概要
「僕」の他にもぼく、ボクなどとも表記される。古風な表現ではやつがれとも。
現在も下僕という単語が残っているように、元は「しもべ」という意味の単語であったが、少年の一人称として推奨される中で児童文学等を通じて穏やかで優しめなイメージが普及していった。
成人後もそのような性格の男性を中心に使用を続ける例も見られるが、あくまで幼児語として広まった単語であるため公的な場所には相応しくないとされる。また、女性が用いる事は性的倒錯の一種であるとして、年代や場所を問わず否定されるべきとされる。そう主張している柳田國男は、明治時代女性の一人称として「妾」の音読み「ショウ」が使われていた旨を紹介し、こちらは廃れたので「いずれ『ボク』も消えるであろう」と言っている。
1960年代後半からは、少年漫画の主人公を中心に少年像が「優等生」から「ヤンチャ」「悪ガキ」に代わっていった事に伴い、一人称も「僕」より野性味のある「俺」が卓越するようになっている。
そうした気質を持たない少年達にとっては、ともすれば「反抗期」と見做されかねないそのような一人称を受け入れるかどうかが、新たな思春期の葛藤として追加される事となった。
この傾向は令和に突入した現在でも続いており、少年漫画や男子向けアニメ・ゲームより深夜アニメの方が「僕」を一人称にしている主人公を見かける可能性が高い。
長寿アニメについてもキッズ・ファミリー向けが多いため、その男性主人公(ドラえもん、アンパンマン、しまじろう、はなかっぱなど)の一人称も「僕」の割合が高い。
ネット上においては俺、俺氏、拙者、ワイ、自分、私、わしという一人称の他にも僕、改変されてボキという一人称が用いられる。サイトやSNS、板によって一人称のローカル文化が異なるので、使い分けて使用されたい。
前述の通り漫画やアニメの男の主人公などは「俺」を用いることが多いが、脇役などは「僕」を用いることがある。また、女性キャラクターが「僕」を使う例もある。