概要
鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』に拠れば、北の国に住む老農夫が、子孫の為に買い込んだ田を残して急逝した。
しかし、その息子は農業を継ぐどころか酒びたりの日々の末、折角父親が残した田を売り払ってしまった。以後、その田から妖しいものが現れ「田を返せ、田を返せ」と絶叫するようになった、と言う。
尤も近年の妖怪研究家の中には、この記述を石燕の創作、吉原の えー妖怪だけど擬人化でいいです、だとする向きもある。
なお本来は「田を返せ」というのは「耕せ」という意味で、「返却しろ」という意味ではない。
創作における扱い
ゲゲゲの鬼太郎
声 - 永井一郎(第2作)、塩屋浩三(第3作)、増田均(第4作)、大場真人(第5作)、谷昌樹(第6作)
複数のシリーズに登場しており、いずれも「住処となる田んぼを人間に奪われた事に怒って悪さをする」という点が共通している。「田を返せ」が口癖。
田を奪われない限り大人しいが為に、どのシリーズにおいても、泥田坊は「人間に住処を奪われた被害者」としてクローズアップされる事が多いが、住処である田の返却を要求する方法は俄然暴力に訴えようとするやり方一辺倒で、シリーズによっては田を奪った人間はおろか、地元の人間達やたまたまそこにいた無関係な人間達まで無差別に皆殺しにしてしまう事も厭わない等、非常に過激な部分が目立っており、泥田坊の暴走によって生じた被害も計り知れない物となっている。
また、鬼太郎が泥田坊と人間の間を取り持って双方と話し合おうとする際にも、人間達がある程度説得を聞いて自分達の言い分も鬼太郎に言うのに対し、泥田坊の場合は鬼太郎の説得に全く耳を貸さないばかりかまともに話を取り合おうともせず、ただ「田を返せ」と称して攻撃して来るだけとなっている。
そもそもの話、泥田坊誕生の起源を考慮すれば、人間としての生前の所有地であった田を死んで妖怪になった後にまで自分の物と称するのは、合法であれ非合法であれ土地の売り買いを行った者達からしてみれば無茶苦茶な話でしかなく、見方によっては泥田坊の方もかなり横暴と言える。
この為、2期~5期までは、双方が妥協する形で何とか折り合いがついているものの、第6期ではとうとう自らの行動によって死者を出してしまうという取り返しがつかない事になった。しかも、工事の責任者が死んだ犠牲者の息子で、単に泥田坊を「父親の仇」として憎んでいるだけでなく彼なりに工事を行う強い信念もあった為に、最早折り合いは付けられなくなってしまうまでに陥ってしまっている。
初登場は2期の第1話。
人間達が土地開発を進めた事で住処となる田んぼがなくなってしまい、代わりにヘドロの中へと移り住んでいた。
住処を奪われた怒りからとある港町で住民達を襲っており、町に住むカズヨシ少年の家に居候していた鬼太郎がこれを迎え撃つ事に。
熱が弱点だが水を吸収すると何度でも蘇る上に分裂もするという厄介な性質で鬼太郎達を手こずらせたが、最終的に泥田坊の体内に入り込んで脳神経を操った鬼太郎が町の学校にある小さな田んぼへと泥田坊を誘導。
「狭いが農薬も使っていない綺麗な田んぼだ」と泥田坊も満足し、一件落着となった。
3期では熱が弱点のはずなのに火を吐いている。
5期ではジャミラのように首を持たない姿になっている。
6期ではメガソーラーの建設現場に登場。メガソーラーの建設の30年前のゴルフ場建設現場にも現れている。
忍者戦隊カクレンジャー
第9話「ドッキリ生中継」に登場した案山子の様な妖怪・ドロタボウとして登場。西洋の案山子のような外見。
減反政策によって田んぼが無くなったため引きこもりのテレビオタクになってしまい、有名になってTVに写りたいと街に混乱を引き起こし、終いには交通事故やビルの爆破まで巻き起こした。
侍戦隊シンケンジャー
第三十一幕「恐竜折神」で、シンケンジャー世界において泥田坊伝承のルーツになったとされるクサレアヤカシ「アゼミドロ」が登場した。田んぼのような表皮の身体の半面に蛭を思わせる怪物が張り付いている姿をしており、非常に卑劣な性格で女子供を人質にとるという作戦を展開した。