Tu-22M
とぅーどゔぁーっつぁちどゔぁーえーむ
概要
アメリカのB-1と同じく、可変翼を採用した旧ソ連・ロシアの爆撃機。
型番は「Tu-22改」という意味だが、発展元のTu-22とはすっかり別物になった。
原型機のTu-22からのあまりの変わりぶりに登場当初は「Tu-22Mは偽装で本当は別の型番なのだ」と信じられていた。
しかし、実際は偽装でも何でもなく、発展型と主張せざるを得なかった事情(主に資金の問題)があったのだ。
『Tu-22Mは偽装の型番だ!』
これは当時の西側の情報機関の深読みで、本当の型番はTu-26だと考えられていた。
実際は他にも記す通りである。
ブラインダー⇒バックファイア
正直言って、Tu-22から変わっていない所を挙げるのが難しい程に同一箇所が少なく、「爆弾倉と前車輪のドアだけ共通」と言われる位に別物であり、エンジンを新型のターボファンに換装し、更に機体そのものも可変翼を採用している。
この機がTu-22の改良型を名乗っているのは、単に予算を獲得しやすかった為である。
実戦
しかし、アフガンではゲリラ戦が主であった為あまり役に立ったと言えなかった。
ソ連崩壊後は、ロシア連邦を含む旧ソ連構成国に継承されたものの、ロシア連邦軍以外では持て余してしまったため徐々に戦列を離れて解体された。
ロシア連邦では、1995年の第一次チェチェン紛争、2008年の南オセチア紛争に投入されたが、この際1機が撃墜されている。
2015年からはシリア動乱に投入され、アサド政権の支援とダーイッシュの殲滅に当たっている。
2022年からはウクライナ侵攻で投入され、巡航ミサイル等による長距離攻撃を行っていたが、2024年4月に1機がウクライナ軍によって撃墜された(ロシア側は故障による墜落だと発表した)。
主な派生型
ロシアとウクライナに配備されていたが、ウクライナでは2006年を最後にすべて退役している。
Tu-22M0
9機製造(+強度実験用胴体1機分)された原型機で、M0だけは主翼半ばに後端まで続く大きな突起が突き出ている。
エンジンはNK-144(Tu-144用ターボファンエンジン)を間に合わせに搭載。
Tu-22M1
主翼半ばの大きな突起が無くなり、エンジンを本来のNK-22とした先行量産型。9機製造(+強度実験用胴体1機分)。
性能は生産型に近くなり、実戦化のために様々な手直しが入る。
Tu-22M2
本格生産型。M1からは更に洗練され、実戦仕様となる。胴体は再設計され、乗員は4名に。1972年から83年にかけて211機製造。
Tu-22M3
空力を更に見直し、エアインテイクがF-15やMiG-25のような形状に。268機製造。
エンジンがNK-25に強化され、高高度ならばマッハ2で飛行できる。爆撃照準器を更新し、爆弾倉には回転式巡航ミサイルランチャーが実装され、1993年まで製造され、現在は約60機が現役だといわれる。
Tu-22M4
NK-32エンジン、精密誘導兵器に対応した爆撃コンピュータ等のTu-160用装備品を適用し、さらに強化される予定だったもの。1983年から開発が始まり、試作機が1990年に完成するが、翌年には計画中止となった。完成した試作機は現在リャザンの航空博物館に展示。
Tu-22M3M
21世紀になり、SVP-24-22爆撃コンピュータ・NV-45レーダーシステム・航法装置「GRONASS」など、Tu-160M2に用いられた技術を応用し、近代化を図ったもの。グラスコクピット化され、電子機器の80%は入れ替えられたというから、これはもう外観だけ似通った別物に近いだろう。ロシア空軍はおよそ30機をこの仕様に改造するものとしている。