曖昧さ回避
概要
冒頭で己の命と全ての記憶を失っており、代わりに特別な死者だけが持てる《死者のチカラ》を身に宿していた魂。ゲームの人物一覧表記は『ナゾマミレノワタシ』、公式サイトでは『失われた記憶をたどる、クールな死者』。
名前の由来は「死せる」だと思われる。ちなみに「シセル」という音の人名は英語圏では女性名として普通に使われており、英語の名前表記も「Sissel」になっている。
前述通りゲーム開始前から死んでしまっており、殺し屋のジーゴに狙われるリンネをもう死んでいるから助けられないと諦めた直後、突如割って入ったクネリから《死者のチカラ》の存在と使い方を教わる。その後誘導されるままにリンネを助けるが、同時に自分の名前はおろか、己の素性、これまでの人生、他一切の記憶を失っていることに気付き、自身は何者か、犯人の正体は、そして何故自分は殺されてしまったのかを突き止めるために街を奔走する。
黒いサングラスに赤いスーツ、トウモロコシのような黄色いトンガリ頭と、どことなくギャングかマフィアっぽい派手な身なりが特徴。pixivでは青い炎を纏った姿で描かれることが多いが、死者の世界で見える魂の色が青いだけであって、作中ではそのような姿で登場しない。
一人称は「私」。敬語は誰に対しても使わず、相手の名前も呼ばないこともほとんどで(例えばカノンは「小さなレディ」、ミサイルは「勇ましき小動物君」)、もし口にするとしても「ジョード刑事」という風に肩書きを付ける。例外はリンネともう一人で、後者は一度だけ、リンネは状況を問わず頻繁に呼び捨てしている。
大体の出来事に対してクールな態度と淡々とした物言いをし、ツッコむときや呆れたときはよく「~~だが」と冷静に指摘。そこに時々シニカルな笑みが加わる。本人はふざけている気もむやみに人を小馬鹿にしている気も無いのだが、リンネからはつっこみ方が揚げ足取りのように思われている節がある。
といっても予想外の事態に遭遇すると分かりやすく動揺したり焦ることも割と多々ある。また興味本位から真顔で非常ベルのボタンを押したり用途不明のレバーを倒してみたり、落としたシャンデリアを華麗に避けるエンマに対抗心を燃やしたりと、見かけの印象とは裏腹に意外と好奇心旺盛で負けず嫌い。このようなマイペースな部分を露わにした際は、普段のツッコミ担当から一転してボケに回る。
記憶喪失のため一部物の名前が欠落しており、分からない言葉は全てひらがなで表記される。識字能力にも影響しているのか、どうやら字も読めない模様。
※「ゴーストトリック」「ゴーストトリック シセル」のタグで検索をかけると高確率で下記の重大なネタバレイラスト並びに他キャラクターのネタバレが出てくるので、ゲーム未プレイの方はご注意ください。
ネタバレ
※以下ネタバレ注意
実はシセルの外見はヨミエル(右)という男のもの。
本物の自分の死体はヨミエルの死体で隠れてしまっており、目覚めと同時に記憶を失っていた彼は自身の亡骸の存在に気付かず「ここで死んでいるのは自分だけ=ここにある死体はヨミエルのものだけ=自分はヨミエル(という人間である)」と思い込んでいたのである。
では本物のシセルは何者かというと――?
正体は10年前、アシタール公園でヨミエルがリンネを人質に取り、ジョードと一触即発状態になっていた場面に居合わせた野良の黒猫。
シセルは一般常識をあまり知らず文字も読めなかったが、それは記憶を失ったからではなく、そもそも彼が人間ではなかったから。
他の人間は自分の亡骸を見るなりあっさり記憶を取り戻したのに彼だけ記憶が戻らなかったのも、シセルだけは赤の他人を自分だと勘違いしていたから。
「思ったことがそのまま伝わる」死者の世界において、死者は動物と人間とであろうと意思疎通ができる。そのことが、「シセルは人間である」というミスリードになってしまったのだ。
親と離ればなれになって孤独に彷徨っていた子猫のシセルに、アシタールに貫かれ死亡したヨミエルが無意識に《死者のチカラ》を使って魂の状態でトリツキ・アヤツルを行使。その後ヨミエルが自身の記憶と亡骸を取り戻して普通の猫に戻ってからも、相棒として彼と10年間行動を共にしていた。
そして“今夜”、ヨミエルは復讐のためにリンネにトリツいて自身を銃殺するよう仕向けるが、リンネの強い抵抗のせいでヨミエルはシセルが入っていたキャリーバッグを知らず誤射。アシタールの傍で死亡すると《死者のチカラ》を持った魂として蘇る特性により本編へ繋がるのである。
シセルという名前はヨミエルが黒猫に名付けた名前であると同時に、取引での偽名としても使っていた。取引相手の話を聞いて自分の名前が「シセル」であると判断した主人公だったが、偶然にもそれは紛れもない彼自身の名前だったのである。
ちなみに「シセル」の名はヨミエルが己の亡きフィアンセ由来で名付けたもの。英語版の綴りはある意味堂々としたネタバレと言えるのかもしれない。
最終的に、ある方法でアシタールを巡る事件を解決したシセルは、ジョード刑事に拾われて彼の家族に飼われることとなる。彼らの活躍でヨミエルに刺さらず逸れていったアシタールの破片がどうなったかは……是非本編をプレイすることをオススメする。
余談だが、このシセルという女性名と正体が動物というのが相まって「シセルの性別はオスメスどちらか」という議論が時折起こるのだが、子猫時代に一度だけシセルが「僕」と言う点、度々「女性を○○するのは主義に反する」という発言から鑑みるにオスだと推測される(第3章で記憶を失いかけたリンネの魂が一度だけカバネラになったが、その時のリンネは女性言葉である)。一方でカノンからは「シセルちゃん」とちゃん付けで呼ばれる場面が存在するが、カノンが魂としてのシセルがヨミエルの姿をしているにもかかわらずそう発言している。魂が姿を自意識で自在に変えられても猫である本質を見抜いていたからなのか、それとも上記のような発言があっても実はメスなのか(もしそうであれば子猫時代はボクっ娘ということになる)ということになるが、結局本編中では明かされていない。
なおこの真の姿はゲームのエンディングで明かされるため、絵的にヨミエルと混同する場合がある。一応傾向分けをするとしたら以下の3通り。
①ヨミエル姿のシセル | ②魂姿のシセル | ③黒猫姿のシセル |
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①ヨミエル姿のシセル
集合絵で描かれる際、ヨミエル姿のシセルは目立つ場所、ヨミエル本人はネタバレもあってその背後や陰に描かれている。
表情は基本的に同じだが、ヨミエルはシセルが絶対にしない、かなり悪い顔をしていることが多い。
②魂姿のシセル
ヨミエルはこの姿を取ったことが無いため、この姿だと正真正銘のシセルといえる。
③黒猫姿のシセル
猫の姿単体のものや、リンネ・ヨミエル・ミサイル・クネリとセットで描かれることが多い。