概要
『少年ジャンプ+』にて2022年9月11日より連載中の漫画(毎週日曜更新)。原作:上之心々、作画:ナベツヨ。
元々は上之氏がニコニコ静画やジャンプルーキーに投稿していた作品であり、閲覧数上位に喰い込みながら突き抜けられない期間が続いたが、2021年10月の連載争奪ランキングで遂に1位を獲得。念願のジャンプラでインディーズ連載を勝ち取った。
なお、連載が1年近く続いているがインディーズ連載のままなので、同じくジャンプルーキーから連載を勝ち取った『ラーメン赤猫』や『幼稚園WARS』とは違い、全話無料で読むのが可能。
なお、連載に当たって上之氏の画力不足を補う為にナベツヨ氏が作画を受け持つようになった。これに伴い、上之氏が描いた旧版は一部を除き非公開となっている。
2024年2月25日にて、第1話までのエピソードを〈第1部〉として銘打たれ、同1部が完となった。
あらすじ
「忌む眼」と呼ばれる不幸を呼ぶ眼を持った少年マヌルは、戦闘能力が低いながらも幼馴染の勇者率いるパーティーで力を尽くしていた。が、勇者を支えている他の仲間から無能と見なされて一方的に追放処分を受けてしまう。
追放されたマヌルは故郷の村に帰る。しかし彼を迫害せず接してくれた育ての親は既に亡くなっており、家も謎の噴水へと建て替えられていた。
故郷からも事実上追放され、育ての親の遺産を手に放浪を始めたマヌル。それでも勇者の役に立つべく伝説の霊薬「賢者の石」を求める旅に出ようと考える。
手始めに赴いた武器屋で店主に差し出された正体不明の伝説級武器(レジェンダリーウェポン)を遺産の全額を使い切って購入するも……それは外す事の出来ない呪われた針(攻撃力1)だった。
作風
スキルやLv等のRPG風世界を舞台にした追放ものの一種だが、主人公が現状害悪でしかない特性「忌む眼」を持つ厄介者であるため、序盤から延々と迫害され続け、成り上がりとは縁遠い展開が続く。
描写は良くて丁寧、悪し様には冗長であり、登場人物の思考回路が細かく描かれるのが特徴。
また、本作は人間の他にエルフや魔族、オリジナル種族のクオンツ族などの亜人種がいるが、この内で人間の大半は悪辣な人物が占めており、マヌルやクオンツ族への不当な迫害を始めとしたシーン等々、精神衛生的に良くない描写が多い。
登場人物
王国
- マヌル
本作の主人公。
勇者と仲の良い幼馴染の少年であり、勇者の頼みでパーティーに加入していたが、ケンシとティゴの目論見でパーティーから追い出される苦難に陥った。
感情が高まるとあらゆる災厄を呼ぶとされる『忌む眼』になる特殊体質で、そのせいでそれを知る人間達から絶えず迫害を受ける。
自身の境遇や養父の教育のお陰か、救いようがない悪人以外は性善説の下に信じ慮る善人として描かれているが少々行き過ぎた節があり、モンスターを率いて侵略した挙句アレクサンドラ隊を殺害した(その中にはマヌルの命の恩人であるサンドラも含まれる)アドラメルクに対し「正当防衛をしていただけ」「キミが悪いとは思えない」と怒りも憎しみも見せずに笑顔で「パン食べる?」と気遣っている。
アドラメルクとのやり取りから魔族との内通を疑われ、王国を追放された際には「処刑されないだけ温情」「仕方がないが妥当」等の感想も見られた。
攻撃力1の針で装備が固定化されてしまった都合上、攻撃能力は極めて低い。
しかし、大型野生動物の爪牙を1度見ただけで見切り、更に足場の悪い森林で完璧に躱すと回避能力は十分に高い様子が窺える(これは勇者の過去編にて座学を徹底的に行い、時に実践経験を踏まえた賜物であると思われる)。
サバイバル能力も勇者パーティの旅についてこれた程度には高く、片道3カ月の山道を荷物も持たず単身踏破できる実力を持つ。
落石を起こしたり、敵の攻撃を利用して攻撃力不足を補う、相手の攻撃パターンを素早く割り出す辺り戦闘に関しては一応頭も相応に切れる一方で、最序盤かつ平時では人の良さが災いし、武器屋の詐欺で育ての親の遺産を全て取られたり、勇者パーティや王国など悪意を持った者に対してあまりに無防備過ぎた。
職業は「薬師(くすりし)」。その固有スキル・「アトムスフィア」により、薬草を口に入れずに回復効果を抽出して傷を治療できる。
薬草は普段から買い込んでいるのか、戦闘中にどこからともなく取り出して自身の負った傷を治している。
メイスを持った敵に背中をブン殴られても、呻き声だけで即座に治療行為に移れるだけの忍耐力・耐久力、前述の回避能力や分析力も合わせ、作中で共闘したカルセドからはサポート役として高く評価されている。
クオンツ族との修行により効率的な闘い方を覚え、帝国の強敵を倒して強くなった。
- 勇者
異世界やRPGでお馴染みの勇者。魔王を倒すため旅をしている。
ボクっ娘の美少女。本名は不明で全員から『勇者』と呼ばれている。本名が明かされない理由は、勇者の名にあやかって同じ名前の子供が増え過ぎてしまうのを防ぐ為らしい。
マヌルとは仲が良く、彼女自身は後述の過去もあって「わたしの勇者」と呼ぶ程に彼を慕っている。
それ故にマヌルがいなくなった時には思わず取り乱してしまい、追放されてしばらくの間は「心が動かない」のを理由に本来の動きを失い、他の仲間の足を引っ張るまでに精神的に参っている様子が描かれている。尚、他のパーティメンバーが「マヌルが自らパーティ脱退を申し出た」と説明した為、彼女は真相を知らない。
仮にマヌルの有効性を仲間達に伝えたとしても、逆にケンシ達に余計に逆恨みを受けるだけで結果は変わらなかっただろう。
web漫画でその後の勇者一行の様子を読めるが、漫画を拡大表示出来ないので漫画が読みにくい。
後に勇者の過去エピソードにて、個人名のキャピタルが『シ』である、勇者のジョブに就く以前の一人称が「わたし」である、マヌルの決意表明を聞いて勇者としての覚悟を決めた等が判明した。
だが、第86話にてマヌルを失った悲しみ(と彼に対する世界の理不尽さ)で勇者は倒れ、更に第89話でメンバーのマヌルの痕跡消しに加え、王国サイドの一方的なマヌルの死亡宣言(実際は生存しているが)、更に「マヌルを救えなかった」とする自責の念の爆発で遂に精神の限界を迎え慟哭、続く第90話で意識不明に陥ってしまう。
そして、第93話で意識を取り戻すも、やはりか記憶を失ってしまった……が、第99話で記憶がないなりに勇者の役目を果たそうと奮起する。
- オウルタニア
マヌルの今は亡き養父で、生前は『魔道書士』のジョブに就いていた。
本編開始の時点で故人であり、第1話では名前が言及されるだけだったが、後に勇者の過去エピソードで生前の彼の様子が描かれた。
ほぼ全ての村人が『忌む目』を理由にマヌルをあからさまに忌避・虐待する中で、数少なく分け隔てなく接する人格者である(他には勇者と彼女の養父であるゼイアスも該当する)。
忌み嫌われるマヌルを我が子のように真摯に接し、彼のどんな悩みを聞き流さずに真っ正面から受け止めて答えていた為、マヌルが生い立ちに負けずに真っ直ぐ育ったと思われる。
また、亡くなる寸前までマヌルの今後を心配し、多額の遺産を彼に継承させた(しかし、多数の邪推の連鎖により、その遺産は最悪の形で失った)。
劇中でも相当の人格者であるが、マヌルに深く関わるオウルタニアの姿勢は、周囲の人間から内心良く思われていなかったようで、彼の死後その土地は強制的に徴収・更地にされた挙げ句、ランドマークの噴水が建てられた(=追放された直後のマヌルの最後の砦を取り上げた)。
- ケンシ
勇者パーティーのメンバーの1人で、王国では著名な武門であるブレイドル家の出身者。
鎧を着た偉丈夫で、パーティーの中で最も真剣に『魔王の討伐』を考えている。それ故に、勇者のコネと頼みでパーティー入りしただけの凡人であるマヌルを疎ましく思い、浅慮のままにマヌルを追放した。マヌルを追放する際、彼と仲の良い勇者から大反対されるのを事前に予期していたので、勇者が寝ている内に手を打ってその日の内に追放させた。
ただし、目的達成を最優先する余りに、それ以外の事柄をとことん切り捨てる酷薄さを持ち、故に本来勇者パーティーが守る民間人をも軽んじる選択を容易く選ぶ、(ケンシ達の謀略が原因の)メンタル不調で倒れた勇者を叱責する等々、冷血漢じみた合理主義者でもある。
更には、自らの家名や勇者パーティーに居る現状から歪んだ優越感に支配されており、後に自分達と同等かそれ以上の強さを持った冒険者(=修練を積んだマヌル)の話を聞いて眉をひそめる、手合わせした実父のケンエイからの酷評を「自分以外に原因と問題がある」として頑なに認めない、後述のティゴの後悔を「自分の選択が絶対だ! 余計な感傷に浸るな!」と一蹴する等々、極めて理不尽かつ狭量な一面も暴露した。
王国に帰還した際に実父と手合わせを終えた直後、王国大臣から「国防の為に勇者パーティーを抜け、騎士団に戻って欲しい(要約)」との要請を受けると、実父と違い自身を手放しで称賛した大臣の甘言に加え、今までの勇者への不満も合わさってそれを快諾、遂に勇者を見捨てるようにパーティーを離脱した。
尚、第100話でのシャルロッテの過去シーンにて、若い頃のケンシと思われる人物が登場するが、仮にケンシ本人であれば既にその頃から『目に見える強さ以外を切り捨てる短慮』と『「才能がない」と判断した存在を平然と見下す傲慢さ』 が形成されていた模様。
- ティゴ
勇者パーティーのメンバーのl人。
上半身の露出が激しい格好をした気の強い女性であり、ケンシと同様にマヌルを疎ましく思っている。気が強くて感情的な一面を見せる一方で、金にうるさい性格をしており、無駄な出費を嫌ったり、マヌルの装備を金に換え自分の物にする等の悪行をした。ちなみに、追放時のマヌルに対し『追放もの(と某RPG)』の定番である『装備とアイテムの全てを置いていく様に命じる』を行った。
ケンシと違い『魔王の討伐』に対するウェイトが軽いようで、後に自分達と同等かそれ以上の強さを持った冒険者の話を聞いて、眉をひそめるケンシを軽口まじりにたしなめた。
また、第90話でマヌルの死亡宣言で倒れた勇者を見たティゴは、漸く「マヌルを追放したのは正しかったのかな?」 と自身の短慮に後悔し始めた。
上記の件以降から真っ当な感性となっていき、第99話での大臣の横暴(=記憶喪失に陥った勇者を無理矢理戦場に立たせるため、一般国民を目抜き通りに集めて「勇者が必ず王国を救ってくれる!」と派手に宣伝し退路を絶たせる )に対し、利き腕に青筋を浮かべる程に激怒した。
- カスパー
マヌルと入れ替わる形でパーティー入りを果たした青年。
丁寧な口調で話す優秀な魔導士であり、ケンシ曰く「マヌルの完全上位互換」。穏やかそうな人物ではあるが「忌む眼」の件があり、マヌルが勇者に宛てた手紙を勝手に燃やす、ティゴのマヌルの装備品を売り払い着服したのを黙認するような陰湿な一面がある、ケンシの悪辣な合理主義を肯定する等々……(マヌルが疎まれている事情を加味しても)好漢と評し難い人物。
尚、マヌルが運んでいた旅の荷物類(ティゴ曰く「結構な重量」)は現在彼が運んでいる。
後にその出自の一端が明かされるが、彼の実力に鼻を掛けた悪辣さの根底には、父の歪みに歪んだ実力主義に毒された からと推測、前述のマヌルとオウルタニアとの関係とを併せて見ると、あらゆる意味でマヌルの対極に就く存在と評価できる。
第90話にて、勇者が抱くマヌルへの一途な想いを目にするや、カスパーは「自分は誰よりも勇者に尽くしている以上、自分は1番に報われなければいけないんだ!(要約)」と激怒(尚、後に勇者に「今まで『与えられる立場』の人間だった自分が、初めて『与えたい存在』になりたいと思った」 と自認するぐらい惚れていたようだが、上記のセリフから察するに好意にかこつけた支配欲に過ぎない)、マヌルに対する怒りを晴らすべく無関係なモンスターの虐殺を開始するも、直後にアスタロトと邂逅し開戦。
その際に自身が知らぬ間に父の研究の被験体(=〈闇アニマ〉の生け贄)にされていた事実を知る。
- シャルロッテ
第99話でパーティを抜けたケンシに代わり、勇者の下に現れた女性。
純粋に「人々を守りたい」意思から王国に命じられるままに勇者パーティに参加する潔さを見せる一方で、ティゴから「勇者が記憶を失い戦えない」と告げられると「(大臣からの伝達書は内容が曖昧だから)勇者様が戦えないのでしたら、断れば良いのではないですか?」とその意図も気付かずに返答するなど、良くも悪くも普通の視野・目線の持ち主である。
第100話で早速彼女の過去が描かれ、純粋に「モンスターの脅威から人々を守りたい」とする高潔な精神から騎士となる決意をし、更に当時の先輩(ケンシと思われる輩)から愚弄されると、「私の問題点を明示してくれてありがとうございます。他の人からしっかりと突き付けて貰えた方が、自分の至らなさや努力の方向性が分かりますので(要約)」と返答すると、マヌルに通ずる生真面目さ(と、他者からの悪意に対する鈍感さ)が披露された。
続く第101話では騎士養成所の門を叩く前の過去として、母と共にモンスター襲われた勇者に救われたため「立派な騎士となって勇者パーティーの一員になる」とする原典も描かれた。
- メローナ
第100話(の過去シーン)で登場した女性で、ジョブは『板金職人(見習い)』。
シャルロッテとの遣り取りから、彼女とは幼馴染みと思われる。
- ベスター
第101話で登場した男性で、ジョブは『騎士』。
初登場の時点ではケンシと変わらぬ傲慢な小者だったが、第101話でシャルロッテとの模擬戦にて彼女の覚悟と自分の浅はかさを悟って以降、彼女の理解者として真っ当かつ友好的な関係を築いていく。
- アレクサンドラ隊
『剣聖』アレク、『魔導大元帥』のサンドラ、『戦極侍』のムサシ、『大明師』のちくわの4人で構成される王国最強の部隊。
グランドブリッジに侵攻・滞在する魔族の軍勢を文字通り一掃していったが、その軍勢の指揮官のスキルとは相性が最悪だったために、ちくわを残し全滅した。
勇者の仲間や王国の人々と比べ、珍しく全員がまともな善人だったのが悔やまれる。
後にムサシは魔族の勢力でアンデッドに等しい状態で復活する、サンドラは『世界5大魔導士』の一員である等々と、死した後も相応の影響を与えている
- 王国大臣
マヌルと『大明師』ちくわの話を聞いて判断を一旦は保留にし、後日情報収取した結果、弱者であるマヌルが無事である理由を魔王軍の配下と考えて疑い、村がマヌルに擦り付けた育ての親の命を奪った悪行を信じて「咎人の烙印」を押すが、『忌む眼』で彼の死後の厄災を恐れて処刑を断念し、他国に生かしたまま捨てさせた。
一方、魔族1人(魔王軍の幹部・四魔天である情報は知らない)にアレクサンドラ隊がほぼ全滅した都合の悪い事実は認めなかった。
魔王軍の攻撃によりアレクサンドラ隊が『大明師』ちくわを残してほぼ壊滅した為、魔王軍討伐後の国同士の侵略戦争を極度に恐れている。
再登場した際には、強くなった勇者の為に『新たな武器の授与』を提案をするも、その管理者が不在であると知るや地団駄を踏んで喚き散らすと、人員の管理不足と報連相の不徹底まで見せる無能ぶりを曝した。
第99話でティゴの項目で述べた通り、記憶を失った勇者を無理矢理戦わせるため、事実上戦えない国民を人質に取る謀略を振るう醜態まで見せている(一応、同99話で彼の横暴が補足されている)。
- ケンエイ
第88話で登場したケンシの実父にして、ブレイドル家の現当主で王国騎士団の長を務める武人。
謹厳実直を絵に描いたような硬骨漢であり、職務に対しては極めて真面目。
また、役職もあって実子や部下を問わずに、厳格かつ的確な実力で評価を下そうとする。
再会した実子の問題点を見抜き、部下との手合わせでそれを悟らせようとしたが、上記の通りケンシは責任転嫁に終始した挙げ句、大臣の甘言に溺れ勇者パーティーを抜けてしまうと、愚息の実力こそ見抜けていたが見下げ果てた人間性までは見抜けなかった。
- イサリス
王国に所属する女性エルフで、ジョブは『魔物学者』。
勇者になったばかりの勇者と付き添いのマヌルに対し、自身の知識を授けるべく講義したようで、恐らくだがマヌルに対する差別意識は薄いと思われる。
- イオリ
アレクサンドラ隊の一員であるムサシの実子。
父亡き後、彼の跡目にならんと修練に励んでいたが、『王国襲撃作戦』決行の夜にモンスターと化した亡父と再開する……。
- レオン
第100話(の過去シーン)で登場した男性で、登場した時期や立場から騎士と思われる。
教官としては文字通りの鬼教官であるが、些細な事柄を見逃さない視野を持つ上、本人の才能や実力以上に揺るぎない意志の強さに重きを置いている。
クオンツ族
猫のような獣の外耳を備えた亜人種の総称。
寿命が近付くと肉体が宝石状の鉱石に変質する特性を持つが、その特性から人間から「不治の病『石化病』の原因」と言われなき悪評を押し付けられた挙げ句に、殺戮の対象にされてしまう。
しかも、今となっては前述の悪評すら風化し「人間ではないから」や、クオンツ族の死骸たる鉱石を「装飾品として得たい」から殺そうとする人間も居る。
- コハク
人間から迫害されているクオンツ族の1人で、クオンツ族が隠れ生きる里の長を務める女性。
若い頃は血気盛んであったが、戦争の悪循環に気付き自衛のため以外の戦争を否定するようになる。
瀕死に陥ったマヌルを救い、同じ『人間に迫害されている身の上』であると知り彼を親身に接している。
実はLv99を突破した「超越者(リミットブレイカー)」で、里内で比肩する者のない実力者。
尚、〈第1部〉終了後の幕間に当たる第78話では、マヌルが不在になって職務が手に着かない状態になっている、ルリの「だったら結婚をお願いしたら良かったんじゃないですか?」発言に顔を紅潮させる様子から、彼に対し異性の情念を抱いている節が露見された。
- ルリ
クオンツ族の女性。
普段はヒヨコそのもののモンスター・コッコ族を飼育しているが、本職は武道家で蹴り業に特に長ける。
コハクに次いでマヌルに優しく、特にコッコ族の「気に入った存在を見つけると、何があってもその存在の元へ向かう性質」でコッコ族がマヌルの元へ向かったのを見て、彼への警戒心は早期に解いている。
- オニキス
『蟲師』のクラスに就くクオンツ族の少年。
本来は快活なタイプだが、クオンツ族の現状とそれを生んだ人間への憎悪や、後述のカルセドの出奔から攻撃的かつひねくれた言動なってしまった。
後にカルセドの出奔の真相や、マヌルの誠実を併せて知って以降、己の不誠実に苦悩するように……。
- カルセド
クオンツ族の1人。
一族の抱えるとある問題のため里の外で生活していたところ、彼を捜索しにきたマヌルと出会い意気投合する。
だが、2人で協力して大型の魔物を撃破するも、その時の負傷により車椅子生活を余儀なくされる。
更にその後クオンツの里に帰還する途中で帝国のけしかけたシャドウフォックスに襲撃され、マヌルを守るため手持ちの爆弾で自爆した。
しかし、後に幕間第5話にて(結果的に軟禁に近い状態ながらも )生存していた実態が判明した。
- モリ爺
クオンツ族の先代の里長。
『クオンツ族を守る場所を作る』のに人生を費やした人徳者であるが、劇中では余命幾ばくもない身であり、結晶となって果てた。
連邦
王国と共に対魔族の共同戦線に参加している国家。
連邦の現トップや関係者に『魔導大元帥』のサンドラが挙げられている様子から、恐らくエルフが主権を得ていると推測される。
- タルタリア
連邦の現トップを務める才媛。
厳格な言動を見せており、後述の帝国のユリウス皇帝に対し毅然とした態度で毒を吐いている。
現在は実の妹が『MP(=魔力)がHP(=体力)に変換される』呪い(※この世界のエルフは魔力だけで構成された非物質的な種族であり、故に魔力の欠乏=死亡に繋がる)により、余命幾ばくもない状態に陥ってしまい、それに焦燥感を覚え余裕を失っている。
- ファランドール
幕間第3話で登場した人物で『世界5大魔導士』の1角にして『錬金の魔導士』と讃えられる。
自身の技術で数多くの薬剤を造り上げ医療水準を上げる、孤児を率先して養い様々な人材育成に励む人格者に見える一方、裏では「使えない」と判断した人間を容赦なく人体実験で使い潰す、ユリウス皇帝と結託し禁忌の研究に勤しむ等々、己の知的欲求を満たす以外の感心がほぼない狂人が実態。
しかし、上記の悪行の報いなのか、現在は数少なく愛情を傾けていた息子(血縁か養子かは不明)の出奔により精神が半ば崩壊し、唯々絶望に打ちひしがれるだけの日々を送っている。
もっとも、最愛の息子すらユリウス皇帝から依頼された研究の被験体にしていた上、その真意を知った息子から「クソ親父」と胸中で罵倒される様子から、互いに利用価値の有無による打算の関係でしかない模様。
帝国
魔族の領土から最も遠い場所に位置する。対魔族の協同戦線に参加していない立場上、他国からは嫌厭されているが、代わりに資金援助等の後方支援を行い黙らせている。兵器開発に余念がなく、数々の魔導兵器を製造・保有している。
現皇帝のユリウスは所属する将兵の思想を『~~の正義』と称し判断しており、それによって相応の差配を行っているのもあって、弱肉強食あるいは世紀末を思わせる程に苛烈な実力主義が蔓延している。
- ユリウス皇帝
皇帝の座に就いている野心家。
マヌルと同じく「賢者の石」を追い求めており、精製の為の材料を集めている。
その中の1つが鉱石化したクオンツ族であり、連邦への援助を名目にクオンツ族の住む一帯を借り上げて侵攻作戦『クオンツ殲滅作戦』を発令した。
だが、予期せぬ事態の頻出に上記の計画が完敗そのものの形で失敗してしまう……が、ユリウス皇帝自身は(ある1点を除いて)大きく取り乱さないどころか「今回の大敗を自戒と次の作戦などの糧にする(要約)」として、共同戦線に加わる各国トップに此度の敗戦から得た事実と推測を共有する選択肢を選ぶと、王国の首脳陣よりは『国のトップとして相応しい冷静さ』を備えている。
だが、同時に自身の目的の為ならば、例え自国の兵士であっても本人の意志を無視して捨て石にする面も見せてもいる。
- ハイバニア少佐
帝国の持つ鉱山を管理する少佐。美しい宝飾品を好んでおり、鉱山で採掘される宝石類を横領している。
その上、危険は部下に丸投げし自分は安全圏で敵を相手に拷問を楽しむ、劣性になれば保身を最優先に平気で部下を見捨てる、自分の思い通りにならないと怒りから喚き散らす等々、本質的には見るに堪えない人間性の持ち主。
マヌルとカルセドを隠密に尾行させてクオンツ族の隠れ里を特定。その功績と本人の強い意向により彼女の宝石の為なら出世を断る『宝石の正義』を認められ、ユリウス皇帝から『クオンツ殲滅作戦』の指揮官を任される。
もっとも隠密隊長とユリウス皇帝によって、最上級の結晶となりえるコハクの存在は隠蔽されており、上記の人間性も合わさって信頼はされていない模様。
- ドレッドノート大将
帝国最強に上げられる一人で帝国の大将で「戦闘狂」、コハクと同じ超越者。純粋な戦闘力のみで地位を駆け上がった。漫画版第45話で初登場。
「力こそは正義」とする思想を「力の正義」と見なされ、ユリウス皇帝に認められている。
過去にコハクによって父親代わりの人物を殺害されており、その復讐に燃える。
「クオンツ殲滅作戦」の成功率をあげる為にハイバニアの補佐を担当させる……のはユリウス皇帝の表向き理由であり、実際は「超越者コハクの純度の高い結晶を『賢者の石』の研究の為に最優先で確保したい意向で、『宝石の正義』を貫くハイバニアにその存在を知られるのは帝国にとって良い方向に進まない」と考え、内密に彼に『コハク暗殺』と『コハク結晶の確保』の任務を任された。
- ヴァンガード大将
帝国最強に上げられる一人で「皇帝の側近」。戦闘能力、知略、統率力にも優れたオールラウンダー。漫画版第45話で登場した。
- 隠密隊長
帝国やユリウス皇帝の命令を最優先して行動する職務に忠実な人物。ドレッドノート大将以外で『コハク暗殺作戦』をユリウスに知らされていた唯一の人物。暗殺の標的であるコハクを釣る為、マヌルをおびき寄せてドレッドノートと闘わせた。
無所属
- ノヴァ
幕間第4話で登場した人物で、ファランドールと同じ『世界5大魔導士』の1角に数えられる。
命の恩人に相当する少女のリリィを石死病から救うべく、人間界のどの勢力にも属さず孤独に研究を続けている。
現状は『石死病の治療法の発見・確約』に生涯を捧げており、その邪魔になる人付き合いを嫌い避けている。
その一方で「真摯な態度で頼み込む人は無視できない」として依頼を受ける人の良さや、瀕死の人を見るや「他の人を救えなければ君(=リリィ)を救える訳がない(要約)」との志の高さから、できる限りの策を講じて対象を助けようとする姿勢を見せる、(多少の打算こそあれど)クオンツ族に対する差別意識がほぼ皆無と、マヌルや勇者、アレクサンドラ隊の面々に匹敵する人格者である。
魔族
人間達が住む大陸から海で離れた孤島に住む亜人種。
人間と系統が異なる魔力・冥力を根源に異能を行使するが、故郷から離れると冥力の供給が途絶えてしまい、そうなると凡人かそれ以下にまで弱体化してしまう。
現時点でのネームドのほとんどが白黒目になっている。
- ベリアル
現在における魔王の最側近。
大局的に事態を見れる視野の持ち主であり、部下の権利の主張を聞き入れ、自らが実行するだけの度量を持つ。
- アドラメルク
魔王直属の最強戦力・四魔天の1人である魔族の女性。
基本的な言動は軽いが、敵に対しては「正当防衛」を称して容赦なく屠る。
魔王から『絶対反射(・オブ・カウンター)』のスキルを賜り、あらゆる攻撃を威力据え置きで反転し敵を屠る。その性質上、相手が強ければ強い程に優勢である反面、自分から能動的に攻められないのが弱点だったが、マヌルとの戦いから研鑽を積んだ結果、敵の攻撃を一時的に受け止め任意の方向に反射する『絶対反射【歪曲】(・オブ・カウンター・エントリーシフト)』を開発した。
アレクサンドラ隊をほぼ全滅させた後、その場に居たマヌルを「ついで」に殺そうとしたが、自身の能力がバレた挙げ句に彼の優しさに触れた為、マヌルへの敵意と好意に同時に目覚めてしまう。
独特のイントネーションの持ち主なのか、セリフ中のひらがなの『あいうえお』と『やゆよ』が小文字で表示されている(実例:「どゆ事」→「どゅ事」)
帝国と戦って瀕死に近かったマヌルとコハクが魔王軍に止めを刺されずに、一命を取り留めたのは彼女のお陰である。
- リンテット
魔族の女性、アドラメルクへの言動からそれなりのポジションと思われる。
両隻眼・両偽足の身であり、一見すると猛将の風格を漂わせているが、アドラメルクとの遣り取り(=見当違いの方向に話し掛ける)を見る限り、直近で負傷しただけと思われる。
初出以降からは登場する度に上記のボケを見せるものの、根っこは部下思いの上司でもある。
- ラセツ
アレクサンドラ隊のムサシの死骸を素体にしたモンスター。
脳以外の機能はほぼ修復されている模様。
『王国襲撃作戦』のメンバーに選ばれ、ヴォドナイトと共に襲撃した際に実子と再会するとムサシとして記憶を取り戻し、息子を守る為にヴォドナイトとの戦いを決意しそれを討ち取る。
- ヴォドナイト
ベリアルに召集された魔族の1人で、全身に鎧を纏ったような風貌をしている。
セリフのフォントが他のキャラクターと異なっている上、命令に対し機械的かつ愚直に遂行する姿勢から、人工生命体の可能性があると思われた中、第96話で “騎士(ナイト)タイプのガーゴイル” 明言された。
双剣術の使い手で、帝国の隠密隊隊員を瞬く間に細切れの肉片にした。
『王国襲撃作戦』のメンバーに選ばれ、ラセツと共に王国に襲撃を仕掛けるも、ラセツがムサシに戻ってしまい刃を交える羽目に陥った挙げ句、刹那の駆け引き末に戦死した。
- アスタロト
額に第3の目を持つ魔族の女性。
落ち着いた言動をしている一方、結構の頻度で語尾がカタカナになる変わった口調の持ち主。
研究所らしき場所に居る様子から、学者と思われる。
第90話でマヌルへの逆恨みで荒れるカスパーの前に現れると、一方的に弄んだ末に自らの使い魔の1体を彼の片目に埋め込むや、嘲り混じりに去っていった。
- アルケイン
『王国襲撃作戦』のメンバーに選ばれた魔族の少年で、珍しく白黒目ではない。
一人称は「アル」と外見に似合った幼い言動を見せる一方で、与えられた役割を淡々とこなす様子から真面目な模様。
- ファング・ストーム
『王国襲撃作戦』のメンバーに選ばれた魔族。
極端に無口で自己主張はほぼしないが、その戦闘力は「一騎当千のバケモノ」と評される程に高い。