《死》から始まる一夜の追跡劇
概要
正式タイトルは『ゴースト トリック』。
カプコン開発・発売のゲームソフト。メーカー発表ジャンルはミステリー。
発売日は2010年6月19日。ハードウェアはニンテンドーDS。
同年12月16日にiPhoneとiPod touch、2012年11月1日にAndroid版と海外版が配信・販売、2011年5月26日にベストプライス版が発売された。海外版のタイトルは『Ghost Trick: Phantom Detective』と副題が追加されている。
2023年6月30日にゲームエンジンをREエンジンに置き換えたNintendoSwitch版とプレイステーション4版が発売された。
ディレクターは巧舟。『逆転裁判3』開発終了後、「『逆転裁判』シリーズでできなかったことをやる」「新しいスタイルのミステリーを作りたい」という思いから開発された。その際の初期構想(「ゲーム画面は建物を輪切りにしたような、奥行きを廃したフラットな2Dにする」)が後の完成版に受け継がれている。
キャラクターの動きはレンダリング方式(※最初に3Dのポリゴンモデルを作り、それに動きを付けたものを縮小してドット絵の形に出力する)を用いた2Dアニメーションになっており、各キャラの動きが非常に滑らかなのが特徴。特にそれを体現しているカバネラ警部の一挙一動とボーズ係官のテンテコの舞は必見。
シュールな体勢で倒れ込む独創的なパッケージイラストからパロディとして描かれることがままある。
↑これが↓
こんな感じ。
大まかな流れとしては、目が覚めると己の命と記憶を失い幽霊になっていた青年が、特別な死者だけが持つ力を使い、自分の記憶と正体、自分を殺した犯人を突き止めるために様々な人物達と関わっていく、というもの。
なお本タグを検索するだけでもネタバレが高確率で出てくるので、未プレイの方やネタバレが苦手な方はご注意ください。
システム
物凄く大雑把に表すとリアルタイムで作るピタゴラ装置。
例えばある人物の死を回避するために「殺し屋の銃を遮断機を上げて跳ね飛ばす」「旗に通っている紐をミキサーに絡ませた後、扇風機でその旗をプレイヤーと一緒に上に移動させる」……と、下記の能力で無機物を動かし、様々な連鎖反応を起こしていく。
巧氏も述べているが、正直見てもらった方が滅茶苦茶手っ取り早いのでこちらをどうぞ。
ストーリー
目が覚めたとき、青年・シセルは既に殺されていた。しかも魂だけの存在となった彼は、命と共に記憶をも失っていた。
そんな現状を把握することもままならないまま、シセルは謎の電気スタンド・クネリに促され、自分の死の唯一の手がかりだという女刑事・リンネの死の運命を《死者のチカラ》を使って改変し、その命を救う。
しかし人助けをして安心したのも束の間。クネリから聞かされたのは「シセルの魂は明日の朝になると消滅する」という残酷な話だった。
自分は何者だったのか? 何故殺されたのか? 殺した犯人の正体は?
全てを失った代わりに手に入れた力を使い、シセルは様々な人物達の運命と人生に出会いながら、己の死の謎を突き止めるため奔走する。
用語
- 死者のチカラ
特別な死者の魂だけが行使できる能力。
使える力には個人差があり、時間経過により性質が変化することも。
トリツク、アヤツル、レンケツ、トリカエ、過去にモドル、デンワ線がある。
- コア
物体に存在する核。この核がある物にのみ死者のチカラが使える。
物だけでなく魂が残っている死体や、死の記憶が残っている生者にもコアは生まれ、その場合相手との会話が可能になる。会話といってもテレパシーのようなもので言語を必要としないため、人間以外の動物や外国人との意思疎通も問題無し。ただいわゆる「全自動」なため、思い浮かべた内容は例外なく筒抜けになり隠し事できないのが欠点。
- トリツク
死者のチカラの一つ。コアがある物体に文字通り取り憑くことができ、トリツクことでアヤツルやトリカエの力も使えるようになる。
基本的に無機物にしか宿れない死者の移動手段であり、複数のコアを経由することで長距離を動けるようになる。ただし範囲制限があり、一定空間にコアが無ければ立ち往生する羽目になることも。
なお、トリツク画面の間は時間が止まる他、暗闇をある程度見通す事も可能。瓦礫の下敷きになって見えない遺体も発見できる。
- アヤツル
死者のチカラの一つ。トリツクで取り憑いた物体を用途に合わせて動かせる。
ただしシセルの場合だと、重くて大きい物は取り憑いても動かせないことが多い他、亡骸や生き物も操ることができない。
また、闇雲に操ればいい訳ではなく、操るタイミングや操る物の順番も重要になる。
- トリカエ
死者のチカラの一つ。コアが宿っている、「2次元的に見て」同じ形をした物の位置を入れ替えられる(例えば、転がるゴミの蓋とタイヤはいずれも円形なのでトリカエできる。ただし、ゴミの蓋が僅かでも傾くとトリカエはできない)。
トリツク範囲内でレンケツができ、且つ形が同じであれば物の大きさや重量は影響しない。
- 過去にモドル
死者のチカラの一つ。亡骸のコアにトリツクことで発動し、その人物の死の4分前に戻って過去を改変できる。戻る際は死者のチカラの有無問わず、近くにいるタマシイも一緒に戻る事ができる。
死因を回避した未来を作っても、死んだ本人や同行して過去を改変した者の記憶は残る。ただし、魂が気絶していて意識がない間に改変された場合はほぼ記憶が残らない(全く残らないわけではなく、言われればぼんやり思い出せる程度には残る。ただし、コアは出現せず死者の世界での会話もできない)。また戻れるのは24時間以内に死亡した体のみ。
なお、死の4分前の間はその人物が死亡するまでは(「死より0秒前」と宣告された後でも、僅かに猶予がある場合がある)、砂時計マークで最初の時間、もしくは運命が切り替わった時点までやり直せる。
制限時間がなく何度でもやり直しができる現実の時間帯と異なり、時間経過で状況が変化し、場合によっては非常にシビアなタイミングでないと成功できないものもある(媒体によっては、そのシビアな場面でノーミスクリアすることが実績になる)。
死の4分前の間に別の亡骸が現れた場合、そこから更にその人物の死の4分前へ遡ることが可能。
- デンワ線
死者のチカラの一つ。電話にトリツクことで、知っている電話番号や通話相手の電話へと移動できる。
ただし取り憑いた電話機が壊れたり行き先が外線に繋がっていない場合、そのエリアから動けなくなってしまう。更に過去の世界では通話中且つ通話相手の電話にしか移れないと制限されている(要するに一方通行。一応、砂時計でやり直す形で戻ることは可能)。
本作のキーワード。作中序盤で言及される他、この名前を冠する公園も存在するが、その実態は謎に包まれている。
登場人物
キャラクターの名前は一部を除いて『死』に関連したものになっている。
主要キャラクター
シセル | 『ナゾマミレノワタシ』。特別な能力を持つ死者。冒頭からゴミ捨て場にて息絶えており、しかも命と共に記憶も失っていた。基本はクールでシニカルな態度を貫くが、個性の強いリンネ達の言動に時々振り回されている。 |
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リンネ | 『ネラワレタアカゲ』。とある事件を追う新米女刑事。ゴミ捨て場のシセルの死体の傍にいた唯一の手がかり。非常にポジティブな思考を持ち、負けん気も強く闊達な性格故か署内のマドンナとしても好かれている。 |
クネリ | 『ヒトスジノヒカリ』。ゴミ捨て場で蠢く謎の電気スタンド。シセルに死者のチカラの存在と使用方法を教え、今夜この街で『何か』が起こることを伝える。思わせぶりで老成した話し方をする。 |
シス司令 | 『マユゲノカイジン』。豪奢なサロンである目的のために待ち構えている謎の老人。シセルと関わりがあり、またリンネの命を狙う。老獪な人物で、目的のためなら如何なるものも切り捨てる。 |
カノン | 『チイサナレディ』。リンネと同居する少女。ミサイルと共に静かに留守番をしていたが、様々な要因で事件に巻き込まれてしまう。可憐な容姿ながらもペットのミサイルに自分のミスを押しつける強かさもある。 |
ミサイル | 『イサマシキショウドウブツ』。リンネとカノンのペット。カノン共々事件に巻き込まれ、一度は命を落とすが後にシセルに助けられる。忠誠心は非常に強いがちょっぴりおバカ。 |
カバネラ | 『ノッポノホワイトラブリー』。特殊捜査班班長を務める警部。今夜起こる重大な事件のために部下を動員し、自らも動き回っている。エキセントリックな動きと警察らしからぬフランクな話し方が特徴。 |
ジョード | 『ウンメイノトラワレビト』。番号D99号の死刑囚。元刑事だが、現在はとある罪状で刑務所に拘留されている。見た目は温厚そうだがのらりくらりと質問を躱す食えない人物。 |
“夜”に関わる人々
参謀 | 『カメンノデカブツ』。シス司令に付き従う大柄な男。無愛想で機械を扱うのが得意。その正体は……。 |
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ジーゴ | 『シッコクノカリウド』。リンネを狙う殺し屋。異名は『ド近眼のジーゴ』で裸眼の視力は0.3。年々獲物との距離が近付いている模様。 |
テンゴ | 『モウヒトリノカリウド』。リンネを狙うもう一人の殺し屋。異名は『先回りのテンゴ』で行動も会話も全て先回りする。ジーゴとはライバル関係。 |
エンマ | 『ニオイタツバラノハナ』。リンネ達のアパートの隣人でハーレクイン作家。怒ると頭が咲き、ワインの瓶で衝撃波を起こせる。荒ぶると恐ろしいが家族思い。 |
エイミン | 『シャクネツノオテンバ』。オッチンドルとエンマ夫妻の娘でカノンの友人。歯に衣着せぬ物言いで相手を容赦無くぶった切る。両親が大好き。 |
オッチンドル | 『カキムシルシンシ』。法務大臣でエンマの夫。非常にネガティブ且つ自虐的で落ち込みやすい。心労が絶えない職業柄、仕事場に薬を常備している。 |
マッコー | 『ミドリノケイジ』。シセルの事件を捜査する刑事。眼鏡をかけた妻帯者。青刑事によくツッコミを入れている。 |
青刑事 | 『アオノケイジ』。シセルの事件を捜査する刑事。マッコーと違って個人名は無い。カバネラに批判的だが彼の動きを真似して出世できないかと考えている。 |
監察医 | 『ブキミスギルアオヒゲ』。シセルの死体を看る監察医。現場の刑事達を若干小馬鹿にした発言をする。肌の色が他の者と明らかに異なるのが特徴。 |
リンジュー | 『ボウシノケイジ』。公園で張り込みする刑事。上司の命令に忠実だが、逃亡するリンネをこっそり逃がす等人がいい。女性に振り回される運命を持つ。 |
ダビラ | 『コウエンノマモリガミ』。公園内にある『神のイシ』を守るため宅地化に反対するホームレス。暴走すると色々止まらない。言葉も行動も斜め上を突っ走る。 |
管理人 | 『コトリノロウジン』。ゴミ捨て場を管理する老人。様々な道具を使って何かの実験を行っている自称「お調子者」。冷静で皮肉屋。 |
コック | 『ヨウキナヒゲテノール』。鶏肉料理専門店《キッチンチキン》のコック。料理中は伸びのある声で歌を歌っている。調理済みチキンが大好き。 |
刑事 | 『ミナオナジソブリ』。シセルの事件を捜査する数人の刑事。個々の区別がつかないのでこれといった特徴は無い。 |
ボーズ係官 | 『ノウコンノカタブツ』。刑務所に常駐する生真面目な刑務官。パニックに陥った時は家に伝わるテンテコの舞を踊る。奇天烈なリアクションは所内の名物。 |
コボーズ係官 | ボーズ係官と共に刑務所に常駐する刑務官。飄々とした性格で、ボーズ係官に冷めたツッコミを入れている。リンネのファン。 |
C38号 | 『ロックノトラワレビト』。全国生放送で国家機密を歌い上げたロッカー。監獄にはドラム等の楽器を置いている。自由を得るため脱獄を企て中。 |
C74号 | 『カレーノトラワレビト』。重火器を持ち込んで総監室に押し入った男。作中では喋らないが呑気でマイペースな性格だと思われる。カレー好き。 |
本部長 | 『カユイチュウネン』。カバネラと共にとある事件を追う警部。部下の前では威厳に満ちているが妻には頭が上がらない。水虫を患っている。 |
メメリ | 『カレンナニクハコビ』。《キッチンチキン》で働くアルバイト。アルバイト歴は二日。バーテンダーやリンジューにしょっちゅうアプローチを仕掛けている。 |
ダンディー | 『クロクアオイコオトコ』。とある取り引きのために《キッチンチキン》を訪れた男。相棒のビューティーが好きだが大体一方通行。フェミニスト。 |
ビューティー | 『クロクアオイビジョ』。とある取り引きのために《キッチンチキン》を訪れた女。相棒のダンディーを適当にあしらうクールな性格。自称「霊感が強い」。 |
バーテンダー | 『コダワリノコップミガキ』。《キッチンチキン》の二階のバーで働く男。目の前でコップを何個割ってもひたすら他のコップを磨き続ける。 |
アルマ | 『オモイデノママ』。ジョードの妻で故人。5年前にある事件により命を落としたが、その死にはいくつか疑問点が残されている。 |
乗組員 | 『ミルカラニシタッパ』。シス司令の部下。ワンシーンしか登場しない。その割には渾名までついている。 |
??? | 存在がネタバレ。詳しくは該当項目参照。 |
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