンゲージ」のテレビCMは放送しているが、母体となるアプリ「ペアーズ」はWeb広告のみの展開である)ため、どうしてもYouTubeなどのWeb広告の比重が大きくなってしまっているという現状がある。→参考
出会いがあると思ったら
ここ最近、目撃事例があるもの。出会いがあると思ったら、実はマルチ商法の違法勧誘に転用されていたという事例がある。
詳細は割愛するため、各自でニュースを検索のこと。