概要
オーバーロードⅢの8話以降、広く認知されるようになった渾名。
主にアニメ1期の頃からの一部の視聴者が2期以降の主人公側の行動に不満を持ち、作品やそのファンなどを非難する為にアンチが生み出した蔑称を由来とし、現在も主に蔑称として用いられる事が多い。
このあだ名はいわば同門である「小説家になろう」出身の『異世界はスマートフォンとともに。』の主人公の渾名である「スマホ太郎」や、「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」の「デスマ次郎」で受けたあだ名の命名則に沿って、二匹目のドジョウとばかりにオーバーロードの主人公に安易に当て嵌めたものである
- アニメ放送語からこのあだ名が発生したと言われているが、放送前から存在していたという説もある。
本作は元々、RPGで言う所の魔王を主題に置き、主人公も世界征服を行う悪役として暗躍する『魔王もの』の作品であり、まだ人間らしさを強く残して正義感を見せていた1期とは違い、2期以降は本格的に悪の道に進み始める。
特に3期8話は見る人をかなり選ぶ内容であり、主人公側の無双回でありながら、ナザリック側の陰謀の結果、大墳墓に誘い込まれた「ワーカー(非合法活動に従事するアウトロー)」をアインズが一方的に蹂躙し尽くすという展開で、実態としてワーカーチームは強盗に押し入ったようなものなのだが、その背景を知らない初見の視聴者に物議を醸した。
7~8話ではフォーサイト一行の仲間の為に命を懸けて戦うその想いと、アルシェの帰りを待つ双子についての描写が感情移入できるほどしっかりと描かれており、そんな大切な人を待つ人々を自分の怒りのままに情け容赦なく一方的に嬲るように叩き尽くし、死体すらも利用し尽くしたアインズや守護者らの姿は、作品内最大の鬱展開であると同時に最大の問題展開であると言える。
しかも、金でやすやすと非合法な仕事を請けたとはいえ、自分達の都合で彼等を罠に嵌めたにもかかわらず、一方的にワーカー達への怒りを向けるアインズの姿は、元々そういう身勝手な一面を持つキャラとして作られた主人公だと言う事を差し引いてもあまりにも酷すぎるとして、アニメから入った多くのファンをドン引きさせた。
そして、かねてから原作信者から最大の見せ場と様々な場で宣伝されていた続く12~13話が、黒い仔山羊を呼び出す為の超位魔法で敵国の兵士を7万人殺害し、それによって召喚された黒い仔山羊がさらに蹂躙するという展開だったのだが、ここでアインズが黒い仔山羊の歴代最大召喚数成功を喜々として周囲の兵士やマーレにアピールし、挙句の果てには「喝采せよ!我が至高なる力に喝采せよ!」と高笑いしながら叫ぶという邪悪極まりない言動をした事によって、イキリ骨太郎の渾名は本格的にネット上で拡散する事となった。
さらに13話では自身の全てを賭して真正面からの一騎打ちを挑んできた騎士団長ガゼフに対して、アインズは時間停止と遅延即死魔法によるハメ技という戦法で一方的に完勝し、挙句相手にそんな力がない事を分かった上で「時間対策は必須なんだがな」と発言。これも視聴者の間で大きな物議を醸す事となった。
また、内容自体の賛否もさることながら、視聴者から「イキリ骨太郎」と呼ばれるようになったそもそものストーリー上の問題点として、このアニメの2期と3期でやった内容の大枠が「アインズとナザリックが自分達の都合の為に、マッチポンプを仕掛けて弱者を虐殺する」という全く同じ展開の繰り返しだった事である。上記した7~8話の鬱展開も12~13話の最大の見せ場とされる展開も規模が違うだけで大枠でやってる事は同じである。
このせいで、よりアインズが弱者を相手に一方的にイキっているというイメージが強化されてしまい、一部の視聴者からは「中二病の人間が、アリ相手に「ゴッドフット」とか言ってアリ踏みつぶしたり、十階位魔法「ゴッドウォーター」とか言ってアリの巣穴にホースで水流してるのを見てる感じ」などと評された。
人間を下等生物呼ばわりする、下等生物の人外の化物共という構図も不快という意味でアンチが多い原因になったと思われる。
作画崩壊
マッドハウス「喝采せよ」
カドカワ「我が至高なる采配に喝采せよ」
にこちらはアニメの品質の問題なのだが、割かし評判の良かった1期と比較して2~3期のアニメが驚く程に作画等のクオリティが落ちたのも、本作が叩かれて相当数のファンが離れた要因となっている。
そのクオリティの低さは、作画のみならず構成にも及んでおり描写不足も多々あるとのこと。
本作の熱心なファンも苦言を呈する程で、制作会社のマッドハウスへ批判が向けられるのは当然として出版元の角川書店にまで水を向けられる事態も発生し、更には何かと騒動の種となる『亡国の吸血姫』をも巻き込むに至った。
- このクオリティで全巻集めろとかいう苦行。
- 悟りを開いた一部のファンは画面を見ずにボイスドラマとして楽しむと言われている。
- 上記の最大の見せ場とされていた12~13話も、どう見ても死者数が7万人もいるようには見えなかったり、そもそも死体が人形が転がっているようにしか見えなかったり、肝心の黒い仔山羊達も場面場面で大きさが変わっていたりと極めてクオリティが低く、それによってこのエピソードの最大の売りであるスケール感が全く無くなってしまった。
ランクイン
このような経緯を経て「イキリ骨太郎」の渾名は拡散の一途を辿り、2018年のネット流行語100においては、何と作品名やキャラクター名を差し置いて“48位”にランクインした。
(参考までに前後の順位を挙げると、49位は「ミライアカリ」47位は「無限の剣製」である)
他作品
なお、本作で最大の問題となっているのは、作品以上に当作品の熱狂的なファン…俗にいう信者であり、他作品でたびたび問題行動を起こしている。特に顕著だったのが異世界かるてっとであり、登場人物である女神のアクアがアインズに対し浄化魔法をかけたのだが、これが大ダメージの描写だったのだ。この描写が信者にとっては逆鱗に等しかったようで、カルテットやこのすばのスレに殴り込みをかけ、荒らしに荒らしまくったのである。アインズが最強でないと気が済まないのか、単に心が小さいだけなのかは測りかねるが、いずれにせよ見てて気分がいい物ではないものだろう。(他にも他作品の太郎付けで荒らしまくったりもしており、鯖太郎の件では意気揚々とこの蔑称を広めていた。それだけにとどまらず信者はこの作品に対し異常に執着しており、徹底的に貶める行為に尽力していた。)
擁護意見
なお、このままでは一方的に偏見を煽るため、擁護のための説明をつけたい。
事の発端は、ナザリック地下大墳墓に無数のトラップがあり、これがゲーム時代、難攻不落の要塞としてナザリックを支えていたのだが、異世界では作動するのか不明だった事に由来する。
自軍と対抗しうる可能性をもつスレイン法国の存在もあり、防衛を左右するトラップの実験は、仲間たちの残した子供に等しいNPC(中には現地の冒険者よりも弱いレベル1の下級メイド達もいる)を守るためにも、アインズは入れるのを内心嫌がりながらやらざるおえなかった。
原作者もアインズの精神の歪さは十分に理解しており、内に籠って仲間を作らず、周りの被害を無視する姿を『傍迷惑な狂人』『ゲームにすがっていた可哀想で哀れな人物』と称しており、決して「アインズが正義」とは描写していない。
それに加え「そもそも『魔王もの』なんだから主人公の悪役ムーヴは当然でしょ」というごもっともな意見もある。
逆に言うと「魔物の守護者たる魔王vs勇者と言う名の侵略者」や「魔王と勇者が協力して戦争の黒幕を倒す」と言った感じの『魔王もの』が多過ぎた弊害と言えるのかもしれない。言うなれば、読者が「アインズが正義である事を勝手に期待して勝手に裏切られた」と言う事である(イキリ問題以前のアインズの言動も敗北しないためのリスク管理であって、決して正義感から来た行動ではない)。
チートな能力もただのゲームの借り物ではなく、500ある魔法を全て暗記、プレイヤースキルが無いと使いこなせない構成等、アインズ自身の努力の上で成り立っている事を忘れてはいけない。
また、フォーサイト一行もアインズの存在を知るよしがなかった事、アルシェの借金返済という仲間の為の目的がありながらも、遺跡荒らし(アインズ視点では不法侵入・窃盗・強盗犯)という犯罪を犯していることを留意しなくてはならない。アインズからすれば、盗みを働く悪党だからこそ容赦がないのかもしれない。
そして何よりヘッケランは、『アインズの仲間』という最大の地雷を生き残るためとはいえ、嘘をつく形で踏み抜いており、再開できる可能性でぬか喜びさせられたアインズを怒り狂わせたのも自業自得と言える面がある。
どちらも仲間の為にモラルを捨てて突き進んだ結果、生まれたのが『イキリ骨太郎』という、両者どちらも蔑ろにしかねないオーバーロードという作品に対する蔑称であることを忘れてはいけない。